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ニエ=ファンデ

童話 ニエの毒姫の物語

作者: 透坂雨音
掲載日:2017/01/23



 この世のありとあらゆる不浄を溜め込んだその場所を、ニエと呼ぶ。

 毒姫と呼ばれる女性は、長い間一人でそのニエに住んでいた。


 その者の体は、存在は、全て毒でできている。

 彼女の手は、足は、触れたものを腐らせる。

 彼女の息吹は、そこにある空気を汚染する。

 彼女が見た世界は、暗闇に塗りつぶされ、穢れてしまう。


 人の住む世界ーーイントディールから追放された彼女がいられるのは、穢れの園ニエだけだった。


 しかし、毒姫は一人きりの孤独に耐えられなかった。

 生き物と触れ合う事が出来たらと、彼女は機械人形を作りだした。

 しかし、生み出されたものは瞬時に穢れ、腐り落ちてしまう。


 それでも毒姫は長い年月をかけて人形を作り続けた。

 とうとう完成した人形にクロアディールと名付け、孤独な心を癒した。


 しかし、長い年月をかけて動いた人形は、次第に壊れてしまう。

 毒姫は新しい人形を作る事はせず、クロアディールを直そうとしたが上手くはいかなかった。


 完全に止まってしまったクロアディールを前に、毒姫は悲嘆にくれた。


 毒姫は仕方なく、自分以外の生命が住む世界、かつて自分がいた場所へと人形を移動させる事にした。


 毒姫がイントディールに戻る事ができない以上、再びクロアディールに会う事はできない。


 ただ一人、自分の孤独を癒してくれたクロアディール。

 たとえ二度と会う事ができなくても、傷を癒して無事でいる事を願った毒姫は、

 クロアディールをその世界へと送ることを決断した。






 ――あなたに会えて良かった 束の間のひと時だけど とても幸せでした


 ――一人じゃない事はこんなに嬉しくて 私は時間を忘れられた


 ――創り出した貴方 私の手から生み出された愛しい娘


 ――たとえそれが 仮初の命だとしても


「愛しています」

「幸せでした」


 ――貴方に会えて良かった けれどこれからも一緒にはいられない


 ――たくさんの人に囲まれて幸せに生きるべきだと


 ――母親でもある私が 毒姫である孤独な私へ思ってしまうのだから


「さようなら、だけど愛しています」

「さようなら、だけど幸せになってね」


 ――貴方がどこにいても ずっとずっと想ってるから


 最後に、そっと繋いだ手を……


 私は 離した



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