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5校連合チームで挑む甲子園 〜160cm台の怪物二刀流、全国を震わせる〜  作者: ウエス 端
開幕前

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2/10

第1話 甲子園練習と午後の予定

「うりゃああっ!!」


 バシィーーンッ!!


 ボールが潰れるかと思う程の気持ちいい打球音でボールがライトスタンドへとかっ飛んでいく。


 見事なホームラン! と言いたいのだが。


「何やってんだオージロウ! シートバッティングでスタンドに放り込んでどーすんだよ!?」


 やっちまった……20分しかないから効率よく練習しないといけないのに。


 オレたち5校連合チームは甲子園練習の最中でシートバッティングをやっている。


 個別のノックよりもこの方が実戦的でいいだろうという古池監督の思いつき……いや発案でやっているんだけど、なかなか全員に均等な守備機会を回せるように打ち分けられない。


 打撃投手がしょーただし……制球が安定しないんで余計に。


「あとは俺がやる。だからとっとと代われ!」


 結局、田白に打席を譲ることになった。ヤツはなんかしらんがシートで上手いこと打ち分けるんだよな。


 仕方がないのでオレはバックネットでボールの跳ね返り方を確認する。


 勝崎さんもいるからオレがマスクをかぶる機会は少ないとは思うが……まあ、こういうのはやれる時にやっておかないと。


 外野手たちもシートに入る前にフェンスの跳ね返りを入念にチェックしてたし。甲子園のフェンスの曲線は独特の深さと形状なのでかなり戸惑っていたようだ。


 そんなこんなで時間はあっという間に過ぎ去ってもう5分前。


 野手たちは急いでトンボでグラウンド整備を始める。次のチームのためにちゃんと整えてグラウンドを明け渡さねばならない。


 その間にオレたち投手陣はマウンドからミットを構えたしょーたへとボールを投げ込む。


「うりゃああっ!」


 ズバンッ!!


「いいぞオージロウ! ボールが走ってる!」


 嬉しいねえ、そう言われると気持ちが乗ってきちゃうよ。


 でも今日の目的はあくまでマウンドの感触を確かめること。


 甲子園の土は柔らくてフカフカというか。


 それでもマウンドは昔より硬くなってるらしいけど……地方球場に比べれば十分に柔らかい。


 油断すると踏み出した足が滑りそうな感覚があるので、とにかく慣れておかないと。


「おい! 俺たちがまだ投げてないのを忘れるなよ!」


「ああ、悪い。もう代わるよ」


 おっと、あとに大岡とわだちくんがいるんだった。


 完全にしっくり馴染めたとは言えないが……あとは試合で調整するしかない。


 そして最後にマウンドとホームベース周辺を整備して終了。事前に考えて臨んだつもりだったが……いざやってみると、とにかく予定していた練習を慌ただしくこなすだけで精一杯だった。


 だけどウチの前の順番で練習した甲子園常連校はテキパキとメニューをこなしていって……やっぱり経験とノウハウが必要なんだな。


 そして規定の時間になると合図のサイレンが鳴って、次に控えているチームと一斉に交代だ。


 練習でほかのチームの選手と交流できるかなって思ったけど……どのチームも1秒でも惜しいのでそれどころではなく。


 さてと。午前中の重要なイベントが終わって、午後からの予定は……と考え始めたところでしょーたと阿戸さん、そして古池監督の話し声が聞こえてきた。


「……やっぱりダメなんですか? このまま残って午後から雛子さんたちの応援をするのは」


「うん。一応大会の運営には相談したんだけどね。送迎バスのこともあるし、ウチは午後から指定の練習場所に行かなきゃいけないしで、ちょっと認められないって」


「それだったらよー、帰りはみんな電車でホテルに帰りゃいいし、練習もキャンセルすりゃいいじゃねーか!」


「まあバスの件はともかく、せっかく練習場所を提供してくださった相手先に失礼だから。それで今後提供してくれなくなったら、ウチの話だけで済まなくなるし」


「……それは確かにマズい。あーあ、久しぶりに会えるってホント楽しみだったのによー!」

「ううっ……雛子さんにも由香里さんにも会えないどころかプレーを近くで見ることもかなわないなんて……!」


「ゴメンね本当に。オージロウくんは適当な場所で制服に着替えて。とりあえずあとで一緒に昼メシ食いに行こう!」


「はい。悪いな阿戸さん、しょーた」


「オージロウ! 俺らの分まで気合い入れて応援しろよな!」

「あー、おれも雛子さんの弟になりたい〜!」


 しょーたの戯言は無視するとして。


 午後から開始予定の女子硬式高校野球選手権の決勝戦……姉ちゃんと由香里さんたちのチームをみんなで応援したいって希望したのだが、監督が言った通りの理由でそれは叶わなかった。


 ちなみに大会中の練習は時間・場所とも運営から指示される。というか勝手に場所を探したり自校に戻って練習することは認められない。


 一見理不尽な話だが、これは近畿圏の学校が有利だったのを公平にするための処置らしい。


 話を戻すが、オレについては親族ということで許可が出ている。但し引率教師……つまり古池監督同伴でという条件付きだが。


 あと、あくまでスタンドでの観戦のみの許可で、試合前に直接会ったりはできない。


 チケットは応援に駆けつけた両親が確保してくれているので……それまで時間を潰すのが面倒かな。


 昼メシはラーメン好きの古池監督の希望で地元のラーメン屋へ……濃厚だが後に残らないスープと大盛り無料の太い麺がマッチしてお腹いっぱい舌も満足。


 そんな感じで昼下がりまで待っていたら、ようやく父さんと母さんが球場に現れた。


「古池くんじゃないか、久しぶりだねえ!」

「はい、どうも、ご無沙汰しております」

「こちらこそ。これからもオージロウのことよろしくお願いします」


 そして再会を喜び合う監督と両親……というのも監督は兄ちゃんと高校時代のチームメイトだったのだ。


 数年前、夏の地方予選真っ只中で神隠しの如く行方不明となった兄ちゃん……オレと姉ちゃんの甲子園出場をどこかで聞きつけて姿を見せてくれたらいいのだが。


 それにしても……こうやって家族でスタンドから応援するのって兄ちゃんが試合に出ていた時以来だ。


 なんか気恥ずかしさを覚えつつも横に並んで座る……というか両親に挟まれて真ん中に座るのは本当に恥ずかしかったので、父さんの横に代わってもらった。


 そうこうしている内に試合前練習で姉ちゃんたちがベンチから出てきた。


 ボール回しに外野フェンスのクッション確認、シートノックとキャプテンの姉ちゃんを中心にテキパキこなしていく。


 姉ちゃんの意を汲んで細かい指示とフォローをしているのは、姉ちゃんとバッテリーを組む副キャプテンの由香里さん。


 二人は幼馴染でありリトルリーグ時代は黄金バッテリーと言われた仲だけに、息の合った連係でチームを引っ張ってる。


 もちろん由香里さんのご両親も応援に来ていて、父さんと母さんはさっきまで昔の思い出話で盛り上がっていたのだ。


 さて、いよいよ試合開始……両校が整列して挨拶を済ませ、姉ちゃんがマウンドに立っている。


 まだまだ暑い時間なので大変だろうけど……頑張れ、姉ちゃん……!

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