何でも屋⑦
城門前まで来た。
見上げると、先程までいた城は三角だったのに対し、こちらは四角い印象を受ける。
それに全体的に黒っぽい。
門番に話し掛ける。
表情は暗く、目の下には隈が出来ている。
「王に会いたい」
カシムが手紙を見せると、目だけ動かし、確認した勝手に入ってくれと促す。
中は入ると敷地内で戦闘訓練をしているのが見える。
幾つかの塊が出来ており、よくよく見ると剣、槍、弓、斧、魔法と得意なものを選択して取り組んでいる様だ。
どの武器にも適していない者は走り込み、盾を使い攻撃を防ぐ練習をしている。
また、得意な武器が何なのかを選定する為の列もある。
訓練する方、教えている方にも隈が出来ており、倒れ込んでいる者もいた。
一体どれだけの訓練をしているんだと疑問に思いつつも城の中を歩き回る。
なにせ案内がいないのだ。
巡回しているであろう兵達に道を聞いては、軌道修正をしていた。
それにしても自衛のつもりなのか、城内は入り組んでいてまるで迷路の様だ。
無駄に扉がある為、何処から入って、何処を通っているのかがわからない。
たまに爆発音がするので覗いてみると、何かの研究をしている部屋もあった。
「カシム、疲れた……」
まだ5歳になったばかりの少女には流石に酷だったのだろう。
カシムは片腕で少女を抱き抱える。
少女はふぅと溜息を吐くと、そのまま眠ってしまった。
それからしばらく歩き続け、ようやく王座がありそうな部屋の扉を発見する。
一際大きく、扉の端に兵が立っている事から、そうだろうとあたりをつけた。
「入ってもいいか?」
また手紙を見せつつ、問い掛ける。
兵はチラッと見ると、どうぞと扉を開ける。
流石に眠ったままの少女と一緒に入るのははばかられたので、揺さぶって起こす。
リリアムはうむぅ〜と目を擦りながらカシムの腕から降りた。
一体どんな王がいるのだろう。
どう考えても国民に良い王ではない。
王座の間に入るとそこに座っていたのは、少年であった。
齢10にも満たなそうな少年のすぐ近くにはギラギラした目をした膨よかな男性が立っている。
一目で元凶はこいつだろうとリリアムは思った。