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何でも屋②

 カップを傾けながら問い掛けをする。


「この後はどうするんだ?」


「さっきお花つめなかったから別のところつんでくる」


「その後は?」


「うーん………あ、まだ読めない本があるから読んで」


「わかった、読んで欲しい時に声を掛けてくれ」


「はーい」



 毎食後のティータイム時は大体この様なやり取りが日課となっていた。

 まずカシムがリリアムにこの後の予定を聞き、リリアムがそれに答える。

 何かして欲しい時はこの時にお願いをするという形である。

 面倒を嫌うカシムが自分的に効率の良い方法を考えた結果である。

 これを思い付くまで……厳密にはリリアムが慣れるまでは彼女に振り回されてばかりであった。


 リリアムが物心つき始めたのは3歳頃からだ。

 それまでは動物の様だったのに気付いたら会話が出来る様になったと後にカシムは語った。


 赤ん坊の頃からカシムの魔法を見ていたからか、食事の時は魔法で遊び、かと思えばいつの間にかいなくなり、追い掛けると遊んでもらってると思い全力で逃げる。

 酷い時は1日帰ってこない時もあった。

 その時のリリアムは森の魔物達と遊んでいた。

 いや、森の魔物達で遊んでいたのかもしれない。


 彼女自身生まれながらに強大な魔力を持ち、既にある程度自在に操れたので怪我や死亡する心配は無いにせよ、これが毎日であった為彼は精神的に疲弊をしていた。


「これは何とかせねば私が辛い……」



 そんな訳でカシムは試行錯誤を繰り返し、ようやく今の理想的な形になったのだ。

 あの時の事を思い出すと軽く身震いがする。




「「ご馳走様でした」」


「それじゃカシム!いってきまーす」


 少女は花籠を持ち、手を振りながら食堂を後にした。


 それを見送ると彼は自室へ向かう。

 廊下では掃除をしている人形達を見かける。

 この城の管理はカシムが魔法で操作している人形達が全てを担っていた。

 自分の知識の無さが露見しない為にはこうする他手立てがなかったのである。


 原理としては、自分が他の魔族や人間に紛れて屋敷等に行った時、そこで従事していた者達の能力を魔法でコピーをし、人形に移したものである。

 なのでいちいち指示を出さなくても勝手にやってくれるのだ。


 この事をドラコが聞いてきたので話したら、


「意味がわからん」


 何を言っているんだろう、不思議でならない。



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