ダンジョン48
本日は4話連続投稿です。
こちらが1話目。
夢を見た。
見たくもない、思い出したくもない内容だった。
俺がここに来る前に務めていたブラック企業。
俺の自殺によってその闇全てを白日の下に晒そうとしたが、結果俺の残した遺書は全て上の連中の息のかかった連中に見つけられ、それが世に出ることは無かった。
あくまで夢。されど夢。
ありえないはずなのに、俺はどうしてもその夢が現実に思えて仕方が無かった。
……駄目だ。こんな調子じゃまたリコに心配かけてしまう。今日は10階のボスに挑むと決めた日だってのに。
9階のモンスターハウスの仕組みを理解した次の日から、俺たちは9階の周回を始めた。
最初は全然相手にならず、ある程度数を減らして10階に逃げるという作戦で少しずつ経験値を貯めていった。
ちなみに10階から9階に向けて魔法を打ってみたら、階段から転げ落ちたゴブリンのように途中で消滅してしまった。
やはり楽してはいけないという事だ。
倒しては逃げて休憩し、また挑んでは休憩。全部倒したらまた罠を作動させ倒す。
それを繰り返し、気が付けば途中休憩しなくても一回のアタックで全滅させれるようになった。
それからも何度か周回を重ね、効率よく倒す方法も確立し、DPもかなり貯めることができた。
さらにスキルレベルが上がったことにより、俺の近接戦闘技術もある程度上がったと思う。
結果、10階のボスに挑んでも大丈夫だろうと2人で考え、あれから2週間経った今日、扉の先に進むことを決めていた。
ふぅーっと大きく息をはきだし、乱れた息を整える。
汗で髪の毛が引っ付いて若干気持ちが悪い。
せっかくリコより早く起きれたんだ。見つかって心配かける前に身支度をしなくては…。
コンコンガチャ
「おはよう。守さん起きてる………って、どうしたの!?凄い汗だよ!?」
…見つかってしまった。
と言うか今のではノックの意味が無いだろう。
「ああ、すまん。大丈夫だ。ちょっと嫌な夢を見ただけだから。」
そう言って安心させようとするも、リコはジトットした目をこちらに向けてくる。
「………うそ。その顔は何か隠してる顔ね。」
…相変わらず鋭い。
「本当だって。ただちょっと夢見が悪かっただけで…。」
「……………本当に?」
「ああ。それに隠したところですぐにリコにはばれるだろ?本当に無理ならちゃんと話すから安心してくれ。」
「…絶対だよ?」
そう言うとリコは俺の寝室から出ていった。
相変わらず良い勘してるよ。
ただこんな漠然とした話を、今日みたいな大事な日にはできないからな。
簡単に身支度を整え俺も部屋を出た。
広間で待っていたリコと一緒に朝食を取り、今日のボス戦について事前打ち合わせをする。
ちなみ今日までの周回の成果がこちら。
NAME 檀上 守
Lv 21
HP 118/118
MP 26/26(36)
STR 35
VIT 35
INT 31
MID 26
SPD 29
DEX 25
LUK 27
スキル
・マップ レベル14
・危険察知 レベル8
・体術 レベル19
・土魔法 レベル12
・剣術 レベル21
・鑑定 レベル10
・MP自動回復 レベル5
RACE ニワ・トリ(亜種)
NAME リコ
Lv 12/20
HP 105/105
MP 88/88
STR 27
VIT 28
INT 39
MID 27
SPD 35
DEX 24
LUK 24
スキル
・風魔法 レベル22
・人化 レベル36
・MP自動回復 レベル8
先ずレベルが俺は4、リコは5上がった。
ステータスもそれなりに上がったし、色んなことを試してみたからスキルレベルも結構上がっている。
危険察知は大部屋に着くたびに反応してたから良い経験値稼ぎになったんだろう。
剣術は俺のメインスキルなので上がってくれないと逆に困るし、体術も魔物に囲まれた中での戦闘を経験することで徐々に体のキレが良くなったように思う。
土魔法もサブで使っていたらそれなりにレベルが上がり、無事俺も範囲魔法が使えるようになった。
そして俺の中で一番嬉しかったのは、鑑定のレベルが10に上がったことによりDPの交換リストにも簡単な説明文が出るようになった事だ。
今までは実際に交換してからでないと鑑定できなかった為交換するのに躊躇することも多々あったが、そんな心配はもういらない。
