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試練攻略の成果


深淵の試練域――常人であれば踏み込むだけで精神が削られ、魔物の咆哮一つで命を落とすほどの過酷な空間。そこを、天城蓮とヴェネッサは、わずかな疲労を感じさせながらも踏破してみせた。


試練の扉が音を立てて開かれると、薄暗い玉座の間に光が差し込む。重厚な装飾の椅子に座していた魔王ルシアが、ゆるやかに立ち上がった。


「……まさか、本当に戻ってくるとはね」


その紅の瞳が、蓮の全身を隅々まで観察するように見つめる。無意識に背筋が伸びた。彼女は、ただのカリスマではない。威圧もなく、怒気もない。それでも自然と従わせるような存在感があった。


「ふふ、なかなか良い顔になったじゃない、蓮。少しだけ、自信が宿ったかしら?」


「……少しは、ですね。でも、ヴェネッサのおかげです」


ヴェネッサは照れくさそうに視線を逸らしつつも、しっかりとルシアに礼をした。ルシアはその様子に満足げに頷き、ひとつ手を叩く。


「偉いわ、ふたりとも。深淵の試練域は、ただの力試しではない。心の弱さを突き、己の本質を曝け出させる。それを乗り越えたということは……あなたは、もう”過去”に囚われないだけの強さを持ったということよ」


蓮の胸に、少しだけ熱いものがこみ上げた。誰かに”ちゃんと見てくれている”と感じるのは、いつ以来だっただろう。クラスメイトとの確執、孤独、無力感。あの頃の自分を、彼女は知っているわけではない。それでも、乗り越えたと認めてくれる――それが何より嬉しかった。


「……ありがとうございます。俺、少しでも、強くなれたと思います」


「ええ。だからこそ、あなたにはこれからもっと大きな責任を与えるわ。安心して、怖がらなくていい。私が保証する。あなたの強さは、もう”ここ”で通用するわ」


その言葉に、ヴェネッサも小さく頷く。蓮は深く息を吸い、少しだけ笑った。


「なら……受け取りますよ。その責任も、未来も」


ルシアは笑みを深め、漆黒のマントを揺らしながら彼に近づいた。そして、その額にそっと指を触れる。


「我が眷属として、魔王軍の”希望”として……おかえりなさい、蓮。よく、帰ってきてくれたわね」


その瞬間、蓮の胸に宿っていた迷いは、静かに溶けていった。


深淵の試練域を踏破し、ルシアに褒められたその夜。

蓮は、貸与された魔王城の一室で静かにベッドに腰掛けていた。


外の闇は深く、音ひとつない。ヴェネッサは別室で休んでおり、扉の向こうに気配は感じられない。

静寂の中、蓮は右手を前に掲げた。


「ステータス、確認」


淡く浮かび上がった光のスクリーン。その中に、見慣れたステータス表が表示される。



【天城 蓮(Ren Amagi)】


種族:人間(異界転移者)

所属:魔王軍直属 特別戦力

称号:異界の来訪者/魔王の選びし者/深淵の試練突破者/影渡りの使徒/魔王の信任者

年齢:17歳

レベル:54

スキルスロット枠:6枠(覚醒済)

スキルポイント:12(未振り)

成長限界値:未測定


■ ステータス

•HP:9200

•MP:6800

•攻撃力(筋力):510

•防御力(耐久):465

•敏捷 :560

•知力:740

•運:120

•スキルスロット枠:6枠(覚醒済)

•スキルポイント:12(未振り)



■ 固有スキル

•《世界適応》

•《影渡りLv6》

•《魔装展開Lv3》

•《思念刃Lv4》

•《深淵共鳴Lv1》

•《記憶共感Lv1》



■ 固有スキル(現在)

