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『ありきたりだと思ってた水魔法、実は文明破壊兵器でした〜』  作者: nekorovin2501


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8/8

【第8話 勇者様、湖に落ちてびしょ濡れになる】

天空水城アクア・スカイフォートレスは、ゆっくりと高度を上げながら大陸上空を漂っていた。

高度は約一千メートル。

下界は雲海のように見え、湖の水面は遠くに輝く青い宝石のよう。

リシアは城の最上階テラスで、温泉プールに浸かりながら足をぷかぷかさせていた。

銀髪を湯気に濡らし、目を細めて空を見上げる。

「……空に浮かぶ温泉、最高……」

アーテリアが水のドレス姿で横に座り、

ミレーヌが人魚尾びれを湯に浮かべて(今は半分人間)隣でくつろぐ。

「ご主人様、領民の申請がもう五万人を超えました♡

城の拡張機能で部屋は無限に作れますよ」

「五万人……? もう街じゃん……」

リシアがぼやくその時、城の警報が軽く鳴った。

塔の声が穏やかに。

『外部接近者確認。単独。武装:聖剣一振り。

自己申告:神託の勇者「レオン・ブレイブハート」

目的:天空の城を「神のもの」として明け渡せ、と』

「……勇者?」

リシアは面倒くさそうにため息をついた。

下界から、雲を突き破って一人の青年が飛翔してくる。

金髪、青いマント、輝く聖剣を構え、

まさに勇者テンプレそのもの。

彼は城のテラスに着地し、堂々と叫んだ。

「この浮遊城は神の意志により我が手に!

支配者よ、出てこい! このレオンが浄化してやる!」

リシアは温泉から顔だけ出して、

「……あー、はいはい。浄化って何?」

レオンがリシアを見て一瞬固まる。

(……少女? しかも温泉に浸かってる……?)

だがすぐに気を取り直し、聖剣を構える。

「貴様がこの城を操る魔女か!

神託により、この城は地上に還るべきもの!

抵抗するなら容赦せんぞ!」

リシアはあくびしながら手を振った。

「抵抗とかしないよ。めんどくさいし。

でも、ここ私の家だから、出てってくれる?」

レオンが聖剣を振り上げる。

「ならば力ずくで! 神の雷よ!!」

雷撃魔法が放たれる。

しかし——

城の周囲に張られた水のバリアが、

雷を吸収して虹色の光に変えた。

レオンが目を丸くする。

「な、何だこのバリアは!?」

塔の声が優しく。

『防衛モード:水鏡反射。

ご主人様、排除しますか? 推奨:軽い水没♡』

「いや、殺さないで。ちょっとびしょ濡れにさせるくらいで」

リシアが指を軽く鳴らす。

次の瞬間、テラスの床が水の渦に変わり、

レオンを丸ごと飲み込んだ。

「うわあああああ!!」

ドボン!!

レオンは城の外周の湖(城の下に作られた人工湖)に落ち、

びしょ濡れで浮上する。

聖剣はどこかに飛んでいき、マントはペタペタ。

「……ぐぼっ……」

リシアは温泉から手を振った。

「ほら、帰って。

次来たら本気で雨降らせるからね」

レオンは雲海に落ちながら叫ぶ。

「く、くそぉぉ……覚えておけぇぇ!!」

彼はパラシュート魔法でなんとか脱出。

城内ではアーテリアとミレーヌが拍手。

「ご主人様、かっこよかったです♡」

「勇者なんて、ただの水没要員ですね♡」

リシアは再び湯に沈み、

「……次はもっと面倒なのが来そう……」

その予感は的中する。

下界では、勇者の敗北が瞬く間に広がり、

今度は「神託の教会」が本格的に動き出し、

大陸中の勇者予備軍が集まり始めていた。

第8話 終わり。

【次回予告】

教会が「神の敵」として大軍を送り込んでくる!

リシア「雨でみんな帰るまで待とう……」

でも、意外な援軍(?)が現れて……?

第9話『教会軍、雨に打たれて撤退ラッシュ』

乞うご期待!

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