「異常信号」
桐生は一度深呼吸をしてから、モニターを再確認する。
しかし、目に映るデータは一向に変わらない。ただ、ノイズは微細にして確実に存在している。
桐生「どうしてこんな場所で? やっぱり、オレの勘が外れてないのか」
もう一度モニターの前に立ち、警戒心を強める。だが、それ以上の情報は得られない。
彼は渋々、端末の電源を切り、訓練施設から足を引き上げることに決めた。
「陽介には、まだ言わねぇ方がいいか…
あいつ、すぐに大きな問題として受け取るからな」
そのまま歩みを進める桐生の背後で、微かに風が吹き抜ける。
彼の足元で、砂粒が舞い上がり、次の瞬間――
ザッ!
突如、視界に白い閃光が走る。目を閉じて反射的に身を守る桐生。
すぐに空気が静まるが、何もないはずの空間に異様な静けさが残っていた。
「…何かが、間違ってる。」
胸の中で、かつて経験した恐怖がよみがえる。
この感覚――まさに、あの時と同じだ。
だが、桐生はその場から動かなかった。何かを確かめようとしている。
しばらくその場に佇んでいたが、やがて再び歩き出し、陽介の元へと向かう決意を固める。
「やっぱり、陽介に話すべきかもな。
でも、もし違ったら――オレの判断ミスだ。あいつの世界を乱したくない」
そして、桐生は陽介宅への足を進める。どこかで感じる異常を告げるべきなのか、それとも今はただ静かにしておくべきなのか…
その思いは、彼の胸の中で渦巻きながらも、ひとまず陽介と美沙との夕食の約束に向かっていた。




