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呪い


「大丈夫か?悲鳴を上げてだけど。やっぱり悪魔の王でもキツかったのかな?」


私の挑発にルネは「絶対この女殺してやる!」と誓う。


見なくてもウザい顔をしていると簡単に想像でき、余計に殺したくなる。


「あとは、この包帯と札だけね。ねぇ、これは何なの?これも封印なの?」


「……」


ルネは答えようとしない。


股間の恨みの仕返しに何も教える気はなかった。


「ふーん。教えないつもりなんだ。別に私は構わないよ。大変な思いをするのは私じゃないし」


私がそう言うとルネは慌ててこう言った。


「呪詛だ」


「それ閻魔大王がかけたの?」


地獄のトップがそんな面倒なことするか?と思う。


「いや、かけたのは人間達だ」


「あんた……本当に悪魔の王?嘘ついてるでしょう。悪魔の王が人間に呪われるなんてありえないわよ。もし仮に本当なら間抜けすぎるわよ」


「おい!その哀れんでるような声で言うのやめろ!仕方ないだろ!閻魔のクソヤローに封印されて動けなかったんだ!あのクソ共!俺様が動けないのをいいことに好き放題しやがって!挙げ句の果てに包帯やら札を貼るだけで飽き足らず、棺に鎖を巻いてここに捨てやがったんだ!!」


本当に指一本動かせないのだろう。


あれだけ大声で罵倒したのに、体が微動だにしない。

まるで人形みたいだった。


「え……それ全部人間がやったんだ。意外と閻魔大王優しいのね。棺に入れて封印しただけだし」


助けるつもりがなければ棺は開く仕組みになっているのね、と閻魔の能力に感心する。


「なっ!?本気で言ってるのか!?元はといえばあのヤローが俺様を封印しなければこんなことにはならなかったんだぞ!」


「理由は知らないけど、どうせあんたが原因でしょう?話してる限り、あんたクソだし」


思ったことを率直に述べる。


「なんだと!?知らないくせに知ったような口を利くな!」


「確かにそうね。なら教えて。何で封印されたのか」


「それは……」


反乱を起こしたから封印されたといえば「やっぱり、あんたが原因なんじゃん」と馬鹿にされるのが目に浮かび黙り込む。


「何言えないの?って、ことはやっぱりあんたが原因なんじゃん!」


「……」


言っても言わなくても馬鹿にされ、しまいには大声で笑われ、ルネのプライドは今日一日でズタボロにされた。


「まぁ、この話はもういいや。それよりこの呪詛はどうしたらいいの?ん?ちょっと待って!つまりその包帯や札は人間達の仕業で閻魔大王の封印解けたってことよね?なら、私の契約は達成されたよね?」


追加料金ならぬ追加契約ができるのではと顔がニヤける。


「待て!俺は契約をしようって言ったんだ!つまり、俺を助けたら契約するってことだ。まだ残ってるだろ!最後までちゃんとやれ!」


「いや、助けたじゃん。閻魔大王の封印を解いたから、そっちの要求は達成されたったことでしょう」


ルネに言われ確かにそうだなと思ったが、すぐに詳しく言わなかった向かうの責任だと思い要求を跳ね除ける。


「ふざけんな!」


「ふざけてない」


「俺様の要求は自由になることなんだよ!」


「いや、知らないし。ちゃんと言わなかったあんたの責任でしょう」


「言わなくても普通わかるだろ!」


悪魔がそれを言うか、と思ったが口には出さずにこう言った。


「いや、わかりません。私、普通じゃないんで」


私は腹を立てるときに、煽られるようなことを言われると更に腹を立てるとわかっていて敢えて挑発する。


それを言った瞬間、後ろにいるアスターからドン引きされてるのを感じたが無視してルネの言葉を聞いた。


「貴様!俺様を舐めるのも大概にしろよ!」


「舐めるなんて、そんな気持ち悪いことはしませんよ」


「貴様!」


本来なら怒りで体が小刻みに揺れたり、血管が破れたりするくらいのものだったが、呪詛のお陰でそんなことにはならず微動だにしなかった。


ただ声だけドスの効いたものだった。


「ねぇ、なんでそんなに怒るの?私は封印を解いたわ。呪詛は人間がかけたのでしょう?悪魔の王なら人間の呪詛如きどうにかできるんじゃないの?それくらい自分でやってよ」


「何だとっ!この状況でできると思うのか!?」


「(全く思わないけど)悪魔の王ならできるんじゃない?」


できないとわかった上で敢えてそう言う。


本当は今すぐこの部屋から出たかったが、出たらどうなるかわからないので出るに出られなかった。


そもそも呪詛までされてるなんて予想もできなかった。


棺さえ壊せばいいと思ってたから。


'あぁ。こんなに面倒なことになるとわかってたら絶対関わらなかったのに……'


