第3話 「飛翔、アークペガサス!!」
身柄を拘束されたユウマ、軍から言い渡された事は!?
アークペガサスは一度補給場に戻り、他のモビルナイト達も集まって来る。そしてアークペガサスの整備デッキには新型のモビルナイト、アルビオンもいる。
しかしアルビオンの周辺には何人物の軍人が銃を向けている。
アルビオンのコックピットが開き、そこからユウマとユウマを乗せた女性が姿を現し、乗降用の自動ロープを使って二人一緒に降りてきた。
「ご無事でしたかカイドウ大尉!」
銃を向けていた軍人の後ろからユウマ達の前にたったのは艦の艦長席に座っていた女性とその後ろにユウマとあまり年齢の差がなさそうな軍人の少女がやってきた。
「アサギリ中尉!貴方もよくこの艦を
ところで艦長は?」
「……艦長は先ほどの襲撃で」
「そう……」
「ところで大尉、そちらの少年は?」
アサギリはユウマを見る。
「彼は工業カレッジの学生で、私の命を救ってくれたの。
そしてアルビオンを操縦して敵機を撃退した。」
それを聞いた周りの軍人が動揺し始めた。
「学生が新型の操縦ですか?」
「それだけじゃないの。戦闘中に短時間で機体のOSを書き換えたのよ。」
「なる程、それで動きが変わったのか。」
また別から一人のパイロット兵がやってきた。
「アナタは確か?」
カイドウが質問する。
「コレは失礼。俺は第一部隊"エレン小隊"隊長、エレン・シュバル大尉です。」
「あの青いスティングは貴方でしたか!援護して頂き感謝します。
私はカイドウ サクヤ大尉です。」
「私は副艦長のアサギリ フブキ中尉で、隣はオペレーターのフジミヤ マドカ伍長です。」
三人は敬礼すると、エレンも敬礼で返す。
(エレン・シュバル…何回か軍の雑誌で見たことがある。連合軍の"青き鷹"と呼ばれているエースパイロット)
「まさか通信してきたのがホンマに子供だったのか。驚いたよ」
「あの時は済みませんでした」
「いや、その事は気にしてないよ。
君は自分とあの機体を守る為にやったことだ。それに対しては正しい判断だと思うよ。」
「いえ、俺はただ…」
「おいっ!ユウマ!!」
ユウマは驚いた表情を見せると、整備デッキの出入り口からなんとタツヤやユキ達の姿があった。
「ユウマ君…」
「ユキ?それにみんな何でここに?」
タツヤ達はユウマのもとへ向かう。
「私達はあの後避難通路を渡っていたら、この艦にたどり着いちゃって…
それより何でユウマ君が此処にいるの?それにあの機体はたしか?」
「それは…ちょっとな」
「お話はそこまでで良いかな?」
その声を聞くと軍人全員が一斉に聞こえた方に向き敬礼する。
そこから現れたのは軍の代表議員の服装を着て穏やかな表情の大人の男性を先頭に後ろには同じ服装の人達に護衛の軍人もやってきた。
「ご無事でありましたか!?ギルバート・ザイアン新議長!」
カイドウはギルバート新議長の前に出た。
「私は大丈夫だ。しかし東京本部に周りの都市は陥落しているに等しい。直ちに復興作業に移りたいと思っているよ。
それでそちらの学生が例の…」
「ハイ、機密開発のモビルナイト"アルビオン"の操縦並びにOSの書き換え操作した少年です。」
「ほぉ、アレはA級技術者が数人で設計したものなんだが。」
新議長の言葉に周りの軍人はユウマを見た。
「A級だって!」
「タツヤ、そんなに凄いの?」
驚いたタツヤにキョウコは聞いた。
「簡単に言えば学校の教授達と変わらない技術者が作ったプログラミングシステムを作り直したと言えることだ。だが、軍のは俺達が作るが小型ロボットとは格が違ってより高度なものなんだよ。」
「へぇ~!確かにユウマの腕は凄いけど、まさかそこまで凄いんだ」
新議長は再びユウマを見る
「君、名前は?」
「……シン ユウマです。」
「シン……なる程。
カイドウ大尉、この少年達を艦長室まで案内してないか?ここで長話は他の人達の作業を邪魔してしまうのでね。」
「了解しました!それではこちらへ」
カイドウを先頭にユウマ達は整備デッキから出る。
「ユウマ君」
ユウマの隣にユキが来た。
「ん?どうしたの?」
