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くもの絲  作者: 赤井家鴨
1/7

其之壱―かれのはなし―

挿絵(By みてみん)

――おい蜘蛛よこっちの地獄ではなく あっちの地獄に糸おろせ――



マジに恐ろしい話を集めない?



404:匿名さんがあなたの隣に:20××/07/31

初投稿で現在進行形だけど書き込みいい?


405:匿名さんがあなたの隣に:20××/07/31

おk


406:匿名さんがあなたの隣に:20××/07/31

さんくす。書き留めていないから亀投稿。

今、俺はお祓い中なんだ。と言っても部屋から丸一日外に出なければいいだけなんで

暇つぶしがてらここに書き込もうと思ったわけ。お前らってこういうの好きなんだろ?

今のところ何もないから俺がお祓いをすることになった経緯とかを書く。


俺が住んでいる所は今でも土着信仰に熱心な山奥の小さな村だ。

本当に山奥なんで村人みんなが顔見知りだし、

よそ者が来れば大人たちが様子を見に行くような場所だ。

民家も三十あるかどうかで子供も少ない。

俺と同い年の子供は、俺を含めて最大五人いた。

まだ先輩後輩たちの代よりは居る方だった。

最大って言ったのは無事お祓いが終わったら話すよ。

そんな何もないし人もいない村の近くにある日、大きな工場ができた。

と同時に、そこに勤める人とその人たちの家族のための新しい町もできた。

村人には何も知らされずに。


村長と村の長老って言うのかな? 俺の婆ちゃんとが滅茶苦茶怒ってたんだけど

町長でもある工場長がものすごく物腰が柔らかい人で、

村に損をさせない取引を持ち掛けた。

村の子供たちにはタダで最新の勉強を教えるだとか、

電気や機械などのトラブルを無償で引き受けるだとか。

他にも食品のお店や病院の設備などを町の人だけでなく村の人にも開放すると

約束してきた。

その申し出に村長は大喜び。婆ちゃんはそれでも反対したって言うんだけど、

村の子供により良い勉強を学ばせたい、教わりたいと言う村長や俺の姉貴に

うまく良いくるまされて村の行事に干渉しないことを条件に渋々許しを出したんだ。



409:匿名さんがあなたの隣に:20××/07/31

今更スペック

俺の村は山とアオオビ様と言う、山に住むカミ様に嫁いだ巫女(?)を

まつり信仰している


俺 16 ブサメン 今お祓い中

姉貴 16 顔知らね 今のアオオビ様役を10年近くやっている 俺とは双子

婆ちゃん 90超えてる

俺の彼女(A子) 15 めちゃくちゃ可愛い 工場長の娘


アオオビ様 山ではなく、山に住むカミ様に嫁いだ人らしい

      数年か数十年に一回、村の娘がその役に選ばれる。

カミ様 山に住むカミ様。アオオビ様の旦那 婆ちゃん曰く嫉妬深い


こんなもんでいいか?