•《世界適応》

 ▶︎ 異世界の環境に即時適応し、潜在能力を最大限に引き出す。レベルに応じて適応精度と戦術理解力が上昇。

•《影渡りLv6》

 ▶︎ 影を通じて短距離〜中距離の転移が可能。影を媒介に敵の死角を突く戦術も習得済。

•《魔装展開Lv3》

 ▶︎ 魔力を纏って鎧のように展開、防御力・攻撃力を一定時間上昇。形状カスタマイズも可能に。

•《思念刃Lv4》

 ▶︎ 魔力を刃に変換し、遠近問わず斬撃を飛ばす。精度・貫通力強化済。

•《深淵共鳴Lv1》(NEW)

 ▶︎ 深淵の瘴気と魔力を共鳴させ、一時的に全ステータスを1.5倍に。魔剣とのシンクロで更に上昇可能。

•《記憶共感Lv1》(NEW)

 ▶︎ 特定条件下で、対象の記憶を追体験し、精神的リンクを構築する。



■ ユニークスキル(特殊系)

•《魔剣共鳴》

 ▶︎ 魔剣《深淵の剣王アビス・ブレイドロード》とのリンク率に応じて能力が増幅。剣の進化は蓮の精神状態・成長に依存。

•《心核共鳴》 → 《共鳴の絆》に進化

 ▶︎ 魔王ルシアとの絆が深まったことにより進化。感覚共有に加え、一部の魔力制御や思念通信が可能に。

•《収納(無限空間)》

 ▶︎ アイテムや武器、記憶の断片すら格納可能な特殊空間。空間内に精神世界を持つ可能性が示唆されている。

•《解放の記憶》(封印中)

 ▶︎ 発動条件は未達成。彼の記憶と力に深く関わるスキルであり、真なる姿への鍵。



■ 武器:

•《深淵の剣王アビス・ブレイドロード

 ▶︎ 天城蓮の罪・記憶・感情を糧に進化する魔剣。彼の影から生まれた存在であり、意志を持つ。

 ※戦闘中、蓮の怒り・悲しみ・覚悟が高まると変形・進化する。



■ 特徴・備考

•通常の英雄召喚とは異なる魔法陣で召喚された存在。

•魔族・魔王軍にのみ影響される「孤立した歪みの核」的存在。

•成長速度・ステータス上昇ともに異常値。スキルの大半はまだ未覚醒。

•魔王ルシアとの絆が成長の大きなトリガーとなっている。

•魔剣と共に成長する、影の戦士。未来の選択肢に「破壊」と「救済」の両方が見えている。



「……上がったな、かなり」


特に目を引くのは、攻撃力と知力異常な上昇だ。知力は魔力制御やスキル発動に関わる項目。深淵の試練で精神を研ぎ澄ましたことが反映されているのだろう。そして、敏捷の跳ね上がりは、影渡りスキルの精度向上がもたらしたものか。


