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何でも屋⑥

 城を後にしたカシム達は売り子や子供に聞き込みをし、近場のカフェに入った。


「単純な憎み合いだと思ったのに何だかふくざつだねー。せっかく思いついた作戦がパーだよ」


 少女が2通の手紙を読み考えた作戦とは、記憶操作をして双方とも滅んだと錯覚させ賃金だけいただくというものであった。

 その為の壮大な記憶操作は全てカシムに丸投げする予定だった。

 いくらカシムといっても、これ程の大魔法はかなり骨が折れる。


 正直なところ普通に殺っちゃいたいし格好が悪いと思ったが、両者とも支払いは達成後だった為それをする以外手立てがなかった。

 依頼達成条件とは依頼者が達成出来てると認識したらである。

 その為、リリアムの案でも充分達成したとなり制約は受けない。



「私としては無駄な魔力消費が抑えられて良かったがな。で、次はどうする?」


 ちょうど紅茶とスイーツが運ばれてきた。

 思わず目を奪われる。

 リリアムはフルーツタルトを頬張りながら、


「とりあえず、もう1つの依頼者の方にも話聞きに行こうよ。そこから色々考えたい」


 カシムは行儀が悪いぞとたしなめるも、今大事な話してるんだから後にしてとスルーされた。

 機嫌を損ねると厄介な為、今だけは従う事にし少女の話に耳を傾ける。


 彼女が言うには、今まで同盟を組んでいたのに一方的な破棄はおかしい。

 あの国王や国民を見る限り、きな臭い感じは無くここは真っ当な国である。

 仮にこの国が悪いのであれば一方的に破棄はあり得るがそうではない。

 帝国の方で何か変化があったのかもしれないとの事だった。


「わかった。ではもう少し休憩したら行こうか」




 ーーーー




 ベリオット帝国。

 軍事力にたけ、主に武器の生産や研究をおこなっている。

 徴兵制度があり、女子供以外は皆戦う術を持っている。



 先程の国とは打って変わって、国民達の顔が暗く感じる。

 目つきが鋭く、生きるのに必死というのが目に見えてわかった。


 そこで近くの商人に話し掛ける。

 この商人は商売の為に各国を渡り歩いているが、以前はこんな雰囲気ではなかったと語った。


 この国の民達にも話を聞いてみると、

 今の状態になったのはごく最近。

 男達が徴兵された上、近々戦争をするとかで蓄えも吸い上げられてしまった。

 税金も重くなった為、食べる物にも苦労している。

 盗みをする者も現れ、皆疑心暗鬼になっているとの事であった。


 言われてみれば、いるはずの働き盛りの男はあまり見かけない。

 見かけるのは商人、女子供、年寄り、何かしらの障害を抱えているものが殆どであった。


 リリアムは魔族の男の手をギュッと握り、足早に城を目指した。



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