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何でも屋⑧

「よく来たな、依頼は手紙に書いた通りだ。すぐにやってくれ」


 少年らしい高い声が広間に響く。

 その瞳は自信に満ち溢れている。


「お前が依頼者か。あの国を滅ぼしたい理由を聞かせてはくれまいか」


 良いだろうと王は腕と足を組む。

 件の国から手紙が届いた、内容は同盟の一方的な破棄と宣戦布告があった為だと得意げに語る。


「そうだよな、ゲルガ」


 ゲルガと呼ばれた男は、揉み手をしつつ、その通りでございます。流石でございます。と大袈裟に少年王を褒める。


 その異様な光景を見たリリアムは眉間にシワを寄せ、小さくウゲッと声を漏らした。

 だがカシムに横目で見られたのに気付き、すぐにいなおす。

 そして、にこやかに話し掛ける。


「それは大変でしたね、心中お察しします。ところで王様のお父様やお母様はここにはいらっしゃらないんですか?」


 その言葉にゲルガが無礼者と罵るが、少年

 はそれを制し、少女に答える。


「父上は最近病死なされた。母上も2年前に亡くなられた。今は私がおふたりに代わり国をまとめておる。このゲルガもいるから安心だ」


 な、ゲルガと膨よかな男をチラリと見る。

 男は左様でございますと胸に手を当てお辞儀をする。


 何というつまらない茶番を見せられているんだと内心モヤモヤしつつ、少女は同調する。



「他に聞きたい事が無いのなら、さっさとあの国を滅ぼしてくれないか。王もそれをお望みだ」


 ゲルガが威圧的に2人に命令する。

 リリアム達は顔を見合わせ、それなら後1つ確認したい事があると言った。


「王様はその手紙や向こうの国とのやりとりは見たりやったりしているのですか?」


 それを聞いた少年はうっと言葉を詰まらす。

 明らかに動揺している。

 やはり王といっても子供は子供、追及されるのに弱い。


「もし、そのゲルガさんに言われたからとかでしたら、それは政務になってませんわ。ただの言いなりです」


 更にウウッと苦虫を潰したかの様な表情をし、王は涙目になっていく。

 しかもそれを自分より年下の少女に言われたのだ。

 恥ずかしさも相まって顔も赤くなる。


 甘やかされてこれまで生きてきたんだろう。

 ここは年齢が近い者としていってやらねばと少女は意気込む。


「王様はそれで恥ずかしくないのかしら?人にたよるのは悪いことではありませんが、全てを丸投げというのもいかがなものかと思いますよ。王様のお父様お母様に顔向け出来ますか?」


 少年王が今にも泣き出してしまいそうなのを見て、ゲルガは少女を制す。

 そして、少年をその場から退場させた。


「とにかく、早いとこあの国を滅ぼすんだぞ!いいな!」


 捨て台詞を吐いて、膨よかな男もその場を後にした。


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