「この“深淵共鳴”ってやつ……。使えば全ステ1.5倍って、反則じゃないか?」


そう呟いて苦笑するが、同時に胸の奥に確かな実感がある。

あの極限の戦闘の中で、自分は確かに”死の恐怖”を超えた。逃げずに、立ち向かった。その結果として得た力だと、納得できた。


そしてもう一つ、気になるスキルに視線を落とす。


「“記憶共感”…。これは……」


《一定条件下で、対象の記憶を追体験。対象の精神的距離と感情の深度により発動率が変動》


蓮は、ある瞬間を思い出す。試練域で、ヴェネッサの悲しみを感じた時。

あの時の感情――まるで、彼女自身になったかのような錯覚。それが、このスキルの正体だったのかもしれない。


「……距離や感情の深度、か。つまり“誰かを本当に理解しようとする”ことで、発動する……」


蓮はそっと目を閉じた。日本での日々、誰とも深く関わることを恐れていた自分。

でも今は違う。ヴェネッサを始め、ルシア、魔王軍の面々――自分の存在を認めてくれる人たちがいる。

その中で、誰かの記憶に触れる力を得たというのは、あまりに象徴的だった。


「……なんだか皮肉だな。でも、嬉しい」


ふと、脳裏に“もう一つの未解放スキル”が浮かぶ。


――【解放の記憶】


「条件未解放……って。いったい、何をすればいいんだ?」


考えてもわからない。ただ、ルシアが言っていた。“過去に囚われず、未来を選べる者になれ”と。


「それが鍵かもしれないな……。よし、スキルポイントは温存しておこう。深淵共鳴と記憶共感が使えるなら、戦闘でも支援でも幅が広がる」


蓮はステータスウィンドウを閉じ、静かに息を吐いた。


「俺……ちゃんと強くなれてる。ちゃんと……進めてるよな」


過去の自分に問いかけるように、そっと呟いた。


部屋の静寂の中、誰もいないはずの空間に、微かに響いたような気がした。


――『その通りだ、蓮』


「……今のは」


一瞬、魔剣の声が聞こえた気がした。だが、その後に続く声はない。


不思議な余韻を残したまま、蓮は深く息を吐いた。



「……なあ、本当に黙ったままなんだな」


夜の静寂の中、蓮は再び魔剣を手に取っていた。漆黒の刀身に、赤い魔力が脈打つように光っている。

だが、かつてあれほど饒舌に話しかけてきた声は、完全に沈黙していた。


「おい、お前さ。前は勝手に喋りまくってたくせに……今度はこっちが話しかけても無反応ってどういうことだよ」


独り言のように語りかけるが、返ってくるのは魔剣の脈動音のみ。

深淵の試練を越えたあの日を境に、声はぱったりと止んだ。それまでは、戦闘中にアドバイスを送ってくることもあったし、時には皮肉を飛ばすこともあった。


「まさか……壊れたとかじゃないよな?」


冗談めかして呟くが、刀身に傷はない。むしろ以前よりも魔力の密度は高くなっている。どこか、より“意思”に近いものを宿しているようにも思える。


蓮は椅子に座り込み、考えを巡らせた。


「……あの時、確かに聞こえた。“その通りだ、蓮”って」


短く、だが優しい声だった。以前の魔剣の声とは少し違っていたような気もする。


「もし、あれが最後の一言だったとしたら……理由は、なんだ?」


沈黙の理由。その可能性を、蓮は一つずつ整理していった。


一つ目は、**“役目を終えた”**こと。

もともとこの魔剣の声は、蓮がこちらの世界に来て間もない頃、戦う力も精神的な強さも不安定だった時期に現れた。

助言を与え、時には導いてくれる“道標”のような存在。

だとすれば、深淵の試練を越え、自らの意思で進もうとする蓮を見届けて、声を発する必要がなくなった――というのは自然な推測だ。


「つまり、俺が一人でも進めるようになったから……か」


だが、それだけではない。蓮の心に、もう一つの仮説が浮かぶ。


二つ目の理由、それは**“真の力を封じている”**こと。

魔剣のステータスを確認しても、その詳細な能力は未だ“不明”のまま。一部は蓮のスキルとして共鳴しているが、核心部分にはまだ鍵がかかっているようだった。


「喋らなくなったんじゃなくて、今は……“眠ってる”のかもしれないな」


再び目を閉じて集中する。かつて声がした時と同じように、心を魔剣に向ける。

だが――やはり何も返ってこない。代わりに、ほんの僅かだが、魔剣から微かな“感情”のようなものを感じ取った。


寂しさ。

あるいは、祈るような静けさ。


「お前、もしかして……俺が、自分の力で歩けるようになるのを、ずっと待ってたのか?」


魔剣は何も答えない。それでも、蓮は確信した。

この沈黙は、無視や拒絶ではなく、信頼によるものだ。


「……そうか。ありがとうな。お前の言葉がなきゃ、俺は途中で折れてた」


魔剣をそっと鞘に収め、蓮は深く息を吐いた。


「でも、いつかまた話してくれよ。全部終わった時でいい。お前の本当の名前も、理由も、俺の口から聞きたいから」


魔剣が微かに脈動し、応えるように赤く光る。

それはまるで、静かな約束のようだった。


一息つき、ようやくあの試練を突破したんだと実感が湧いてくる。それと強い眠気に襲われて蓮の視界は。暗転した。


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