【第16話 美少女魔王「水の力で私を倒せ!」って言い出した】
天空水城のメインラウンジでは、リシアがソファに沈み込み、水でできたクッションを抱えてくつろいでいた。
「……召喚ポータル、乱発しちゃったかな。
でも、みんな帰っちゃったし、平和だよぉ」
エリシアが地図を広げながら。
「ご主人様、異世界の座標をいくつか記録しました。
いつか征服しに行きましょう♡」
アクアティスが水のグラスを浮かべて。
「我の力で、ポータルを安定させられるぞ。
冒険など、くだらんが……」
その言葉を待っていたかのように、空間が再び歪んだ。
今度のポータルは赤黒く、不気味な魔力が渦巻く。
中から現れたのは——
黒髪のロングヘアに、角を生やした美少女だった。
赤い瞳、黒いドレス、背中にコウモリの翼。
典型的な魔王ルックだが、顔立ちは絶世の美少女。
彼女は着地し、周囲を睨みつけて叫んだ。
「ふははは! この世界の水の支配者よ!
我こそは魔王エリス!
お前の水の力で、私を倒せ!!」
リシアはクッションを抱えたまま、
「……え? 倒せって……どういうこと?」
エリスが胸を張って説明。
「我の世界は、水の女神と戦争中だ!
だが、最近お前の噂を聞いた。
砂漠を湖に変え、魔王を沸騰させ、神すら従える力……
そんなお前に、私を倒してもらいたい!
倒されることで、私の力が解放され、世界を救えるのだ!!」
エリシアが興味津々。
「自ら倒されに来る魔王……珍しいですね。
ご主人様、やってみますか? 新しい征服ルートとして♡」
アーテリアとミレーヌが慌てて。
「ご主人様、そんな危ない人……」
「でも、美少女ですね♡」
アクアティスが鼻で笑う。
「魔王ごときが、我の後継者に挑むか。
愚かだな」
エリスがリシアを指差す。
「さあ、来い! 水の力で私を沸騰させろ!
津波で沈めろ! 圧縮レーザーで斬れ!!
倒せば、私の魔王の力をお前に譲るぞ!」
リシアはため息をつき、
軽く手を振った。
「……めんどくさいけど、ちょっとだけ」
次の瞬間、エリスの体が水に包まれる。
「うおおお! これか……! 水の圧力が……いいぞ!!」
だが、リシアはすぐに止めた。
「待って、倒すって死ぬの? 嫌だよ、そんなの」
エリスが目を丸くする。
「え? いや、魔王だから再生するけど……
お前、優しいのか?」
リシアはクッションを投げて。
「うん。倒すより、一緒に温泉入ろうよ。
異世界の話、聞きたいし」
エリスは戸惑いながらも、ポータルが閉じないのを見て、
「……ふん。仕方ないな。
倒すのは後回しで、温泉とやらに入るか」
塔の声が嬉しそうに。
『新メンバー候補確認。
魔王モード:オフ。
温泉準備中♡』
こうして、美少女魔王が加わり、
リシアのハーレム(?)はさらに増えた。
もちろん、本人は
「異世界の冒険、ちょっと面白そうかも……」と、
少しだけワクワクし始めていた。
第16話 終わり。
【次回予告】
エリスの加入で、ポータルが安定!
リシア、ついに異世界へ初冒険!?
干ばつの異世界で、水魔法大暴れ。
「津波一発で解決しちゃった……」
第17話『異世界干ばつ、湖一発でオアシス化する』




