おばあちゃんといっしょ
「は~い、みんな。また明日ね~。」
「先生、さよなら~。」
家が近い子は親の到着など待っていられない、とばかりに何人か連れ立って帰っていく。
俺の家も近い部類ではあるが、おとなしくしていた方が周りが安心するので待機だ。
「お~い。堅~。迎えにきたど~。」
俺の送り迎えは、ばあちゃんが毎日してくれている。
俺は電動アシスト自転車の荷台に載せられる。
荷台とは言ったがただのカゴだ。少し窮屈ではあるがいつものことだ。
「堅、腹減ったべ? 帰ったら親子丼作るからな。」
「ばあちゃん、保育所で弁当食べたから大丈夫だよ。」
「そうか?じゃあ、晩まで少し待つべ。」
俺の親は両方とも公務員で、帰りが夜の8時頃。
晩ご飯は平日はばあちゃん、休日は母さんが作る。
家で一緒に居るのが一番長いのはばあちゃんだ。
「家さ帰ったらトイレ済ませて、手洗いうがいするんだど?」
「はーい。」
◇
家に着くとトイレに行きたくなるのは何なのだろうか。
他所では無意識に気を張っていて、家でその糸が緩むから、とか?
まあ、なんでもいい。
靴を脱ぎ、四つん這い(要は「ハイハイ」)で前進する。
こっちの方が早い。
こんなことを競う機会はないが、その速度なら同年代の健常者にも負けなかっただろう。
ちなみに、壁があればそれを支えにして立ち上がるくらいは可能だ。
伝って歩くことも可能。壁が途切れたらモモンガの如く飛び移る。
3歳の自分が自力で歩けないのは、自分の体重を支えられないのが
主な理由だ。(もちろん、身体の可動域が狭いのもあるが。)
あとはばあちゃんと一緒に幕内の相撲中継を見ながらゆったり過ごすのが日課だった。
プロローグが長いなあっ!w
実はまだまだ続くんです…。もはやあらすじ書き直さないといけない気がしてきた。