410:匿名さんがあなたの隣に:20××/07/31

前置きがなげぇな


411:404:20××/07/31

すまんな。でも話といた方が分かりやすいと思って


続き

村長たちのいらんお世話により俺たち村の子供たちは送迎バスに乗って

町の小中高一環学校に通うことになった。

だが登校初日から姉貴はイジメにあうことになる。

上のスペックに書いた通り姉貴はこの年もアオオビ様役をしていたんだ。

その印を朝昼晩、何があっても外してはいけないと言う決まりになっているのだが、

それがあまりにも気持ちが悪いらしく町の子供たちには異質に見えたらしい。

その印って言うのが美形だけど無表情で中性的な顔立ちの子供のお面。

アオオビ様の顔を造形した物だと言うけれど、

お面を作った人が自分の好みで作ったんじゃないのかって

俺たちの間ではそう噂していた。婆ちゃんも姉貴も違うとは言っているけど。


414:404:20××/07/32

女性が次ぐ家系だから俺は下っ端なんだよ。

子供の時からお面つけているから、もう姉貴の顔も覚えてない。


話は戻るが、村生まれの奴らはそれを知っているから

イジメを止めようと話し合いはした。

が、イジメもカミ様の祟りも怖くって結局誰一人、姉貴を助けるやつはいなかった。

しかしそのイジメをやめるようにと言う奴が現れた。町の娘A子だった。

A子は町長の一人娘で明るく優しい子だ。彼女は誰からも好かれていたから、

彼女がイジメはダメだと言うとすぐにイジメはなくなった。

それをきっかけに俺と姉貴とA子の三人は仲良くなってよく遊んだり話したりもした。

その内A子から告られて付き合うことになったんだがな。



415:匿名さんがあなたの隣に:20××/07/31

ノロケいらん


416:匿名さんがあなたの隣に:20××/07/31

リア充爆ぜろ


419:404:20××/07/31

いやスマン。だがA子の存在は必要なんだ。


学校生活にも随分と慣れて、一学期の終わりが近づいてきた頃。

村は夏祭りの準備で大忙しだった。カミ様をたたえる祭り。

と言っても村人が社にお供え物を持ってきてアオオビ様役がカミ様の住む洞窟に

そのお供え物を届けるってだけの祭り。

村人は供え物を渡したらその日一日外に出ちゃいかんて言う

すっごくショボイ祭りなんだ。

だけど夏祭りの一か月前から嬉しそうに村のみんなは

自分ん家の玄関に飾り付けをしたり、アオオビ様役の姉貴は山の社に籠って

身を清めたりと着実に準備を整えていった。


だがどこで村の祭りの存在を嗅ぎ付けたのか町長が町の夏祭りと合併して

もっと大きな祭りにしようと計画したんだ。もちろん俺の婆ちゃん大激怒。

村の行事には干渉しないと言う約束だからな。

町長は諦めると言ったが、娘であるA子は村祭りが見たいと諦めなかった。

祭り当日、A子は俺に何度も姉貴に合わせてくれと頼み込んできた。

初めは断っていたが、チラッと姉貴を見るだけでいい。村の中を歩くだけでいいと

必死に頼むもんで俺も、お供えが終わった村人は外に出ないから

村の中に入っても案外バレないんじゃないかと思って

村を歩くだけなら連れて行くと了解した。しかしこれが間違いだった。



424:404:20××/07/31

誰もいない村を見て大はしゃぎなA子は

折角だから自分も何かお供え物を持って姉貴に会いに行くと言い出した。

最初の約束と違うと反論したが、社の道がどこにあるのか話していたので

勝手に山ん中に入ってったんだよ。

止めようと後を追っかけたんだが、俺も段々と滅多に入らない山の雰囲気に

心臓がドキドキし始めて普段見れないアオオビ様姿の姉貴が見れるかもって変な期待を持ってしまった。


そして森の木々の間に小屋みたいな小さい社が見えると俺とA子は

近くの茂みに隠れた。

襖は開けられていて、中で婆ちゃんが姉貴に水(?)を手でぱっぱって

振りかけている所だった。

明かりも蝋燭とか提灯なのか薄暗くってよく見えなかったが、その光景をしばらく見いていた時、A子が態勢を変えようと体を少し傾けたのかな? カサって草が擦れる音を立ててしまったんだ。

