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「沈黙の警告」

夕暮れ時。

桐生剛は、都市「I」の郊外にある元軍関係者向けの訓練施設跡地をひとりで歩いていた。

ここは今、無人となった訓練場。だが、彼にとっては“戦場の匂い”が染みついている場所でもある。


「平和になったって、空気が全部変わるわけじゃねえ…

鼻の奥がピリつく。まるで、嵐の前の静けさみたいだ」


彼は何かに引かれるように、古びたセンサー塔のそばに足を止める。

塔の端末には今も最低限のモニター機能が残されており、彼は慣れた手つきで起動させた。


「…あ?」


モニターに表示された気象データに、小さな“異常値”。

熱源でも放射でもない、説明のつかないノイズのような信号。


「……こんな数値、見たことねぇぞ。しかもこの場所、MEの施設からは遠すぎる」


胸の奥がざわつく。

脳裏をかすめるのは、兄を失った“あの事故”のときの感覚。


「何かが、来てる……俺の知らねぇ“何か”が。

それも、陽介の言う“未来”の外側から――」


その時、ふと風向きが変わる。

どこからかかすかに聞こえる、不協和音のようなノイズ。

桐生が周囲を見渡すが、誰もいない。ただ、沈黙だけが不気味に響いていた。

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