今更後悔しても遅いが、時間が戻るならボスを倒したあと宝探しなどせず、さっさと家へと帰ればよかったと思う。


「できたらとっくに解いとるわ!早く解け!」


閻魔に封印されたときに呪詛をかけられたので、封印が解かれても呪詛を解かないと力は使えない。


そのため、人間の呪詛でも自力で解くことはできない。


「えー。悪魔の王でもできないのを私達が解けるわけないじゃん。無理。諦めて」


私がそう言うとアスターは「私達」という言葉を聞いて「いつから自分も数に数えられていたのかと驚く。


「契約したのはお嬢様なのに」と。


「ここまでやったなら最後までやれ」


「やだね。私はあんたの望みを叶えた。次はあんたの番でしょ」


「話の通じない人間だな!俺様の望みは自由になることだ!わかったら黙って、グェッ!……貴様を何をする!」


ルネが話している途中だったが、ムカついて顔を踏みつける。


「さっきからこっちが下手に出てれば調子に乗りやがって。いい?あんたは助けられる側。私達が助ける側。身の程をまきわえなさい。次、ふさげた口の聞き方したら、あんたの股間についてるのを斬り落とすから」


ルネは私が最後に言った言葉を聞くと反射的に悲鳴を上げた。


ハッタリではなく本気でやると口調から伝わってきたので、癪だが男として機能を失うわけにはいかないので、呪詛が解かれるまでの間は従順なフルをすることにした。


「申し訳ありませんでした。俺様が悪かったのです。どうか助けてください」


「最初からそう言えばいいものを。そしたら、私も話くらいは聞いたんだから。で、どうやったらそれは解けるわけ?」


これ以上の言い合いは時間の無駄。


ルネが素直になっているうちに話しを聞いて対策を考えることにした。


「方法は三つあります。一つ目はこの呪詛をかけた者達の死体を粉々にし、今現在も呪詛をかけ続けるために呪いを発動している場所を破壊することです」


私は一つ目を聞いて「うん。時間がかかるから無理だな。せめて場所がわかればいいけど。やること多すぎてそんな時間ないんだよな」と思い、この方法で助けるのは無理だと判断し除外することにした。


「二つ目は神の力を借りることです。神の力は呪いとは真反対の力なので簡単に解けるでしょうが、神が悪魔を助けるなんてことは天地がひっくり返ってもあり得ないので、この方法は無理です」


「ならなんで言った」と思ったがそのとき、ラブロマンのヒロインの顔が思い浮かんだ。


「ねぇ、神の力を持った人間の力なら助けられるの?例えば神官とか」


ヒロインの顔は浮かんだが、この時期はまだ聖女になってないことを思い出し慌てて神官と言う。


「神官?あんな雑魚の力でどうにかなるなら、とっくに俺様の力で解ける。聖女とかいう神のお気に入りの人間が1000人集まってもこの呪詛は解けない。それほど強力なんだ」


神官という言葉を聞いて無意識に口調が元に戻ってしまう。


「聖女でも無理なのか。意外と使えないわね」


ラブロマンのヒロインなのに使えないな。


私はそう思うとヒロインの期待値が大幅に下がった。


元々ヒロインの力を借りる気は少しもなかったが、今のルネの言葉で仲良くなる必要性もなくなった。


「おお。お前人間のくせによくわかってるじゃないか!あいつらはクソ神に気に入られただけで威張り散らすようなクズ共だからな」


ルネは聖女と神官を使えないと言った発言に気をよくしたのか高笑いをする。


「その意見には賛同するわ。でもね……誰がそんな態度とっていいと言ったかしら?切り落とされたいの?」


私は満面の笑みから一変して、悪魔のような顔に変わる。


「スミマセンデシタ。チョウシニノリマシタ」


ルネは背中から冷や汗が流れていくのを感じた。


悪魔の王の自分がこんな小娘にビビるなんて屈辱だと思うも、逆らえず素直に謝る。


「うん。それでいいのよ。それで最後の方法は何なの?」


今の二つは除外したので、最後の方法で助けるしかない。


どうか簡単なものでありますように、とたった今馬鹿にした神に祈る。


「最後の三つ目は水の妖精王アイリーンがもつ聖水です。もちろん、水の神々の中にも聖水を作れるものはいますが、神はケチな存在なので聖水は絶対くれません。ただ、水の妖精王なら条件さえクリアすればくれる可能性があります」

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