侵略者
騒がしい密室で、私は一人、歌を歌う。
大音量のサウンドが、私の血肉を沸き立たせ、テンションは、最高潮。
歌いきる、幸せ。
声を出せる、幸せ。
ここは、私だけの、天国。
ここは、私だけの、ステージ。
誰も私の歌を、とめたりしない。
誰も、私の勢いを、とめたりしない。
曲と曲の合間に、六人座れるソファの真ん中を陣取って、テーブルの上の予約端末に、入力する。
ああ、次の曲が、始まった。
立ち上がって、出だしのシャウトをきめる。
よっしゃ!良い声、出たー!
ノリノリで、歌う。
ペアで歌う曲だけど、気にせず、歌う。
掛け合いも、一人で歌う。
おお、なんと楽しい、ワンマンショー!
調子に乗ってポーズをきめたその瞬間!
「ねーねー!いっしょにうたお・・・。」
げげ!!
侵略者、キター!
侵略者の目の前には、銀髪の女子。
・・・ずいぶん前に、女子だったものですけれども?
流れ続けるミュージック。
無言のまま見つめあう、金髪少年と、銀髪ばあさん。
聞こえてきたであろう歌声は、この老婆が発しておりましたが、何か問題でも。
若者が好んで歌うボーカルロボの曲を歌わせて頂いておりますが、何か問題でも。
侵略者は、物言わず、そっとドアを閉め、去っていった。
・・・。
侵略者の乱入で、一番のガナリどころをスルーしてしまった。
ありえない。
よし、リスタートだ。
きっちりがなって、大満足。
その後、のどが枯れるまで、オンステージは続きましたとさ。
ハイ、満足、満足。
二回ほど、凸されましたヘ(≧▽≦ヘ)♪