音の鳴る方を向くと「誰だ!」って婆ちゃんの怒鳴り声が聞こえたんで

俺はやばいと思いA子の手をつかみ、急いで山を下った。

逃げてる間に俺は振り向いていないけどA子は振り向いて姉貴の素顔を見たそうだ。

村の入り口まで逃げ切ると少し余裕が出たのか、姉貴の顔が鬼のような恐ろしい形をしていたと言って大泣きし出した。

勝手な行動をしたA子に怒ってはいたが、泣き顔を見るとそんな気が滅入ってしまったので俺はA子を慰めてもう帰ろうと解散し、俺は急いで自分の家へと戻った。



427:404:20××/07/31

別に姉貴も婆ちゃんもまだ山に籠っていて、家にはいないと思っていたから

帰ることには抵抗はなかった。

むしろ山が騒ついているような気がして正直怖かったし、

双子なのに姉貴の顔が鬼のようだったと聞いて胸の中が

嫌な気持ちでいっぱいになっていた。

さっさと自分の部屋に避難しなきゃって、玄関を開けるとそこには婆ちゃんがいた。


「お前、山に入ったかね」と聞かれてドキッとした。

婆ちゃんには嘘が通じないと昔から知ってしたから、仕方がなく「うん」と返事した。

「今日は大切な祭りの日だ。お前への始末は明日にでも考える。

うちの者だから大丈夫と思うが今日は部屋から一歩もでるな。いいな」

もっと、こぴっどく怒られると思っていたから謹慎だけでビックリした。

その日の夜は自分の部屋で明日のお仕置きがどんなものかと考えながら寝た。


次の日、婆ちゃんは学校から帰ってきたらお仕置きの話をすると言って

夜から熱っぽい姉貴の看病に忙しそうだった。

学校に着くとA子が怯えたような顔で姉貴のことを聞いてきたから

今日は休むと言うと安心したようだった。よっぽど怖かったんだろうな。

四時間目が終わった頃、俺も気分が悪くなったから担任の先生に頼んで早退した。


家に帰ると姉貴が普通に歩いていた。思っていたより熱が軽かったようだ。

「もう大丈夫なん?」

「ん。喉乾いたしアイス買ってくるわ。お前もいるか?」

と聞かれたんで、元気だなぁ。と思いながらも買ってくるよう頼むのだが

俺は結局アイスを食べることはなかった。


459:404:20××/07/32

どっと疲れが溢れたので少し昼寝をすることにした。

深く眠れず悪夢にうなされていると隣の家のガキが慌ただしく俺の部屋に入ってきた。

そしてとんでもないことを言った。


「俺君、A子ちゃんが事故で死んだよ」


目の前が真っ暗になった。

嘘だろと思っていてもそいつは事細かに説明するんだよ。

村に向かう途中の道の柵が壊れてたんだとよ。

その柵の向こう、崖の下に町長とA子が乗った車が潰れて壊れていたんだと。

A子の死体は車の外に投げ出されていてズタボロだったとも聞いた。

だかA子の顔はお面のように剥がれていて、どこを探してもなかったらしい。


俺は本当の事を確かめようと急いで外に出た。

A子を救わなくてはとそんな気持ちでいっぱいだった。

しかしすでにA子の遺体は村の社に運び込まれていたらしく、事件は本当だったんだと知った。

次第に事の恐ろしさを思い知った俺は姉貴に祭りの日の事、

A子と山に入ったことを洗いざらい話した。


「お前はこの家の者だから大丈夫だと思っていたが、そうか。

よそ者と一緒だったならお前も危険だ。今すぐお祓いの準備をしよう」

と言われ、山の社に隔離されて今に至るわけだ。

まる丸一日一睡もせずに通された部屋に居なくっちゃいけないんだが、何か質問ある?



416:匿名さんがあなたの隣に:20××/07/31

彼女が死んだ日に……おまえ、のんきなのか無神経なのか


462:404:20××/07/31

本当はすごくショックだけど、おまいらと話してなきゃ気が狂うと思って書き込んだんだ。よかったら、明日の夕方まで付き合ってくれ。


465:匿名さんがあなたの隣に:20××/07/31

実況キボンヌ


466:404:20××/07/31

今か?隣で婆ちゃんと姉貴がお経みたいのを唱える声だけ。

外も風の音もなく静かだな。


467:匿名さんがあなたの隣に:20××/07/31

姉ちゃん隣にいんのかよ!


470:匿名さんがあなたの隣に:20××/07/31

おまえ、説明下手すぎ


472:404:20××/07/31

スマン。隣の部屋にいる。

俺は丸一日、社の小さな部屋に一人で居なくちゃいけない。

その隣の部屋が御神体が置いてあるらしい大事な部屋でそこに婆ちゃんと姉貴が居る。

便所は部屋の隅に置いた小さな桶。抵抗あるけど昼飯を食べずに家に帰ったからまだ何も出ていない。


476:404:20××/07/31

声がやんだ。しばらく外れる


478:匿名さんがあなたの隣に:20××/08/01

日にちまたいだな


479:匿名さんがあなたの隣に:20××/08/01

404生きてるか〜


456:404:20××/08/01

なんとか生きています。

声が止んだあと婆ちゃんに、これからなんと声をかけられようとも

外に出るなと言われました。真っ暗で怖いです。音が欲しい。


481:匿名さんがあなたの隣に:20××/08/01

照明もないのか?


