出会い
私は広い廊下の中を駆け足で過ぎ去っていく
私の部屋遠いな…端だし、最悪
いや、端だからこそ出来ることが沢山あるな
…私は脳内でホームページで確認した学校の仕組みについて振り返ってみる
まず、この学校は全寮制
全国の各学校から5人ずつ選ばれる、とあったがあれは間違いだろう
各学校から5人ずつ選ばれたにしてはクラスの人数が少な過ぎたしな
おそらく、選考でもされているのだろう
そして、この学校は透明なドーム型のものに囲まれており、ドーム内には娯楽施設は沢山あった
あとは…文化祭が年に3回、体育祭が2回あるということが他の学校とかなり違うことだろう
バイトは可能、お金の貸し借り、お金の巻き上げ可能…巻き上げって…物騒だな
外部からは生活必需品だけ持ち込み可能
外部との連絡基本不可
緊急時の対応も可能なように病院などもある…
ほとんど完璧な学校だな
まぁ…完璧だからこそ問題は起こるだろうが
「あ、アンタ」
「はい?」
!!
可愛らしい姿…けど………男?
「えっと…どなたですか?」
「酷いなぁ…同じクラスの新村蒼だよ」
「はぁ…それで、新村くん、何故話しかけてきたのですか? 用件は?」
「麻音とすぐに仲良くなれる子なんて滅多に居ないからさー」
「麻音さんのお知り合いでしたか…ですが、それだけで話しかけてくるとはとてもじゃないですが思えません、本当の用件は?」
「おぉ…凄いね、流石〜」
「いえいえ、とんでもない」
「……その敬語いい加減やめたら?」
「…は?」
「あー、それが素か…いいじゃん、そっちのが可愛いよ?」
「…何を仰っているんですか? これが素です」
「あー、もう遅いってー」
「……何がでしょうか?」
「そりゃあ…」
「何がですか?」
「……こわ」
圧をかけすぎたか…
「すいません、やり過ぎました」
「いーや、全然。 可愛い子の顔も見れたしね」
「…そうですか」
「……では、急いでいるので」
「そ、またね」
…何なんだアイツは…
絶対退学させてやる…
いやけど…同じクラスの人を退学にさせていいのだろうか
というか用件聞くの忘れた…
…まぁいいか
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ここが私の部屋か
結構広いんだな、監視室より広いし
普通はこうなのだろうか…
「みんなに…合わせないと」
荷物は…温泉セットでいいよな
タオルに…服…よし
向かおう
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「お待たせしました、みんなさん」
「大丈夫、凜々亜ちゃん遅刻だから」
……?
その声は…
「新村くん?」
「せーかいっ、よくわかったね!」
「まぁ…1度聞いたもの、見たもの、教わったことはすべて記憶しているので」
「へぇ…すごいね!」
「あ…どうも…?」
「蒼とも仲がよろしいようね?」
「あ、はい…まぁ…お知り合いなんですよね?」
「えぇ…まぁそうね」
「僕と麻音は幼なじみ…的な?」
「その言い方、ワタクシは好みませんの、おやめなさい」
「あ、強制なんだ」
「凜々亜ちゃん、まだかな…」
「まぁ、待つしかないね」
「というか…なんで新村くんいるんですか?」
「えー、だって男1人とかズルいじゃん!」
「は、はぁ…」
「あ、今呆れた! 呆れたよね?!」
「……まぁ…」
「ほらね!! 酷い!」
「す、すいません…」
「まぁいいけどね、可愛いし」
可愛いって…まぁ容姿には自信はあるが。
「あ、麻音!」
「なんですの?」
「パーカー持って?」
「いいですわよ」
麻音がパーカーを丁重に持つ
なんか…
「なんか、蒼くんがご主人様みたいですね」
「っ……確かに!」
…なにか違和感が……
「……馬鹿」
「ま、麻音さん?」
「馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿……!!」
「え、えっと…麻音さん?」
「蒼」
「麻音…? 何?」
「こちらへ来ていただけますの?」
「う、うん…」
麻音が耳元で蒼に何か言う
流石に聞こえない、か…
蒼の表情が…硬い?
