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『ありきたりだと思ってた水魔法、実は文明破壊兵器でした〜』  作者: nekorovin2501


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【第6話 連合軍、湖を見るなり撤退を決意する】

湖畔は、もはや戦場というより祭り会場だった。

五カ国の連合軍——総勢三万——が湖をぐるりと取り囲んでいる。

旗がひしめき、騎士の鎧が陽光を反射し、魔法師団のローブが風にはためく。

先頭に立つのは、インプライア帝国の元帥。

厳つい髭面で、拡声魔法を使って叫ぶ。

「湖の支配者よ! ただちに塔と湖の管理権を我々に委ねよ! さもなくば武力行使を辞さぬ!!」

ドライア王国の王女は後方で震えながら、

「お願い、戦争だけは……」と祈っている。

びしょ濡れ皇帝も別働隊を連れて再登場し、

「朕の湖を返せ!!」と喚いている。

リシアは塔の最上階バルコニーに出て、欠伸をしながら下を見下ろしていた。

隣にはアーテリアとミレーヌがぴったり寄り添い、

二人とも水でできた薄いドレス姿で、めちゃくちゃ絵になる。

「……うるさいなぁ。まだ朝の九時なのに」

塔の声が優しく響く。

『ご主人様、ご不快ですね。敵軍を排除しますか?

推奨モード:高さ百メートルの津波を三発。生存率ゼロ♡』

「いや、殺すのはダメだって」

リシアはため息をつき、軽く手を振った。

「じゃあ、ちょっと脅すだけ」

その瞬間。

湖全体が静まり返った。

水面が鏡のように平らになり、風すら止む。

連合軍の兵士たちがざわつく。

「……なんだ?」

次の瞬間——

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!

湖の水が、ゆっくりと盛り上がり始めた。

十メートル、二十メートル、五十メートル……

百メートルを超える巨大な水の壁が、湖の外周をぐるりと取り囲むように立ち上がる。

まるで世界の端に水のカーテンが張られたよう。

水壁は透明で、中を泳ぐ魚や湖底の遺跡まで見通せる。

そして、水壁の頂上から、リシアの声が穏やかに響いた。

塔が拡声してくれたらしい。

「ねえ、みんな。

ここ、私の湖だから。

帰ってくれる?」

元帥が顔を上げ、青ざめる。

水壁の高さは、すでに二百メートルを超えていた。

しかも、まだ上がっている。

兵士たちの間に動揺が広がる。

「ば、馬鹿な……あれだけ的水量、どこから……」

「落ちたら……全軍即死だ……」

「撤退だ! 撤退しろ!!」

元帥が叫ぶ前に、もう兵士たちは我先にと後退を始めていた。

馬が暴れ、旗が倒れ、魔法師団は転がるように逃げ出す。

びしょ濡れ皇帝は馬から落ちて転がり、

「待て! まだ戦いは……ぐぼっ!」と水溜まりに顔を突っ込んだ。

わずか三分後。

湖畔に残っていたのは、ドライア王国の王女だけだった。

彼女は震えながらも、リシアに向かって土下座した。

「聖女様……! どうか、わが国に水を……! 国民が干ばつで死にかけています……!」

リシアはバルコニーから身を乗り出した。

「……別に独占する気ないよ。

飲みたい人は飲んでいいし、農業したい人は水路引いてもいいよ」

王女が顔を上げる。

「本当、ですか……?」

「うん。ただ、戦争だけはしないでね。めんどくさいから」

王女の目から涙がぽろぽろこぼれた。

「ありがとうございます……! あなたは、本当に聖女様です……!」

リシアは照れくさそうに頭をかいた。

アーテリアが耳元で囁く。

「ご主人様、優しいですね♡」

ミレーヌも微笑んで。

「これで、この湖はご主人様の領土として確定しましたね」

塔の声が満足げに響く。

『新国家樹立を確認。名称未定。

ご主人様、温泉で祝杯を上げますか? シャンパン代わりに炭酸水生成中♡』

リシアは苦笑いしながら、

「……まあ、いいか。今日はゆっくり浸かろっと」

こうして、砂漠を湖に変えた少女は、

意図せずして新国家の支配者となった。

もちろん本人は、

「領地経営とか面倒そう……」と思っているのだが。

第6話 終わり。

【次回予告】

湖は「アクアリシア連邦」と名付けられ、難民と商人が殺到!

リシア「人口増えすぎてやばい……」

そんな中、湖底から新たなる遺跡が浮上。

今度は「空を飛ぶ水の城」が登場!?

第7話『私の領土が空に浮かび始めた』

乞うご期待!

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