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優しい匂いがした。どこで嗅いだ匂いだったっけ、と考えている内に目が開いた。
見えたのは、高い天井と心配そうにこちらを覗き込む女の人だった。
女の人は、きれいな水色の着物を纏っていて、髪を緩く一つにくくっていた。
「お目覚めですか?」
そう言って微笑みながら、女の人は揚羽と名乗った。
「お水をどうぞ。随分と長く眠っていたから、喉が渇いているでしょう」
少年が恐る恐るコップを受け取ると、女の人は安心させるように頷いた。少しだけ口に含むと、喉がカラカラだったことに気付いた。あっという間に飲み干すと、漸く少年は自分がどうしてここにいるのか思い出した。
「僕、雪占様に会いに来たんだ。おじいちゃんが雪占様は、願い事を叶えてくれるって死んじゃう前に教えてくれたの。だから、お母さんの願い事を叶えてあげて」
「それは、どんな願いかえ?」
いつの間にか、少年の背後に揚羽より豪華な着物を纏った女の人の人がいた。
「妾は、雪占。そなたの名は?」
「僕は橘樹美洸です。」




