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灰と茶

えー…サブタイトルに悩んだ結果、灰と茶にしました。

遅い更新なので忘れられてないかなぁ…と少し不安です。


雨に濡られた雫を拭き取り、私達は馬車で取り敢えず家に向かって帰っていた。

アレンを横目で見やると真っ直ぐに外を見つめている。

昔とは大違いだなぁ…なんか異様に凛々しいし、ほらだって腕とかも昔は折れちゃうんじゃない?って心配だったのに今はがっしりと筋肉もしっかり付いてる。

「…おい。ニコ」

本当に人って変わるものだなぁ…でも本当に髪とか瞳とかは昔と変わらない。燃え盛る炎の様な髪…私の好きな髪。

「…おー…い。」

っていうか、アレンってば一丁前に剣を持ってて、昔は私よりも弱かったのに。

それよりも私のこと覚えていてくれて良かったー。いや、まさか顔は忘れてたけど、自分の名前を呼ばれたから気付いた…とかは無いよね!?うーん…あり得るな。だって私だし。

「ーーーーーーーー…ニコはどうして、そう自分の顔に対してネガティブなんだ?」

「っ!えっ!?」

突如、私の横に座っていたアレンが喋った。

えっ、何々?私の心の声が聞こえるの!?アレン凄っ!この会えなかった6年、一体どんな修行を…


「ははっ…」

私が悶々と考えていると私の前に座っているもう1人の男性が笑った。

んーーー?何か笑われる様なことしたかな…?

私は自身の体を見渡すがこれと言って可笑しい所は見当たらない。

「あぁ、すみません。面白い方だな…と思いまして」

上品に微笑む男性を見て私は首を傾げる。

「面白い?私が?まだ話しても無いですけど…」

そう言うと、少し驚いた様子を見せ、チラリとアレンの方を見やる男性。

なんなんだ?

「ニコ…その無自覚。っ危ない…ぞ」

アレンの方に目を向ければ、アレンは馬車のドアに凭れて笑いを(こら)えている。

「ちょっと、どういう意味よ!」

「そのまんまだ。」

アレンはハハッと笑って私を見つめた。



「お前は変わらないな…」

そう言ったアレンは私の髪をくしゃりと撫でた。

アレンの行動に目を見るのが恥ずかしくなって咄嗟に顔を背ける。今までの空気が一気に変わったようで、

な、な、な、なんか…急に照れ臭くなってきた…。

アレンの真剣な炎の様な瞳にドクンッと心臓が脈打つのが分かる。

私はこの鼓動を気付かれないように、話を変えた。

「そ、そういえば!アレンはどんな仕事をしてるの?ほら、さっき言ってたじゃない。」


私の言葉に一瞬悲しそうな顔をしたように見えた。

「あー…まぁ、また話す。お前には…必ず」

アレンの顔が大人びて見えて私は何も言えずに下を向いた。



「えっと…ニコさん。まだ紹介していませんでしたね。僕はアレンの片腕、リオン・アゲラインと言います」

私が気落ちしていることに気付いたのか、リオン・アゲラインと名乗る男性が自己紹介してくれた。

アゲラインさんはフードを取りにこりと微笑む。

フードに隠されていた整った顔に琥珀色の瞳、加え線の細い灰色の髪は目を引くに充分な程、魅力的で美しかった。


「私は、ニコ・メイリスといいます。なんだか…雰囲気がある方ですね。アゲラインさんは」

一瞬リオンが面食らったような顔をしたがすぐに先程の笑顔に戻った。

「リオンでいいです。雰囲気とは?」

「……こう、存在感というか、なんというか」

私は、両手を振って意味ありげに思っていることを表すが、何せ原形をとどめて居ない思いなので、相手にもよく伝わっていない。

「存在感…。この髪色ですか?」

リオンさんは髪をちょんと指先で弄んでいる。灰色の髪を見る目が、どこか悲しい色をしていた。


「はい。羨ましいです」

だって目立つし!って言葉は言えなかった。いくらなんでも空気は読める。リオンさんを見る限り、その髪色で過去に何か言われたのだろう。

羨ましいのは本当だ。だって目立つし!

