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探索班


「考えられる理由は2つあるわ。1つは、自ら体に呪いの紋章を入れたか。もう1つは、誰かに無理矢理入れられたのかのどっちかね」


オリバーをそれを聞いて心の底から後者であってくれと祈った。


もし、自分の意思で紋章を入れたのなら間違いなく死は免れない。


「呪いの紋章が入っているということは、彼が元凶ということですか?」


話の流れ的に間違いないだろうと思いながらも、念の為に確認する。


「ええ。それは間違いないわ。でも、何かおかしいの」


「おかしいとは、何がですか?」


「この呪いは発動しているけど、完全には発動してないの」


'発動しているのに完全には発動していない?どういう意味だ?'


オリバーはアイリーンの言っていることがわからず首を傾げる。


「私はそこまで呪いに詳しくないから、よくわからないけど、この呪いはまだ他の仕掛けるがあると思うの」


「それは本当ですか!?」


もしそれが本当なら、フリージアに新たな危険が降りかかる可能性がある。


一刻も早くお嬢様に知らせないと、と思ったそのとき「あー、最悪。まじ最悪。気持ち悪い」と声が聞こえた。


その声が聞こえた瞬間、オリバーとアイリーンは急いで建物から出ると、全身スライムだらけの3人と1匹の鳥がいた。


一体何があったらそうなのるだとオリバーとアイリーンは不思議に思いながらも、4人のためにお風呂の準備をし、着替えも用意した。

 



なぜ、別々に行動していたはずの2組が一緒に戻ってきたのかと言うと時は数時間前まで遡る。






※※※





数時間前の探索班。



ルネを鷲掴みにしながら森に入って数分が経つが、未だにルネの機嫌が治らない。


私はいい加減鬱陶しくなってきた。


「ちょっと、いつまで不貞腐れるつもり?さっさと呪いを見つけてよ」


「別に不貞腐れてないし」


ルネはそう言ったが、その口調と声は誰が聞いても不貞腐れているものだった。


'はぁ。ガキかよ。1000年以上生きたジジイのくせに。面倒くせーな'


私はぷくっと頬を膨らまし、怒ってますと態度に出すルネを見てため息を吐く。


そもそも、スイーツを作るとは言ったが、ルネだけにを作ると言った覚えはない。


勝手にルネが勘違いしただけで、はぶてられても困る。


鬱陶しいので、何かあげれば機嫌も良くなるかと一瞬思うも、すぐにまた同じことがあったときはぶてれば何か貰えると思われても嫌なので結局何もあげないことにした。


そもそも、今は何も持ってないのであげることなどできない。


苛々しすぎてこのままでは良くないと思い、本当にどうしようかと悩みだしたそのとき、いきなり前方に黒い霧が発生した。


「ルネ、どうにかしろ!」


私は黒い霧を見た瞬間、慌てることなく冷静にきっとこれは呪いだと判断して、鷲掴みにしていたルネを思いっきり投げ飛ばした。


「なっ!ふざけんな!クソヤロー!」


いきなり思いっきり投げ飛ばされたルネは訳もわからず、黒い霧の中に入っていく。


理解したときには手遅れで最後に見た光景は、どこかに逃げていくローズの後ろ姿だった。


その後ろ姿を見たルネは「いつか絶対殺す!」とそう誓い、急速に後ろへと飛んでいく体を止めようと全身に力を入れるが、それより先に何かにぶつかった。


そしてそのまま地面へと落ちていった。


今のルネの姿は地獄の王、閻魔大王に戦争を仕掛けた悪魔の王の面影などどこにもなく、昔のルネを知っているものが今の状況を見たら、笑うどころか逆に恐怖で体が震えてしまうだろう。


ーーあの人間。よりにもよって悪魔の中で最も恐ろしいお方にあのような仕打ちをするなんて。生きてても地獄。死んでも地獄。飽きられるまでずっと地獄の日々をおくることになるぞ。


そんな風に憐れまれる。


だが実際は、契約を破棄しない以上、ルネがそんなことができる日は永遠にこないが。


'痛い。一体何にぶつかったんだ?'


ルネは小さな鳥の手でぶつかった背中をさすろうとするが、手が届かず諦める。


「クソッタレ。俺様に全て押し付けやがって。絶対許さないからな。あのクソ女め」


ルネはぶつかった木を蹴りながら文句を言う。


さっさと黒い霧をどうにかして、ローズのいるところへと戻って文句の一つでも言ってやろうと決める。


その頃のローズは、ルネをぶん投げた後、迫ってくる黒い霧から逃げていた。


「はぁ?なんでそんなに速いのよ。ふざけんな!」


全力疾走で走るも同じくらいの速さで黒い霧も迫ってくる。


結構な時間、追いかけっこをしていたが、森を抜けた瞬間追ってこなくなった。


「あー。くそ。まじ疲れた。いや、まじやばい。クソ。ドレスなんて着るんじゃなかった……」


私は、はぁ、はぁ、言いながら消えた黒い霧に向かって文句を言う。


周囲に誰もいないので地面に寝転ぶ。


いても気にせず寝転んでいたと思うが。


貴族の娘とか、男爵家の評判が落ちるとか、この時は疲れすぎて何も考えられなかった。


時間にしたらほんの数分だが、息が整い、体の疲れも取れてきて、ようやく立ち上がることができた。


「森に入ったら、またあのキモい霧に追われるよな……」


入った瞬間、黒い霧に追われてまた追いかけっこをすると思うとドッと疲れ、体が拒絶反応を起こす。


'無理。また追いかけっことか絶対無理。死んでも嫌。そもそもドレスにヒールの時点で無理でしょう。私、よく逃げ切れたわね……うん。あとは全部ルネに任せて、私は休もう'


最初からルネに任せるつもりだったので、自分がいても、いなくても関係ないだろうと思い休むことにした。


どっかにいい休憩場所がないかな、と散策していると木に変な模様が施されているのを見つけてしまう。


'え?なにこれ。めっちゃ、怪しいじゃん。いや、絶対、この模様呪いとかのやつでしょ。やばっ。初めて見た。てか、呪いって物や地面じゃなくて木に書いてもいいんだ。初めて知った'


わざわざ森の中に入って呪いの原因を探していたが、周囲を散策していて見つかるとは思わなかった。


無駄骨だ、とさっきまでの頑張りを返せ、と腹が立つも見つかったからいいかとすぐに頭を切り替える。


といっても呪いに詳しくないため、ルネがいないと何もできない。


こんなことならルネを連れて逃げるんだったな、と少し後悔しながら、ルネが来るまでの間水魔法でベットを作り、その周辺に結界をはってから眠りにつく。


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