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ダンジョン攻略物語  作者: ノジー・マッケンジー
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ダンジョン39

無事転送機のある部屋まで戻り、拠点へと帰ってきた。


リコのおかげで大分落ち着きはしたが、流石にこれ以上リコに心配をかける訳にはいかないので一旦休むことにする。


にしても、自分の事で必死だったので気付かなかったが、リコは大丈夫なんだろうか?

直接切ったり刺したりしたわけではないが、リコだって魔法でゴブリンを倒している。

それにリコは女の子だ。男の俺がここまで情けない姿を見せておいて言うのも可笑しいかもしれないが、リコだってトラウマになっても不思議ではない。

考え出すと途端にものすごく不安になってくる。


「あ~…、その、リコは、大丈夫…なのか…?」


恐る恐る聞いてみる。


「私?んー、大丈夫だよ。多分元がニワトリの魔物ベースっぽいから、そういうのに対してはなんだか耐性があるみたい。」


特に俺に気を使って言ってるわけでもなく、どうやら本当の事のようだ。


「だから、私の事より自分の事を心配して。」


真剣な顔でそう言ってくる。

…よっぽどひどい顔してたんだろうな…


「分かった、じゃあちょっと休ませてもらうわ…。」


そう言って寝室に向かう。

はあ…、ホントに心配かけてばっかりだな…。

ちょっと休んで、早く調子を戻さないとな。









 ~リコ視点~


守さんが部屋に入っていったのを確認して、私はその場に座り込んでしまう。

今さらながらに体が震えてきた。

でも、あんな顔した守さんの前で私まで潰れちゃうわけにはいかないもの。ポーカーフェイスが頑張ってくれてよかった。


でも、張りつめていた緊張の糸がプッツリと切れてしまったかのように、私の体から力という力が抜けてしまい、その場から一歩も動けなくなってしまった。

こんな姿見せたら守さんに心配かけちゃうよね…。

素直に寝室に向かってくれたことに心から安堵するも、体の震えは中々収まらない。

守さんの方が私なんかよりもっとつらい思いをしてるはずなのに…。


至近距離で直接、それも刃物を用いて肉体を持った相手を殺すという行動に、彼の精神が病んでしまっても可笑しくない。

私なんかもっと離れた場所で、しかも直接手に感触を感じたわけでもないのに…。





元の世界でたくさん読んできた小説。

その中には生き物を殺してしまったことで精神が壊れて、人格が狂ってしまった主人公の話もあった。

守さんをそんな風にはさせたくない。


きっと本人はそんなに大したことないと思ってるはず。

でもあの顔は、剣を振り下ろすときに一瞬だけ見せたあの顔は、守さんの心の奥のトラウマのようなものに繋がっている。そんな気がしてならない。


元の世界で守さんにどんなことがあったのか、どんな人生を歩んできたのかは分からないけど、とてもつらい経験をしてきたんじゃないかな…。

今私にできることは彼を支えてあげる事。もう二度とあんな顔をさせたくはないもの…。



心の中で決意を固めて、少しだけ震えの治まった体を何とか動かして自分の寝室へと向かった。


私が…、私がもっと頑張らないと……。











【 条件を持たしました 】

【 称号『※※※の●△』によりスキルが与えられます 】

【 檀上守 は スキル『恐怖耐性』 を得た 】

【 リコ は スキル『恐怖耐性』 を得た 】

【 以降 パーティメンバーには自動で同スキルが与えられます 】












 ~守視点~


気が付けばもう夕方になっていた。

ずいぶんと眠ってしまっていたようだ。

部屋から出てリコを探すも見当たらない。

まさか一人でダンジョンに入っているとは考えにくいので、おそらく自分の寝室に入っているのだろう。


しかし思っていた以上に参っていたようだ。

ちょっと休むだけのつもりが、気が付けば数時間眠っていた。


午前中に拠点に帰ってきてお昼を食べていないので現在お腹がすいている。

どうやらお腹がすくぐらいには気持ちは持ち直しているようだ。



さて、一人で先に食べるわけにもいかないし、リコを呼ばなければ。

おそらく中にいるであろうと思い、寝室の戸を叩き声を掛ける。



コンコン…


「リコ、いるか?」


声を掛けるも返事が無い。

寝てるのか?…いや、まさかと思うが中にいない可能性だってある。


…中を見てみるか…?


