プロローグ
こんにちは
カタカタカタ
「はい、ロンパ〜!お前の考え方ガバガバすぎだろ!」
暗い部屋の中、俺は高らかに悦に浸っていた。何せ、頭の悪いやつを盛大に、ネットの中で、潰すのは気分がいい。まぁほんとに頭の悪い奴は論破されることに気づかずに、話し続けるんだがな。
次の獲物を探そうと、マウスカーソルを動かし、スレを探す。
24で働かずに、こんなことする。俗にいう、ニートって奴だ。社会不適合者だ。名誉的には最悪だが、相反して案外楽しい。
なんてったて、毎朝早起きする必要もなく……まぁ、そんな感じだ。
家族を無視すれば、ネットやらは、好き放題できる。たまにWi-Fi抜かれるけど。
今日も来てしまったようだ。階段を登る音が聞こえる。
珍しいな、今日は1人じゃない。何人かぎ一斉に上がって来ている。
えらく、激しい音を立てて、扉は開かれた。どうやら家族全員いるらしい。
「……」
父、母、兄2人、そして、後ろにちょこんと妹がいた。
が、誰も一声も発さない。そのかわり、俺への睨みが酷いが。
「どうしました?家族総出で。ついに働けとでも言うのでしょうか?」
俺は少し煽り口調っぽく問いかけてみた。
すぐには答えなかったが、やがて両親が口を開いた。
「まぁ、似たようなものだ。簡単に言うと、この家から出て行って欲しい」
おいおい、唐突だな。そう言うことは事前に言っておくのがセオリーなんだけど。
「どうしてでしょう?お父様?」
「はっきり言うけど、あなた邪魔なのよ。経済的にも、視覚的にも。収入もないのに、月に数万円もあなたに支払っているのはおかしいと気付いたの」
「そうかい。自分でも言うのはなんだが、少しばかり気づくのが遅いんじゃないか?」
俺は両親が嫌いだ。小さい頃から、俺に目もくれずに、他の兄妹ばかりに愛情を注いで。
そのせいで、俺は性格的に内気になり、友達ができず、挙げ句の果てに学校特有ののいじめにあった。それから不登校になったんだよな。
「このゴミが!」
まぁここでは兄Aと呼ぶかw
で、兄Aは俺に俺に飛びかかるがおとぅーさまの手によって制される。
「あれ?助けてくださるのでしょうか?ありがとうごさいま」
そうやって、父さんにお辞儀をしようとした途端、重量級の拳が俺の頬を捉えた。鈍い音を立てる。
「でてけ。目障りだ」
ここは撤退するしかなさそうだ。財布とパソコンを持って家を出る。流石に着替える時間はくれた。
「じゃあなクズ兄貴」
「ああ、さようなら愛するアーニーよ」
俺は、これ以上とやかく言われないためにも、玄関のドアノブに手をかける。
「なんだ?」
可愛い妹が俺の裾を年相応の力で、引っ張っていた。
「……気を付けてね」
「……ふっ。じゃあな。愛しき妹よ」
人生の中で「気を付けてね」と言う言葉はかけられた事があっただろうか?
俺は、記憶の引き出しを開けながら、気持ちの悪い実家を後にした。
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