「この話が終わったらユウマ君に聞きたい事があるの
良いかな?」
「あぁ良いけど…」
その会話にシエラは二人の後ろに居て聞いていた。
ユウマ達はカイドウの案内で艦長室に入る。
席にはギルバート新議長が座り、その横にカイドウ、アサギリ、マドカ、エレンが列んでいた。
「さて、コレから君達の事だが…申し訳ないがこのまま帰すわけにはいけない。君たちの身柄は軍が預かる事になる」
「つまり軍に入れと言うことですか?」
ギルバートの言葉にシエラが言い返す。
「まぁ大方そうだね。今や世界にも名が聞こえる"国民アイドル"シエラ・クーリスさん」
それを聞いたユウマ達はシエラを見た。
「シエラ、お前…」
「最初の時から見覚えがあると思っていたが、やっぱり」
タツヤが言う
「別に隠していたつもりはないから」
「その話は別の機会にしよう。
さっきの話だが彼女の言うとおり君達には軍に入隊してもらう。これは決定事項なんだ。」
「拒否権は無いんですね。」
「勿論だ。特に君はアルビオンのOSを書き換えたんだ。そんな者を帰すわけには行かない。
シン ユウマ君にナカジマ タツヤ君、タチバナ キョウコ君はモビルナイトのパイロットをやってもらいたいと思っているんだ。三人は暫くエレン大尉の指導を受けてもらう。」
「自分とキョウコもパイロットですか?」
「そうだ。二人のデータベースを調べたらパイロット適性が良いため、そう判断した。
タカハシ ユキ君はオペレーター担当
そしてシエラ・クーリスさんは今まで"アイドル"の業務を続けてくれたまえ。君にはそのほうが都合が良かろう。」
「……はい」
ユキは弱気な返事をする。
「とは言っても君達がいつ入るかは君たちに決め手もらう。まだ君たちは民間人だからね。」
それを聞くとユウマとシエラ以外の三人は若干笑顔を取り戻す。
「それでは君たちの部屋を案内してあげなさい。」
ギルバートはマドカを見る。
「それでは案内しますので付いてきて下さい。」
マドカを先にユウマ達は艦長室を出る。
「これからのことだが、艦を中国支部に向かってほしい。」
「中国ですか?」
カイドウは聞き返す。
「そう東京本部が暫く動けない以上、中国にも協力して貰いたい。
勿論私もこの艦に乗るつもりだ。」
「議長自らですか!?
しかしここの艦長は…」
「それなら心配ない。この艦の艦長はカイドウ大尉、君に任命するから」
「私がですか?」
カイドウは驚く
「君は士官資格を持っているし、この艦も君の方が詳しいから適任だと思うよ。
アサギリ中尉は副艦長、エレン大尉はこの艦のモビルナイト隊を率いてもらう。」
「了解致しました!」
三人は敬礼する。
「それでは明朝9:00にてアークペガサスは中国に向けて発進。以上」
東京本部を攻めたリアクトウルフは部隊を回収した後、日本海上空で飛行していた。
無事に回収されたカレン達はジャハナから降りてくる。
「カレン無事だったか」
カレンの所にやってきたのは目隠しの仮面を付けていた女性だった。
「大佐!?作戦の失敗、申し訳ありません。」
「気にしなくて良い。其れよりもよく無事に帰還できた。
それでさっき報告してた少女は?」
大佐はカレンの後ろにいた少女シズカを見る。
「大丈夫だから自己紹介しなさい。」
「は、ハイ。……シン シズカです。」
「"シン"…そうか、私はこの部隊をまとめてるバトラーだ。皆は私を"大佐"と呼んでいる。
私は貴女を歓迎するよ。」
バトラーはシズカに手を差し伸べる。
「あ、ありがとうございます。」
シズカは大佐の手を握り握手する。そしてシズカは大佐の後ろに見えたジャハナとは全く違う機体を見る。
「ん、どうした?」
大佐はシズカの視線から機体を見る。
「あの機体は連合軍から奪ったものだが、システムが厳重すぎてまだ使えないんだ。」
「奪った?でもそんなのニュースや新聞でも聞いたことがありません」
「そんなの決まって当然だろ。」
声が聞こえてやってきたのはショウだった。
「ショウ、部隊の現状は?」
「ジャハナが10機に兵は二十人失いました。
ですが次の作戦には支障はありません」
「そうか」
「あの…」