確かに灰色って、悪い言い方をすれば汚い色っていうイメージだ。でも、その髪色をしているのがリオンだからなのか、全然汚いってイメージが湧かない。

寧ろ、リオンさんの陰のある外見に灰色の髪がとても合っていて、美しい。

男の人に美しいと思うのは失礼かな…と自分でも思うが、私の頭ではこの表現しか思い浮かばなかった。

リオンさんの方を見ると、怪訝な顔をしていた。

言い方が足りなかったかな?と思い、付け加えた。


「だって、そんなにリオンさんって存在を表に出せているんですよ!リオンさんの顔立ちも勿論、羨ましいですけど私はその髪色も羨ましいです」

前半は私の羨ましいと言った理由だ。

灰色の髪色をしていて、その顔立ち、ルックス。人の目に必ず入ってしまう美しさ!私みたいな、特徴の無い体型、髪、顔立ち。目の前のリオンさんが羨ましすぎる!

リオンさんを見るとまだ怪訝な顔をしていて、私は切れた。ブチ切れた。


「リオンさんみたいな存在感の代表のような人には分からないと思いますけど!リオンさん、私の顔を覚える自信ありますか!?」

「え…?」

リオンさんは私の急にあげた声に戸惑っている様子だ。私はリオンさんの返事を聞く前に、何処にあったか分からない、私の顔を隠せる程の大きさの板を目の前に持ち上げ、自身の顔を隠した。

「さて、問題です。

私の髪色、目の色は何色でしょうか」

「え?」

リオンさんは私の問いに、またしても戸惑っている様子だ。

「 え、えーと…」

何やら口ごもりながら、ぶつぶつと言っている。

「……………。髪色は、濃い…黄色?橙?…目の色は、水色?だった…かな…」

リオンさんの声が段々と小さくなっていくのが分かる。それ程、自信が無いのだろう。

隣だから分かるが、アレンがリオンさんを、うわー…という顔で見ている。

うん…。こんな質問は初めて人にしたけど…こんなにも、こんなにも覚えられていないなんて。へーーこーーむーーなぁぁぁー!半ば吹っ切れながら、私は目の前に持ち上げている板を降ろさずに正解を口にした。


「正解を言います。髪色は…茶色。目の色は…黄緑です。

私がリオンさんを羨ましいと言った理由が分かりましたか?

私はリオンさんの髪色、目の色を言えますよ。

髪色は灰色、目の色は琥珀色。ついでに顔立ちはとても整っていて、女の私から見ても美しいと感じる程です。」

私はゆっくりと目の前に持ち上げている板を降ろし、黄緑の瞳をリオンさんに向けた。


「…覚えてくださいね?」

何だかショックを受けたみたいに自分を攻めているリオンさんを見て、少し笑ってしまった。

私の顔を見ると、素直に「はい…」と言って、私の顔を直視する姿が可笑しくてまた笑った。


「あ、ニコ。此処でいい」

アレンが私の家に着くまでの街道で声を掛けた。

「もう雨も止んできたし、ありがとう」

「…そっか、気を付けてね」

このまま私の家に言って、話したかったけどアレンも仕事があるかもしれないし、邪魔をしたらだめだよね…

久々に会えたアレンと離れることに寂しさを感じ、何処に住んでいるのか聞けば良かったな。と、少し後悔した。


「まぁ、すぐに会えるよね!」



最後はポジティブに終わるニコちゃんです。

初恋の人が男らしくなっているのは美味しい展開←

リオンのコンプレックスよりもニコの平凡すぎる顔つきの方が、可哀想だと書いてて思いました…

忘れられるって…覚えてもらえないって…


次はアレン視点!

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