表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/10

雨と食

すみませんっ>_<

誤字がありましたので直しました。



私は今日、昨日果たせれなかった下町の春祭りならではの露店制覇に出掛けている。

説明をしていなかったが、この春祭りは2日に続けて行っているのだ。

昨日はロキと会ってついつい話してしまったが、まだまだ食べなければならない物は沢山あるのだ。

よって、私は朝早くに家を出て朝食を抜いてきた。

昨日は晴天だったけど、何だか今日は少しだけ雲行きが怪しい。

「まぁ、ちゃちゃっと制覇しますか!」

私は腕捲りをして、昔に戻った様に露店を見歩いた。

祖父母へのお土産にチーズを用いたチーズケーキと、私の小腹用に買った煎餅と、春祭りにしか出ない桃色ゼリーを買い占めた。

ホクホクしながら露店を見終える頃には、まだ昼なのに空が暗く今にも降ってきそうだった。

そう思い急ぎ足で帰り道へと歩いていくと、ポツポツなどの予兆は何処へ行ったのか、豪雨が下町に降り注いだ。

露店は急いで店を片付け、祭りは強制終了。

雨宿りが必要かな…と、私は即座に近くの大きな木の下へと雨宿りのため避難した。

手持ちの手巾で濡れた髪の雫を拭き取り、一息付く。すると、ある人達が目に入った。

2人の男の人が宿屋の主人と宿を貸す貸さないと揉めている。

「あのー!雨宿りでしたらこっちにどうぞー?少しはマシだと思いますよ」

2人ぐらいだったので、私が雨宿りしている木は余裕でもう2人を雨から守ってくれるだろうと思い誘った。



「ありがとう助かった」

男2人が軽くお礼を言って木の下へと、詳しくは私の隣でフードを被った男の人が木を背にし座り込んで、もう一人の男の人はそのまま立って空の様子を覗いている。

私は別に話しかけるわけでも無く、相手も話しかけてこない。

そんな中、私の隣に座ってフードを被っている男の人のお腹がぐぅーっと鳴った。

私は少し噴き出して、小腹用にと買っておいた醤油味の煎餅を差し出す。

「食べます?」

フードを被った男の人はフードを取り

「あぁ、ありがとう。」

と、こちらを向いた。



「っっ…」

フードに隠されていた男の人の、赤髪と同じ切れ長の赤目が私を映して、射抜かれるかと思った…。


その凛々しい顔つきに胸の鼓動が収まらない。風が葉を切るザッとした音が私の中で聴こえたような気がした。

私は咄嗟にその射抜かれそうな視線から目をそらす。

相手は私の意味深な行動にどうしたのだろう。という視線を送ってくるが、何故だか目が見れなかった。

そんな私の気持ちを他所にこの男の人は私にこんなことを投げかけてきた。

「やはり怖いか?」

悪いな。という風に謝りながら男の人は下を向く。

怖い…何故?私の頭の中にはその疑問しか浮かばなかった。射抜かれるかと思ったが、殺気とか怖そうな感じなのではなかったので恐怖はない。なのでこう答える。

「怖くありませんよ?」

「…ーーーーーそうか。仕事のせいか皆に恐れられていて、さっきは本当に困っていたんだ」

再度お礼を言われた。

男の人は然程眼つきが悪いようには見えないので男の人が言う仕事が関係しているのだろう。


男の人の横顔をチラリと見ると、ふと思った

(似てる…?)

ーーーーーアレンと…と思ったが似ているのは髪と同じ目だけ。男の人の体格とあの初恋の男の子では全然違うので私の人違いかと思った。が、もう一人の男の人が急に声をあげたことで私の勘違いだと思った思いは薄くなった。


「アレン!雷が落ちるぞ!!逃げろ」

「え…?」

私の疑問の声は途轍もない大きな雷が落ちる音に掻き消された。

雷が落ちると同時に誰かが私を引っ張った。がっしりとした腕に全体重が支えられる。

この体勢は…一体何?

私の中で昔の古い記憶が重なった。





「俺が受け止めるから大丈夫」

確か…気に登って降りれなくなった時…。

「絶対無理だよ!」

「大丈夫だから!」

私はアレンを信じて思いきって木から飛び降りた。

その時一瞬だけアレンに姫抱っこという形で受け止められたが、やはり無理があったみたいで私たちはそのまま地面に倒れた。

私よりも弱いアレンが受け止めてくれて、ちょっとかっこいいな。って思ったのが始まりなんだよな~。




そんな昔の古い記憶が脳裏に蘇って、私はアレンと呼ばれた人に抱きかかえられながら、何の根拠もなくその人の名前を呟いた。

「アレン…?」


赤目に私の顔が映る。

アレンと呼ばれた男の人の目が見開いた。

「ニコ…?」

と男の人も疑問系で呟いた。

私はアレンと言う名の男の人の口から私の名前を言ってくれて、この人がアレンだと、またアレンに会えたのが嬉しくて、私はついついアレンに抱き付いた。

「久しぶりっ…」

会えた喜びで薄らと涙を浮かべたが、雨で分からないようにした。


「とりあえず、私が乗ってきた馬車に行く?」

私はアレンに笑顔を向けて提案した。

「馬車があるなら何であんなとこで雨宿りしてたんだよ」

ごもっともです。

「すぐ止むと思ったのよ」

どうせ通り雨だと思い、わざわざ馬車まで行かなくていいかなっと思ったのだ。

本当はすぐに雨が止んで祭りが再開されるかもしれない。と、近場で見張っていたのだけどそれは内緒。

強く降っている雨をアレンの着ていた上着で私が濡れないようにしてくれているアレン。

昔と違って男らしくなったなぁ…特に体つきが。

そう思いながら、そのまま私達は馬車に乗り込んだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