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巨大スライム 3


ここまですれば、これ以上フリージア領にいる間は馬鹿なことはしないと思い、ルネを解放するが、罰を与えるためスライムが落ちているところに向かって投げる。


もう一度スライム塗れにさせるために。


私は今のでストレス発散ができ、少し落ち着きを取り戻した。


そのお陰で冷静に今からやるべきことの順番を決めれる。




まず、全身に纏わりついているスライムをどうにかしたい。


服の中にも入っていて気持ち悪い。


手で払い除けようとしても、ビヨビヨと伸びるだけでうまくいかない。


「シオン。これどうにかして」


後ろにいるシオンの方を見て言う。


「俺がするとスライムが消えるぞ」


シオンは本当にいいのかと聞く。


「構わないけど……」


そうして欲しくて言っているのだ。


なぜそんなこと言うのかわからず、一応念のため聞く。


「なんで?」


「スライムは薬になるからだ。種類によって変わるが、このスライムは高く売れるぞ。初めてみるスライムだから、研究したがる者が大勢いるだろうからな」


「え?嘘!?本当に!?え?どうしよう。どうしたらいい?シオンが駄目なら誰に頼めば?」


私をそれを聞いて目の色を変える。


長生きしている冬の王が言うのだから間違いなく大金を手に入れられる。


全身に纏わりついているスライムも金になるため絶対に1グラムでも失いたくはない。


だが、どうやって剥がせばいいかがわからない。


そこら辺に散らばっているのも早く確保したいが、魔法関係はまだあまり知識がないため判断できないでいると、シオンが「アイリーンに頼めば綺麗にはがしてくれると思う。多分」と言う。


最後に言った「多分」が気になり、そう思った理由を聞くと「海から出てきたから水と相性がいいかと思っただけ……です」と言う。


最後敬語になったのは主人の顔が険しくなり、慌てて付け足したからだ。


'確かに、一理あるわね'


顔が険しくなったのは、根拠のない理由に怒ったからではなく、ただシオンの言葉を聞いて考え込んだだけだ。


「一旦、アイリーンたちのところに戻りましょう」


アイリーンの返答次第でスライムをどうするか変わるので、今は戻るしかない。


「シオン。一応、結界張っといて」


領民が取る可能性は限りなくゼロに近いが、魔物やフリージア領を呪った人間たちが取らない可能性がないとは言えないため、念のため結界を張るよう指示を出す。


「わかった」


シオンは頷くと、冬の王だとわからない程度の力で結果を張る。


結界が張り終わると少し気温が下がった。


冬の王の結界だからそうなったのかと思い、張られた結界を見るも、いつの間にか模様が消えていた。


結界が張られていく最中は美しい氷の模様が浮かんでいたが、結界が張られていると気づかれないようにしてくれたのか透明で何も見えない。


あんな美しい氷の模様が見えたら何かと気になり集まるかもしれないので、シオンの的確な判断に心の中で「よくやった。よく気づいた」と褒める。






※※※





4人はスライム塗れで、移動の間スライムが揺れたり、動いたりするので気持ち悪くて仕方なかった。


ここに来たとき同様、シオンの氷魔法で作ったドラゴンでアイリーンたちのいるところまでひとっ飛びするも、スライムの気持ち悪さのせいでゆっくり移動した。


それでも歩くよりは何倍も速くついたが、ドラゴンから降りたときの衝撃で、スライムがビヨビヨーンと動いたせいで、一気に全身に鳥肌がたった。


「あー、最悪。まじ最悪。気持ち悪い」


私は吐き捨てるように言う。


これ以上歩きたくなくてルネにアイリーンを呼んできてもらおうと口を開いたそのとき「ご主人様」と建物から出てくる彼女が見えた。


早速このスライムをどうにかできるか聞こうと思ったら「お風呂と着替えの用意を準備してます」と言う。


お風呂はアイリーンにかかれば1秒で準備ができる。


着替えもアイリーンが空間魔法の中に入れていたので、こちらも1秒あれば取り出せる。


アイリーンは私の声が声が聞こえた瞬間、準備した。


「ありがとう。でも、その前にアイリーンに頼みたいことがあって」


それを聞いたアイリーンは目を輝かせて喜ぶ。


悪魔の王と冬の王が一緒にいたのに、その2人ではなく自分を頼ったことが嬉しくて。


私に頼られるのは2人より自分なのだと。


アイリーンは2人を見て、フッと勝ち誇ったように笑う。


馬鹿にされていると気づいた2人は「このクソ妖精が!」と睨み返す。


「ご主人様。何なりとお申し付けください」


アイリーンは2人から視線を外し、キラキラと輝く目で私を見上げながら言う。


「あのね……」


「はい」


「このスライム剥がせる?できれば、スライムは薬にするから消さずに」


言いながらやっぱり無理かな、と思いながらニコッと笑いかける。


「はい。お任せください」


'え?できんの?'


できればいいな、と思って言ったが正直に言うと期待していなかった。


シオンの口ぶりからほぼ無理だろうと思っていたので、自信満々に言うアイリーンに私は驚きを隠せなかった。


「では、いきます」


そう言うとアイリーンはスライムを一瞬でひきがした。


まさかの一瞬で終わったことに私は驚いて、一体どんな魔法を使ったのか気になった。


そもそも、なぜ悪魔2人にできなかったことがアイリーンには簡単にできたのかがわからない。


頭上にぷよぷよと浮かんでいるスライムを見て「水っぽいからか」と思うも、正しい答えが知りたくアイリーンを呼ぶ。


「アイリーン」


「はい」


「一体今どんな魔法を使ったの?」


「水を集めるみたいにスライムをただ集めました。こないだご主人様が買った本に書いてあった、水を操る一般魔法です」


アイリーンはニコニコと言うが、それを聞いた私は複雑な気持ちになる。


'私はできなかったけど……'


アイリーンが今使った魔法を試したが、私は失敗した。


私はシオンの方をチラッとみると首を横に振って「水の妖精王が使った一般魔法だからな」という顔をされる。


'だよね'


シオンの顔を見た私は「妖精王、規格外すぎるでしょ」と思わずにはいられなかった。


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