ダンジョン26
拠点に着いた俺はとりあえず食事の準備を開始する。
色々あってお腹がすいている。
初めての宝箱、リコの進化、そして人化。考えることは色々あるが、腹が減っては戦はできぬ。
いつも通りパンを二人で食べ、MPが回復するまで休憩した。
布団に横になり、今日は午後からの探索は休みにした方が良いかもと考えているところにリコがやってきた。
ステータスを確認するとMPは全回復している。
「よし、じゃあ頼む。」
布団から出て立ち上がり、リコに人化を使うよう頼む。
1つ頷き、リコの体が光に包まれる。そして現れたのは、先程俺の胸で泣きじゃくっていた女の子だった。
「ど…どうも。」
ちょっと緊張したような、それでいて照れてるような表情でリコはしゃべり始めた。
「えーと、な、何か緊張するね。」
俺も緊張している。
先程お互いに抱き合っていたのを思い出し何となくもにょもにょとした空気になる。
「えーと、リコ…で良いんだよな?」
「うん。あなたが付けてくれた名前。私がリコです。」
その時を思い出しているのか、噛みしめるように言葉を発する。
「リコ、人化の時間には限りがあるから、とりあえず聞きたいことを聞いてもいいか?」
「うん、いいよ。私の答えれる範囲ならだけど、何でも聞いて。」
「じゃあ、まず一つ目。君は一体何者なんだ?元々魔物なのかそれとも…、元人間の転生者なのか?」
一番気になっていた質問をストレートにぶつけてみる。
「うーん、話すと長くなるから要点だけ纏めるね。私は元々違う世界に住んでいた、所謂転生者だと思う。元の世界で事故に会って、そして気がついたらニワトリの姿でこの世界にいたんだ。あなたに会ったのは私がこっちに来てから30分後ぐらいかな?そんなに長い時間では無かったと思うし。」
やっぱり転生者だったか。でなければあれだけの適応能力は無いと思うし、もし魔物だったとしてもただのニワトリがこんなに賢いはずは多分ない。
それに転生者の話が伝わるということは…。
「あと、転生者って言葉が出た時点で気になったんだけど、私とあなたは元々いたのは同じ世界なのかな?」
…そうだ。何の疑問も無く元の世界が同じだと思い込んでいたけど、小説などでよく聞く平行世界の可能性もあったな。
こんな時でなければ、平行世界なんて存在自体も怪しいと考えられるが、今の状況では何が起きても何があってもおかしくないからな。
とりあえず、元の世界の有名な地名や建物、歴史なんかをすり合わせ、2人の元いた世界が同じだということが分かった。
もしかしたら非常にそっくりだが実は違う可能性もあるが、今は同じ世界と言うことにしておこう。
そして元同じ世界の住人と分かったところでもう一つ判明したことがある。それは彼女もネット小説などを嗜む娘だということだ。
聞けば小説だけでなくオンラインゲーム等にもハマっており、小さいときから割と重度のゲーマーだったらしい。
となれば話はしやすい。これがゲームを一切したことのない人が相手なら1から全部説明する必要があったが、その必要が無いなら大分楽だ。むしろ今までの行動を見ると、俺より彼女の方が知識が深いかもしれないが。
「じゃあ一回話を戻すね。とりあえず私たちは元々同じ世界の住人で、何らかの原因でここに連れてこられたと。そしてダンジョンの攻略を強制されてるって訳だね。」
「ああ、俺が最初にここに来たときにあそこの大きな岩に文字が浮き出てきた。そして内容からして…?」
俺が拠点中央の岩を指差し、再びリコの方へ向き直ったときにリコの姿は無かった。
いや、無かったのではなく縮んでいたといった方が正しいな。人化スキルの時間切れだ。
下に視線を落とすと若干落ち込んだ様子のリコがいた。
俺はリコの頭を軽くなでながら話しかけた。
「まあ、時間はあるんだ。又回復したら話聞かせてくれ。」
そう言って立ち上がったが、ふと思いついた。
今の状態でもしゃべることはできなくても聞くことはできるんだよな…。
「なあリコ、今お前はしゃべれないけど、俺の話を聞いて理解することはできるよな?なら今のうちに俺がここに来てからこれまであったことや感じたこと、それから考えてることを話そう。そして次に人化できるようになったらそれを踏まえてお前の考えを聞かせてくれ。そうすれば人化の時間を有効に使える。」
それいいね。といった感じで頷くリコ。
ならば昼からのダンジョン探索は休みだな。今日は情報の共有に時間を使おう。
俺たちは互いに向き合って座り、そしてここに来てから見たこと感じたことを覚えてる限り事細かにリコに話し始めた。




