ミッション:「大好き」
5歳の娘から 手紙が届く
文面は決まって同じ
「ママへ だいすき」
可愛い絵が添えられて
何枚も 何通も
ほぼほぼ毎日 大量に
あふれた"好き"が とまらない
こっちも笑みが とまらない
日ごと増えてく宝物
大切に 箱に入れつつ ふと気づく
私が母に 手紙を書いたの いつだっけ?
"大好き"だって伝えたのは?
照れくさくて、恥ずかしくて
もうずいぶん長いこと、「だいすき」なんて、言ってない
……これは 伝えるべきじゃない?
"母の日"はある
毎年ある
だけど言葉は 「ありがとう」
決まったように 「ありがとう」
母の日 いつも定型文
「おかあさん ありがとう」
そうだけど
それは確かにそうだけど
だけど、これじゃ足りないよ?
「だいすき」
この一言も足さなくちゃ!!
よぉし、今年は頑張って
一言添えてもいんじゃない?
母の日カードにさり気なく
「だいすき」だって付け足せば
こっそりだったら 恥ずかしく
ない
……かも知れない
ついでに孫からの絵も共に
そしたら私の字から 視線は逸れる?
これできっと完璧に ""誤魔化せる"" はず!
(果たして誤魔化していいものか? いいんだきっと、伝わるよ)
計画決定
あとは実行、あるのみだ!
mission:「大好き」挑みます
だけどなかなか5歳児は、思惑くんでは動かない
頼んだって 描きはしない
娘に描かせる作戦は あえなく失敗 "プランB"
しゃーない 己で描くしかない
元より自分のことだもの
さらりさらり、さらさらり
絵を描き、添える、本心を
「だいすき」って、言うだけなのに
ホント厄介 大人って
「だいすき」
何度聞いても、嬉しい言葉なのにね?