「なんだ?」
シズカはショウに訪ねた。
「先程、"当然"と言ってましたが何でですか?」
「簡単なことだ。"シード"より劣っている"シルペ"に輸送中に襲撃され新型を奪われて輸送部隊が全滅されては公共に知らせれんからだ。」
シズカは再び機体を見る。
「少し中に入って宜しいでしょうか?」
シズカはそう言ったら奪った機体のコックピットに入った。
シズカはキーボードを操作をすると途中で"エラー"て表示される。
「見ての通りだ。この作業は二週間たったが、進歩が無い。」
コックピットの入り口にはバトラーにカレン、ショウがやってくる。
するとシズカは制服スカートのポケットからスマホを取り出してコックピットのコードで接続した。
「何をしてるの?」
カレンが聞いた。
「私の兄さんが工学でOSプログラムを作ってるんです。
もしかしたらそれが活かせれるかも知れません。」
シズカがもう一度キーボード操作をするとエラー表示の画面が消え、システムが起動してコックピット内には外の景色が映し出した。
「そんな!?」
ショウとカレンは驚いた。
シズカは一息を吐き、コックピットから出た。
「シズカと言ったな」
バトラーはシズカを見た。
「は、ハイ!」
「良くやった。感謝する。コレからも私たちに力を貸してくれ」
「は、はい!お役に立てて嬉しいです。」
「カレン、シズカの世話を頼む。モビルナイトの訓練などお前に任せる。彼女は貴重な戦力だからな。ショウは私に付いてきなさい」
「イエス、マスター」
カレンは敬礼し、バトラーとショウはその後去った。
「カレンさん、私はコレから何を?」
「取りあえず先に部屋に案内するよ。身体を休めなさい。」
「ハイ!」
ショウとバトラーは司令室に入りバトラーは席に座る。
「大佐、次の作戦は?」
「恐らく新型艦は救援を求めて中国に向かうでしょう。そこで我々は彼らの進路に待ち伏せして奇襲をかける。
先行は私一人で出る。」
「大佐自らですか!?しかもお一人で…
責めて自分もご一緒に!」
「ショウは後方で部隊を集めて私の舞台を作ってくれたら嬉しいよ。」
「あの機体を使うご予定ですか?」
「ええ、その方が楽しそうだからね。」
バトラーは微笑む。
「大佐、あの少女はどうするおつもりですか?」
「それはカレン次第だよ。それじゃあ明日に作戦開始します。」
「イエス、マスター」
ショウは司令室を出る。
翌朝、東京本部ではアークペガサスの発進準備が整えられていた。
ブリッジには艦長席に座っているカイドウ、その隣の席にはギルバート、CIC(管制室)はアサギリが座っている。
マドカや他の軍人達も自分の持ち場に座っていた。
「発進シークエンス、スタート。現時点を以てアークペガサスの識別データを有効。手動力、オンライン。」
カイドウの号令からマドカはシステム操作を行う。
「了解!出力上昇、異常なし。パワー定格まで三十秒。維持装置問題なし。
CICオンライン。武器システム接続。アイドリング、正常。
外装衝撃ダンパー、最大出力で維持。手動力、コンタクト。
操縦システムをロイド曹長に譲渡します。」
マドカが操作を終わると操縦席に座っているロイドが操作を行う。
「譲渡を確認。エンジン、異常なし。アークペガサス全システム、オールグリーン。発信準備完了!何時でも行けます。カイドウ艦長。」
ロイドはカイドウに顔を向ける。
「議長、宜しいですね。」
「あぁ、頼むよ」
「それでは本艦はコレより中国に向かいます。
アークペガサス発進!!」
アークペガサスはゆっくりと上昇をして、中国の方向に向かった。
ユウマとユキは艦内の観覧室にいた。
「ユキ、話は何だ?」
「ユウマ君、実は昨日この艦に来る前にシズカちゃんのクラスメートに会ったの」
ユウマは驚きを見せた。
「それでシズカは?」
「ユウマ君……シズカちゃんは"シルペ"て本当なの?」
「えっ……」
ユウマはそれからの言葉が出なかった。
中国の向かうアークペガサス。しかしバトラーの部隊は再びユウマ達に刃を向け、黒き機体の脅威が襲い掛かる。
次回第4話 「仮面の死神」
ユウマ「俺は戦争なんてしたくない!」