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人形師B  作者: 亜鉛
1/1

緑色の日記帳



「…ここは…?」

赤い絨毯

窓やドアはない

部屋は人形で溢れ返っている

「私…家族と夕食を食べていて…それで…」

ダメだ思い出そうにも思い出せない

「…とりあえず何か…見たら思い出せるかも」

と 言っても気になるものは特にない

パサッ

「……?」

何かが落ちたような音がした

「ノート…?」

床には緑色のノートが1冊

「読んで…いいのかな…日記帳みたいだけど…」

…読んでみよう多分、私の日記帳だ

『憧れの人形師になれることができたわ、とても嬉しい。

人形師としての、私の日々が始まる、という事ね。

記念に日記をつけることにしたわ。

これから、素敵な人形を作れるようになりたいものね。』

人形師…そうだ 私は人形師のベルライラ

今までずっと人形を作ってきた

…まだ続きがある

『はじめて人形を作るにしては、上手くできたわ。

上手に作れた物は、誰かにプレゼントしようかしら?

きっと喜んでくれるわね。

嬉しそうな顔、してくれるといいのだけど。』

私は人形師のベルライラ…名前は分かったのに、なんで記憶は曖昧なのだろう

『私の作った人形が突然話し出した。

本によると、特別な力を持った人間にしか出来ない、特殊な力らしいわ。

まさか、そんな特別な力が私にあるなんて驚きね。

人形にはアイリスと名前をつけることにしたわ。

私の友達ね。』

人形が喋り出す…私にそんな力が…?

『今日はアイリスと一緒に、人形を作ったわ。

私の人形は動かないって焦っていたけれど、よく出来ているわ。

あの子には才能があるんじゃないかしら?

私も頑張らなくちゃ。』

……?ノートが破れている

『人形がおかしい

私のにんぎょうが

話しかけないで

笑わないで

こんなの私の作った人形じゃない

たすけて たすけて たすけて

にげなきゃ ころされ る』

ここで日記は終わっている

…私は 人形から必死で逃げてきて…今ここに…

今ここに転がっているのは アイリスって言う子のものだろう

…外に出よう

いつ人形が襲ってくるかわからない

「…だったら早くここから出なきゃ」

何も無かったはずの壁には いつの間にか赤いドアが立っていた

「ドア…?さっきまで無かったはず…」

少し不安だ……でも 進まないと

赤いドア 絵の具では作れないような深い赤色

ガチャ

真っ直ぐにのびる廊下 少し薄暗い

ランタンはついたり消えたりを繰り返している

「……進もう」

茶色のドア 周りは 音が遮断されたように静かだ

ガチャ

…廊下だ さっきよりも長くて ドアが多い

…緑色のドア

ガチャガチャ

「……?開かない…鍵があるのかな…」

黄色のドア

ガチャガチャ

「こっちも…」

青色のドア

ガチャ

「……開いた」

私の部屋よりも少し広い…奥には…人形…

ベッドが二つ 赤いものがべっとりとついている…

「ねえ 貴女!」

「え…?」

どこかから声がした

……?気のせい…かな…

「もう!!こっちよこっち!」

声がする方は…

「人形…」

「せいかーい!」

フランス人形が楽しそうに話す …表情は変わらない

「ほ、本当に人形が話してる…」

日記の話はやっぱり本当のことだったんだ…

「……貴女 私達の仲間?」

フランス人形の声が 突然低くなった

「え…?」

「答えは明確だよね!!」

ピチャ

……赤い…液体… 生暖かい

「あはっあははははははっ!!」

沢山の人形が私に向かって押し寄せてくる

逃げなきゃ!!

ドアに向かって全速力で走る

走った拍子に 花瓶が倒れて人形にぶつかった

「あっあああああああああああああああああああああああああああああああああ」

バタン!!

「た…助かった…」

人形が襲ってくるなんて…日記のとうりだった

「本当に…殺されるところだった…」

こんな恐ろしい所から出る?

……そんなの…無理に決まってるよ…

「…戻ろう」

あの部屋には動く人形はいなかった

じゃああの部屋が一番安全なんじゃないか

「…え……?……嘘…」

さっきまであった筈のドアは見当たらない

あるのは さっきまで無かったピンク色のドアだけ

進むしか…無いってこと…?

なんて 残酷なんだろう

ガチャ

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