いやいや、相手は元々女子大生だぞ。ここで部屋を覗いたら完全にアウトじゃないか!?

何とか理性を働かせて出しかけていた手を引っ込める。


しかし、もし1人でダンジョンに行ってたとしたら…。


居るかどうか確認するだけ…。そう自分に言い聞かせ、そっと扉を開ける。


「あ、開けるぞー…。」


言い訳がましく小声で喋るが、おそらく中に居たとしても聞こえては無いだろう。





扉を少しだけ開けて中を除くと、そこにはベットに横になったリコの姿があった。

俺はホッと息をつき、扉を閉めようとするが、扉が自分の足にあたりガタッと音が鳴ってしまう。


「ん…。」


しまった!起こしてしまったか!?

音に反応してゆっくりと起き上がるリコ。

寝ている女の子の部屋を覗いているという今の状況、客観的に見ても非常によろしくない。

焦りながらも頭の中はパニック状態。とりあえず思いつく限りに言い訳を並べてみる。


「あ、すす、すまん!姿が見えなかったからもしかして1人でダンジョンに言ったんじゃないかと思って!」


慌てて言葉を紡ぐも、何やらリコの様子がおかしい。

どこかボゥっとしていて焦点があってない感じがする。


「リ、リコ…?」


何やら様子がおかしい気がする。

部屋へ入り、リコの肩に手を置いて揺さぶる。


「おい!大丈夫か!?」


次第に目の焦点が合っていき、少し潤んだ瞳が俺の姿を捉える。


「まもる…さん…。」


良かった、意識はちゃんとあるようだ。

もしかしたら夢見が悪かったとかだろうか?

ホッと一息つくも、次のリコの言葉で再び俺は固まることとなる。



その視線は俺の顔から自分の肩に置かれている手に移り、そしてまた俺の顔へと戻る。

そして顔を赤らめ、


「…私……襲われちゃう…?」



……………。




静寂が場を支配する。





「………襲いません。」


手をどけつつ何とか言葉を絞り出す。


「お、お腹すいてないか?ごはん食べようぜ!」


リコに背を向けつつそう言って部屋から出る。

心臓はバクバクと大きな音を立て、リコにまで聞こえてるのではないかと思う程であった。


「…………………ったのに…。」


部屋を出るときに何か聞こえたような気がしたが、扉が閉まる音にかき消されよく聞こえなかった。












リコと二人で遅い昼ごはん兼少し早い夕飯を食べる。

二人とも先ほどの事をなかったかのように接しているので気まずい空気は無い。無いったら無いのだ。




夕食を食べ終え、今後の事について話をする。

これから先も、このダンジョンを攻略するつもりならもっといろんな種類の魔物が現れるはず。

それこそゴブリンなんかよりももっと人間に近い姿の魔物だって出てくるかもしれない。



俺たちにできる選択肢は2つ。

1つ目は、このダンジョン攻略をあきらめる事。

4階までのガイコツなら戦うことができるからそこでDPを貯めつつ生活する。


2つ目は、ダンジョン攻略の継続、すなわち今回のような戦闘に慣れることだ。


1つ目の案は、前に考えたように不確かではあるがデメリットが大きすぎる。

やはり2つ目の案、戦闘に慣れるしかないのか…。



しかしこうやって考えていると、不思議と先ほどより戦闘に対する恐怖心が薄くなっているように感じた。

一度経験することによって吹っ切れたのか。

それともリコの言葉が思った以上に支えになってくれているのか。


リコと話を進めながらも、頭の中ではすでに、どうやってゴブリンを乗り越えるかといった考えになっている。


どうやらリコも同じ考えのようで、話の内容は『対ゴブリン』にシフトする。

結局、最初は可能な限り魔法で倒して、調子の良い時に接近戦で戦うという方向に決まった。

最悪、3階に出てきた玉と同じように魔法しか効かないと思って戦えば大丈夫だろう。



リコと話をして今後の方針は決まったが、今日はすでに昼食とも夕飯とも言えない食事を終えている。

しかし微妙に時間が余っているので、このまま一日が終わるのはなんだか勿体ない気もする。


早めに体を休めるのもいいが、先ほどまでしっかり寝ていたので今は全然眠たくはない。

仕方がないので、リハビリがてら4階を1周することにしてこの日の探索は終わった。



明日はまた5階。

覚悟は決めたが…俺は戦えるのだろうか…。

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