「ご、ごめん、みんな…僕そろそろ帰る」
「え? ……分かりました」
何だったんだ…
「……怪しい…」
「なぎさちゃん?」
「え? あ…いや、なんでもないですよ」
…聞こえていたか
気をつけないとな
……おそらく麻音は……
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「こ、ここが混浴…ですか」
「わぁっ…だ、男子いっぱい…」
「少し…恥ずかしいですわね」
「凜々亜ちゃん中々来なくて入っちゃったけど、大丈夫かなぁ…?」
「大丈夫ですよ、きっと。 それに、唯ちゃんが気にすることではありませんよ」
「そうだよ、大丈夫」
「あ、波瑠くん」
「ごめんね、脱ぐの時間かかって…」
「そ、そんな話しないでくださいよっ…」
純粋なふりをしてみる
「…っ……そういうとこだよ、なぎさちゃん」
「はい?」
キモすぎる…
「気づいてないんだ…」
「えっと…?」
「ううん、なんでもないよ」
波瑠って顔面良いくせに、キモイこと言うよなぁ…
「お待たせー!」
「あ、凜々亜さん!」
私は助けを求めるように凜々亜に声をかける
波瑠に抱きついてくれ…頼む
「波瑠くん、体つきいいね?! モテそー、嫉妬しちゃうかもー」
なんて、そんな軽口を笑いながら叩く凜々亜。
正直メンタルは強そうだし使えそうだとは思う
がトラブルを引き連れてきそうだよなぁ…
そんなことを考えながらも私は1人、シャワースペースに移った
「はぁ…なんでこんな事に……」
「ま、待って〜…なぎさちゃん…」
唯…?
「どうしたんですか?」
「いや…なぎさちゃんがこっちに行くのが見えたから…あの3人とはまだ仲良く無いし…ちょっと気まずくて…い、嫌だったらごめんね…!」
「いえ、全然大丈夫ですよ、むしろ唯ちゃんと話す時間が増えて嬉しいぐらいです!」
「そ、そう…? 良かったぁ…」
そんなことを話しながら私はシャワーを浴びるフリをする
「あの…さ」
ん?
「どうしました?」
「なぎさちゃんは、この学校で…何がしたいの?」
「え…あー…そうですね、具体的では無いかもしれませんが、生徒会に入ってみたいですかね…」
「せ、生徒会…きっとなぎさちゃんなら入れるよ! 応援する!」
「ありがとうございます…」
少し照れるな…
それにしても、急にどうしたのだろう
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数時間後にはあの集まりはお開きとなった
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数日後にはクラスのみんながほとんどグループで別れていた
まず、1グループ目がこの前私が同行した時に居た、波瑠、麻音、凜々亜、唯、私……それに加えて蒼となっている。
このグループに所属している者は、大体授業で仕切り役になる傾向にある
そして2グループ目は、妃羅 彩雨に阿駄知 美由紀、橙羅 柚乃、緑凪 那良加こちらも美由紀を中心に、仕切り役に買って出ている
…私は美由紀が少し苦手なのであまり接触はしないが……彩雨の方は気になるな
妃羅 彩雨。
毎回テストの点数が全教科100点。
1年生にも関わらず生徒会に入り、活躍している……どうにも私と傾向が似ている
今度接触を図ってみるか…
「アレー? アタシがどうかした?」
コイツが彩雨、か…
思っていた以上に変人な様だな
ていうか、私声に出していないんだが…
「いえ、特に用はないですよ」
「そっか、そっか! じゃあアタシが用を言うね!」
…用があるなら先に言えばいいのに
「友達になってもいい?」
は…?
友達ってのはそういうので友達にならないだろ、自然に関係を作るものだろ…まぁいい
「もちろんですよ、私も丁度仲良くしようと考えていたので!」
無難な回答をしておこうっと…
「あー、そうなの? 良かったぁ!」
「それで、さ…」
「はい、なんでしょうか?」
「七色ちゃんも生徒会入ってくれる?」
え…?
「まぁ入ろうとしていたので…良いですよ」
「そぉ? 良かった! アリガトね!」
……変な人。