【第13話 水の神「私を崇めよ!」って言い出した】
天空水城の中心部、巨大な噴水広場では、領民たちが日常を過ごしていた。
リシアは噴水の縁に座り、足を水に浸してぼーっと空を眺めている。
銀髪が風に揺れ、青い瞳は眠たげ。
「……今日もいい天気。
雨降らせなくてよかった」
エリシアが横で書類を整理しながら。
「ご主人様、同盟国からの報告書です。
人口が十万人を超えました。
経済も急成長中ですよ♡」
アーテリアとミレーヌが花を摘みながら。
「ご主人様、昼食の準備ができました。
水で作ったフルーツサラダです♡」
「デザートは水のジェラートですよ♡」
リシアは微笑んで手を伸ばす。
その瞬間——
城全体が激しく揺れた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!
噴水から、水柱が空高く噴き上がる。
水柱は渦を巻き、巨大な人型を形成した。
高さ五十メートル。
透き通る水の体に、青い光の瞳。
冠のような水の渦を頭に載せ、荘厳な声が響く。
『我は水の神、アクアティス。
古代よりこの世界の水を司る者。
私の後継者よ、目覚めの時が来た!』
領民たちがパニック。
「神様だ!!」
「聖女様、助けてぇぇ!!」
リシアは噴水から足を抜き、首を傾げる。
「……神? 水の?」
神の声が轟く。
『然り。
お前の力——水の理解——は我の血統。
我を崇めよ!
そして、この世界を水の楽園に変えるのだ!
跪け、凡人ども!!』
神が手を振り上げると、
城内の水が一気に集まり、巨大な波を生む。
しかし、エリシアが即座に手を構える。
「ご主人様の城で暴れないで!」
アーテリアとミレーヌも。
「神様でも、ご主人様に逆らうのは許しません♡」
「水の流れを止めます!」
三人が力を合わせ、水の波を抑え込む。
神が驚きの声を上げる。
『ほう……我の眷属どもか。
だが、後継者よ。お前こそ我を崇めよ!
我の力を受け継げば、無敵となるぞ!』
リシアは欠伸をしながら立ち上がり、
軽く手を振った。
「……崇めるとか、めんどくさい。
神様も、のんびり温泉入らない?」
神の体が一瞬固まる。
『……何?』
リシアはさらに。
「あと、後継者とか言ってるけど、
私、ただ水飲みたかっただけなんだよね。
力とかいらないし。
神様の力、ちょっと弱めてくれる? うるさい」
彼女の言葉に、水の神の体がじわじわと縮み始める。
『な、何だこの……力が……抜ける……?』
リシアの『理解』が、神の水を直接干渉。
神の体は小さくなり、ついに人型サイズに。
水の体が固まり、青い髪の女性の姿に変わる。
「……お、お前……我の力を……抑え込んだ?」
リシアは肩をすくめて。
「うん。暴れそうだったから。
神様も、仲間になる?
温泉あるよ」
水の神・アクアティスは、呆然と座り込み、
やがてため息をついた。
「……仕方ない。
お前の力に免じて、従うとしよう。
だが、崇めろとは言わんが、敬えよ?」
エリシアが目を輝かせて。
「ご主人様、また増えましたね♡
これで世界征服の戦力が……」
「征服って言うな!!」
リシアは頭を抱え、
新たなる仲間(?)を加えた城は、さらに賑やかになった。
もちろん、本人は
「神様の力で、温泉の温度調整して……」とマイペース。
第13話 終わり。
【次回予告】
水の神加入で、城の力が爆アップ!
しかし、大陸の闇組織が「水の源」を狙って総攻撃。
リシア「みんなで守ろう……めんどくさいけど」
第14話『闇組織、湖を干上がらせようとして失敗する』