MP自動回復もレベル5まで上がり、今では6分に1MPが回復するまでになった。
新しく覚えた土魔法はこれ。
・土魔法 ロックシャワー
消費MP 5
石の雨を降らす魔法
上空より多数の魔法の石を降らす
魔法であるとともに物理的な打撃効果もある
範囲は広い為、複数の相手に有効
発動位置を誤ると自分にも当たってしまうので要注意
説明にある通り、発動範囲をある程度定めることができる魔法で、最初試し打ちした時に失敗して自分に当ててしまいえらい目にあった。
リコのエアカッターと比べ、どちらにもメリット・デメリットがあるので状況によって使い分けたい。
エアカッターは、自分の目の前から発動できる為、魔物に近づかれても効果は高いが、離れすぎたら効果が薄い。
ロックシャワーは、近距離には向かないが、離れた場所の魔物を一網打尽にできる。
隊列上、俺がエアカッター、リコがロックシャワーならより良かったんだが…、まあ言っても仕方がない。
次にリコのスキルを見てみよう。
まず風魔法がレベル20を超えた。
これにより新しい魔法も覚え、周回効率が格段に上がった。
そして一つだけ際立ってレベルの高い人化。
リコの努力によりレベルがどんどん上がっていたようで、今ではその効果は【 必要MP7 消費MP1/26分 】となっている。
またMP自動回復も8まで上がり3分に1MPが回復するようになったので、最近はダンジョン内でも常に人化状態で過ごすようになった。
リコ曰く、人化スキルは継続時間によって取得経験値にボーナスのようなものが付く可能性がある、との事で、1日中人化状態でいることによりレベルアップが早くなったらしい。
当然最初の頃は戦闘時に戸惑いがあったが、慣れてしまえば今までと同じように動けるようになった。
ニワトリよりは大きい為被弾の可能性も高くなったわけだが、それ以上に、常に声で意思疎通ができる方が大きいからな。
で、リコが新しく覚えた魔法がこれ。
・風魔法 ヘイスト
消費MP 10
風の加護を与えSPDを一次的に上昇させる魔法
上昇値、継続時間は風魔法のレベルによる
ゲームでは、特にターン制のRPG等では余り重要視されない事の多い魔法だが、現実で使えたらこの上なく強力な魔法である。早く動けるということはそれだけで有利なのだ。
魔物がひしめくモンスターハウス内でも、早く動けるイコール攻撃スピードも速くなるわけで、相手から攻撃を受ける前にバッタバッタと倒していくことができた。
当然疲れは同じようにたまるので常にというわけにはいかないし、急激なスピードの変化に慣れるのに最初は大分苦労したが、それでも非常に便利な魔法だ。
戦闘中でなくても普段から使っておけば移動時間も大幅に短縮できるし。
というわけで最終的には、
9階モンスターハウスに行く。
敵を全滅させる。
一度拠点へ帰りMP回復。
再び9階へ。
と言ったサイクルで、1日に4000p以上も稼ぐことも出来た。
まあ常に大量の魔物と戦い続けるのは精神的にも疲労が大きいので、あまり根をを詰めすぎないようにして、空いた時間はスキルのレベルアップや、効率のいいスキルレベル上げの考察などをして過ごした。
これだけ魔物を倒して来たら当然DPも大量に貯まることになり、2人で話し合って生活に必要なものと交換することにした。
今日までに稼いだDPをざっと計算してみると、何と約35000pにまでなっていた。
当然食事などで使用もするし、その食事も少しずつグレードアップさせているので、食事などの生活必需品を除いた物に使えるDPは約28000p。
最初は新しくスキルを得ようかとも思ったのだが、現状取得可能スキルの内早急に必要だと思えるものは無かった為保留とし、生活水準を上げる方面に使う事とした。
勿論、有れば便利なもスキルはそれなりにあったが、今絶対に必要!というものではなかったので次の機会に取ることに決めた。
DPの使用先は、主に部屋を増やしたり内装を変えたりとかに使った。
一人暮らしのマンションをイメージし、二人であーでもないこーでもないと話ながら作った。
まあ今はその辺の事は置いておくとしよう。
遂にボス戦。
気持ちを切り替え意識を集中し、俺とリコはポータルを起動させ10階へと向かった。




