ダンジョン18
このまま探索を続けるわけにいかないので、とりあえず一度拠点に戻る。
道中でてくるガイコツは、離れた安全なところにニワトリを待機させ、一人で倒した。
拠点に戻り時計を見るとすでにお昼となっていた。
とりあえず食事にするかと思い、メニューからパンを選択しようとしてニワトリと目が合った。
…ニワトリのエサってあるのか?
結論、いつの間にかリストに増えていました。
ニワトリのエサ 5p
普通のパンより高いじゃないか。
しょうがないので5pで交換し、ニワトリの前に置いてやる。
「食べていいぞ。」
俺がメニューからエサを出した様子を見て(多分)驚いた表情をしていたが、エサを見つめると動かなくなった。
まさか警戒してるのか?
「毒なんて入ってないぞ。まあ食べたくなければ食べなくてもいいが。」
そう言いながら自分の食事を用意する。
よく考えれば、自分は昼の時間になりお腹がすいている為食事にしようと考えたわけだが、このニワトリが今お腹を空かしているとは限らなかかったな。
俺に合う直前に何かしら食べていたとしたら、食べようとしないのも頷ける。
そう思いながらパンをかじっていると、妙に強い視線を感じた。
「………………。」
「………………。」
「…………………………。」
「…………………………。」
ニワトリと視線を合わせ、お互いに見つめ合う。
いや、ニワトリの視線はちょっとズレているな。
試しに地に持っているパンを右に動かすとニワトリの顔がつられて右を向く。
左に動かすと同じく左に顔を向ける。
「もしかして、これが欲しいのか?」
ニワトリは一瞬ビクッっとしたが、おずおずと申し訳なさそうな雰囲気で頷いた。
お前のエサの方が高いんだが…。
まあこっちがいいというのなら仕方ない。パンをもう一つ交換し目の前に置いてやる。
最初はこちらをチラチラと伺いながら食べていたが、気が付くと一つ丸々食べ終わっていた。
ついでなので普通の水も出してやる。
ニワトリはお腹いっぱいになったのか満足そうな顔をしている。…気がする。
さて、食事も終わったことだしまたダンジョンへ行くとしよう。
で、その間このニワトリをどうするかだが…。
「なあ、俺はこれからまたダンジョンに行くから、お前はここでおとなしくしてろよ。」
とりあえず拠点で留守番させることにした。
しかしニワトリはこっちの言ってることが分からないのか首をかしげる。
さっきの様子を見る限りではこちらの言うことは理解してるのだと思っていたが…?
少し不思議に思い様子を見ていると、ニワトリは身振り手振り、全身を使ってこちらに何かを伝えようとしてきた。
バタバタと羽を羽ばたかせたりしているが、いまいち何を言ってるのか分からない。
ニワトリもそう思ったのか、少し考えた様子を見せた後、羽(手)でダンジョンへの扉を指した。
「ん?扉?いや違う、ダンジョンか?」
1つ頷くと今度はパタパタと跳んだり走ったりする。
「ダンジョンで……探索?…戦闘か?」
そうそうそれ!と言わんばかりに羽(手)をこちらに向け、最後にまた首をかしげる。
「ダンジョンでの戦闘が……、あ!何でダンジョンに行くのか聞きたいのか?」
ニワトリは大当たりとでもいうかのようにピョンピョン飛び跳ねる。
何となく意思の疎通ができてこちらも少し嬉しくなる。
しかしダンジョンに潜る理由か。何て言ったもんか…。
「そうだな。簡単に言うとダンジョンで敵を倒すとポイントが手に入るんだ。そしてそのポイントを貯めることで色んなものと交換ができる。今お前が食べたパンや水もそのポイントで交換した物だ。だからダンジョンに行ってポイントを貯めないと食べるものも無いし生活ができないんだ。」
簡単に説明してやるとニワトリは「なるほど~」といった感じで頷き、妙にやる気に満ちた目でこちらを見つめてきた。
「……………。」
「…もしかして、一緒に行きたいのか?」
力強く頷くニワトリ。
「しかし、お前も見ただろう?あのガイコツを倒せるのか?」
そう聞くと、若干考える雰囲気を出しつつ、それでも俺の目を見て頷いた。
おそらく「お世話になるだけでは申し訳ないので私も手伝います!」ってことだろう。目がそんな感じだ。
元の世界でも似たようなことはあったな。
仕事を手伝ってもらったから自分も手伝います。って言う後輩。
気持ちは嬉しいんだが、そういう時って大概してもらえることはあんまりないんだよな。
もしくは手伝ってもらったら逆に時間がかかる。
勿論やる気を見せてくれるのは先輩としても嬉しくはあったが、結果としてつながらなければ……っと、今はそれよりニワトリの事だな。
ニワトリは俺の返事を待ち、じっとこちらを見ている。
「…………………………。」
「…………………………はぁ、わかったよ。一緒に来てもらおうか。」
ニワトリは飛び上がり、全身で喜びを伝えてくる。
そんなに嬉しいのかねぇ。
「じゃ、早速ダンジョンへ入ろうか。」
どことなく期待に満ちた雰囲気のニワトリと共に、俺たちは再びダンジョンへと向かった。