483:404:20××/08/01

姉貴たちが居るとこは蝋燭が何本か立っているけど俺の所はない。


499:404:20××/08/01

なんか音がした。廊下の方。姉貴の声に力が入った。


501:匿名さんがあなたの隣に:20××/08/01

よくわからないんだが、カミ様って良い奴じゃないのか?


502:404:29×○/08/01

全然そんなんじゃないわるいやつ


508:404:20××/08/01

姉ちゃんに今、絶対守るからとか言われた。どゆこと?


514:匿名さんがあなたの隣に:20××/08/01

やばいんでね?


520:404:20××/08/01

やばいさっきよりもガタガタ聞こえる

なんかひきづるおtがするんですけど


521:匿名さんがあなたの隣に:20××/08/01

もちつけw


521:404:20××/08/01

話し声が聞こえる。姉ちゃん?


523:匿名さんがあなたの隣に:20××/08/01

落ち着けって、素が出ているぞ。


525:4さ0あなた4に:20××/08/01

ありか?


527:匿名さんがあなたの隣に:20××/08/01

在りか?


528:匿名さんがあなたの隣に:20××/08/01

有か?


530:匿名さんがあなたの隣に:20××/08/01

アリカってA子。フェイク意味ね

アリカの声が聞こえた


533:匿名さんがあなたの隣に:20××/08/01

404逝くな!


536:匿名さんがあなたの隣に:20××/08/01

A子死んだんじゃなかったのか?


539:404:20××/08/01

逝くかよ。怖いずっと話しかけてくる出てこい言ってる


562:匿名さんがあなたの隣に:20××/08/01

霊とか神様にはションベンとか不純物が良いってどっかで聞いたことあるぞ


568:404:20××/08/41

恥を惜しんでションベンしたら本当に音消えた。

もうでない。また来たらどうしよう。


580:404:20××/08/01

またきた


596:404:19××/08/01

隣の部屋が騒がしい


597:匿名さんがあなたの隣に:20××/08/01

え?


598:匿名さんがあなたの隣に:20××/08/01

隣って、姉ちゃん平気か?


602:匿名さんがあなたの隣に:20××/08/01

姉ちゃん「絶対守る」(キリッ


628:匿名さんがあなたの隣に:20××/08/01

あれ404消えた?おーい


655:匿名さんがあなたの隣に:20××/08/01

404って不吉じゃね?


690:匿名さんがあなたの隣に:20××/08/01

俺は404が帰ってくるのまつ


714:匿名さんがあなたの隣に:20××/08/01

その後404を見た者はいなかった



= = =



870:匿名さんがあなたの隣に:20××/08/08

あれから一週間、アオオビの話どうなったん?


872:匿名さんがあなたの隣に:20××/08/08

聞かないな


877:匿名さんがあなたの隣に:20××/08/08

偽物はいるみたいだけど?


890:匿名さんがあなたの隣に:20××/08/08

釣りだったんだろ?


893:匿名さんがあなたの隣に:20××/08/08

矛盾多すぎ


900:匿名さんがあなたの隣に:20××/08/08

携帯いじって山籠もりw



= = =



1:404:20××/08/16

どうもお久しぶりです。アオオビの時のものです


3:匿名さんがあなたの隣に:20××/08/16

キター


8:匿名さんがあなたの隣に:20××/08/16

キター


10:匿名さんがあなたの隣に:20××/08/16

404キター


15:匿名さんがあなたの隣に:20××/08/16

お帰り!


20:匿名さんがあなたの隣に:20××/08/16

無事だったか


22:匿名さんがあなたの隣に:20××/08/16

よかった



49:匿名さんがあなたの隣に:19××/07/33

おまえ、偽物だろ




〈つづく〉

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