ダンジョン27
あれから、俺の話をニワトリ状態のリコが聞き、MPが回復したら人化してもらってリコの考えを話してもらうのを繰り返した。
話してみて分かったのだが、リコのゲームに関する知識はすごい。
自分で重度のゲーマーだと言っていたが、さすが自分で言うだけあるなと思えるほど色々な細かい事に気づいてくれた。
俺も元々ゲームは好きなので、話しているとついつい脱線してしまうことが何度もあった。
それから、さっきリコが進化するときに考えた事を伝え謝罪もしたが、リコは最初きょとんとした顔で話を聞き、それから笑いながら簡単に許してくれた。
結局昼からは情報共有の時間となりダンジョンに潜ることはなかった。
今回の事で気が付いたのだが、この拠点内にいると大体2分でMPが1回復するようだ。
リコがMPを使い切って次に人化を使うまで大体40分ぐらいだったのでおそらく間違いないだろう。
なので10分人化して40分休憩するサイクルで、昼から6サイクル程繰り返したが、その間人化のレベルが1上がったようで人化できる時間が最初より1.5倍に増えた。
あまりに話が盛り上がってしまい気が付けばいつも夕飯を食べてる時間を過ぎてしまった。
「おっと、もうこんな時間だ。そろそろ夕飯にしないとな。」
俺がそう言ってリストからパンを準備しようとすると、リコが恥ずかしそうに聞いてきた。
「あ、もしよければなんだけど、今日はこの姿で食べちゃダメかなぁ…、なんて。あ!ダメなら全然いいんだけど!…ただ久しぶりにニワトリじゃない姿でご飯食べたいなって思って…。」
……そう…だよな。
元が同じ人間なんだからそう思うのは当然の事なのに、何で気付いてやれなかったんだろう。
よし、今日は進化を祝うと名目で食事を奮発しようか。
…DPに限りがあるからある程度だけど。
冷やご飯 50p
冷めた味噌汁 50p
酸っぱい漬物 30p
お茶 20p
こ、これくらいが限界か…。
というかいつも思うんだが、このリストポイントのバランスが悪すぎると思う。
まあ文句言ったところでどうしようもできないんだが。
食事中にニワトリに戻ってしまうと困るので、一旦MPを回復してもらってから食事を始めた。
2人で黙々と食事を進める。
白ご飯なんて何日ぶりだろう…。
この小さな幸せを噛みしめる様に食べていると、目の前にいるリコも同じような顔で食べていた。
この子はこの子で苦労してるもんな…。
ご飯とみそ汁に漬物だけと言う非常に質素な、しかし今の俺たちにとってはとても贅沢な食事を終えホッと一息つく。
ちなみにリコは食べ終わってすぐに時間切れでニワトリの姿に戻っている。
ギリギリ間に合ってよかった。
奮発したせいで残りのDPは98pになってしまったが、せっかくのお祝い兼リコの歓迎会のようなものだ。出し惜しみする必要はない。
できれば毎日このレベルの食事ができるように頑張らないとな。
~リコ視点~
あ~、久々に人間らしいご飯が食べれた…。
まあパンも悪くないけどやっぱり日本人としてはお米がいいよね。
DP結構高かったはずなのに歓迎会って言われたら断れないよ。感謝感謝。
…ついつい何もしゃべらず黙々と食べちゃったけど、守さんも同じような顔して食べてたしいいよね。
そうそう、最初彼は私とそんなに変わらない年だと思ってたけど、26歳って聞いてびっくりした。
わりと童顔だからかな。自分でもよく学生に間違われるとは言ってたけど。
年上だってわかった時に敬語の方がいいかと思ったけど、二人しかいないし気を使わなくていいってことでしゃべり方は今まで通りにさせてもらってる。
ただ名前だけはさん付けで呼ぶことにしたの。
「守さん」って呼ばれてなんだかもにょもにょした顔してたけど、照れてたのかしら?
でも、こんなに話が合うとは思ってなかったな。
ゲームにしてもネット小説にしてもだいぶ趣味が似通ってたから話してても楽しくて、ついつい本題からそれた話ばっかりになっちゃった。
それと進化の時に自分が進化先を決める気になってたことを謝ってくれたけど、もし私が逆の立場だったら間違いなく同じ事考えると思うし全然気にしてないんだけど、わざわざ話して誤ってくれるあたりやっぱり根は真面目な人なんだなって思った。
それにしても、守さんはここに来てから大分慎重に攻略を進めてきたみたいね。
私なら、魔法とか小説を読んで憧れてた色んなスキルが取れるって分かったら、食事やその他の事は考えずにポイントたまったらすぐに取っちゃいそうだけど。
彼の場合そうはしなかったみたいね。
話の中でリストの内容もある程度聞いたけど、中に「武器 棒切れ 20p」とかあったのに何で取らなかったか聞いてみたの。そしたら、
「今はそれがなくても問題なく倒せてるからいらない。」
だって。
確かに今必要ないと思ったものをわざわざ取る必要はないけど…。
魔法の時もそう。必要に駆られたから取ったって感じだったね。
部屋も必要最低限ではあるけど、後先考えずにスキルを取って生活が苦しいってことはないし、ちゃんと考えてるんだなって思った。
最初この拠点に来たときは、20メートル四方の部屋の真ん中に大きな岩、そして部屋の端の方に藁が積んであるだけだったから、こんなところで生活してるの!?と驚いたけど、ちゃんとトイレや水浴び場も作ってあったし、話を聞く限り今までの稼ぎで考えると十分だと思う。食事も贅沢してるわけじゃないし。
そう考えたら流石社会人だなって思うよ。
私も最初は、不老不死のスキルもあるんだしもうちょっと大胆に攻略を進めていってもいいんじゃないかな?って思ったけど、やっぱりゲームと現実は違うからね。
死なないとわかっていてもやっぱり怖いものは怖いと思うし、それに社会人として経験してきた分私たちよりもより慎重に物を考えるのかもね。
まあ、元々の彼の性格って可能性もあるけど。
それよりも、気になったのはやっぱり死神の存在ね。
守さんが一切気づくことなく近づかれて、気が付いた時にはもうやられてたってことらしいから、今の私たちが出会ったら即ゲームオーバーね。
特に私は『不老不死』なんてスキルも持ってないし、一度やられたらその時点で多分おしまい。
…私も不死のスキルとか取れないかしら?
リストに載ってないか後で聞いてみよ。
まぁとりあえずは、明日からもダンジョンの先を目指しながらDPを貯めるのが目標ね。
それと個人的な目標としては、進化を繰り返して人間になること!
今回の進化も、おそらく私が人間に戻りたいって強く思ってたから現れた特殊進化じゃないかって話だし、これからの行動次第では最終的にニワトリから抜け出せるかもしれない。
今までの話から、多分元の世界に戻れるってことはないと思うから、ならせめて元の姿ぐらいには戻りたいよね。
あくまで可能性の話だけど、志は高く!
これからも頑張らなくちゃ!
~守視点~
食事も終わりまったりしているところに、MPが回復して人化したリコが話しかけてきた。
「ねぇ守さん。DPのリストの中に、不死のスキルとか身代わりになってくれるアイテムとかって無いかな?」
最初は質問の意図が分からなかったが、ちょっと考えればすぐに思いつく話だった。
そう、俺には『不老不死』があるけどリコにはない。
もし運悪く死神が現れたらリコは…。
すぐさまリストを開き該当のスキルやアイテムがないか探すが見つからない。
いや、あるのはあるのだがその必要DPが高すぎて今の時点ではどうにもできない。
身代わり人形 100000p
所持者が死んでしまう程の攻撃を受けた時に一度だけ身代わりになってくれる人形
一度使用すると無くなる。
10万ポイントとか、いつになったら手に入れることができるのかまるで見当がつかん。
「そっかー、やっぱりないかぁ…。」
おそらく想定内ではあったのだろう。
落ち込んでる感じはないが、どうしようか考えてるような顔だ。
「守さんのスキルが、パーティメンバー全員に効果を発揮する、とかだったら一番良かったのにね。」
中央の岩に寄りかかりながらリコが言う。
その岩、ただの岩じゃなさそうだからそんな簡単に寄りかかったりしない方がいいと思うんだが…。
だが確かにそうだな。
『不老不死』にしても『メニュー』にしても、他とは違う特殊なスキルっぽいし…俺のレベルが上がったらその内できるようにならないかな?
そんなことを考えてると、いきなりリコの後ろで岩がピカッと輝いた。
「うわっ!な、なに!?私なんかやっちゃた!?」
驚いて飛びのくリコ。
光はすぐに収まったが、その後さらに俺たちを驚かせる事が起こった。
【 意思の一致を確認しました 】
【 スキルの共有化を申請します… …承認を確認 】
【 条件を満たしたため拠点レベルが上がりました 】
【 スキル「不老不死」並びにスキル「メニュー」の共有が可能となりました 】
【 管理者設定… スキル管理者を壇上守に設定 】
【 共有者の使用可能範囲を定めてください 】
……なんてタイミングだよ、まったく。




