【第11話 干ばつの魔王「水を全部奪う!」って言い出した】
天空水城は、穏やかな青空をバックにゆっくりと大陸上空を移動していた。
高度二千メートル。
城内の庭園では、リシアがハンモック(水で作った)に揺られながら、
エリシアが淹れたハーブティー(もちろん水ベース)を飲んでいた。
アーテリアとミレーヌは周囲で花壇の手入れをし、
塔の声がBGMのように穏やかな水音を流している。
「……平和だねぇ」
リシアが目を細めて呟く。
エリシアが微笑みながら。
「ええ。でも、そろそろ来るはずです。
私の情報網から、干ばつの魔王が動き出したと」
「魔王? 干ばつ?」
リシアがハンモックから身を起こす。
その瞬間、塔の警報が鳴った。
『緊急事態。
大陸北部から異常気象接近。
原因:魔王級存在『ドライアス』。
能力:水分吸収・蒸発。
目標:当城の水資源全奪取。
推奨対処:即時沸騰モード♡』
「沸騰って……」
スクリーンに、下界の様子が映る。
大陸北部はすでに砂漠化。
巨大な影——黒いコートを着た、枯れた木のような男が、
手を広げて空に向かって叫んでいる。
「この世界の水は、すべて我がもの!
天空の城よ、水をよこせ!!」
彼の周囲で、空気中の水分が一気に蒸発。
雲が消え、川が干上がり、森が枯れる。
ドライアス——干ばつの魔王。
彼の力は、水を強制的に蒸発させ、
自分に吸収するもの。
すでに北部諸国は壊滅寸前。
エリシアが冷静に説明。
「彼は千年周期で目覚める災厄。
前回は大陸の半分を砂漠にしたそうです。
今度はあなたの城を狙っています」
リシアはため息をつき、
ハンモックから立ち上がった。
「……水、奪われるの嫌だなぁ。
温泉なくなっちゃうかも」
ドライアスが空を見上げ、咆哮した。
「感じるぞ……膨大な水の力!
我が糧となれ!!」
彼の力が発動。
天空水城に向かって、巨大な吸引渦が巻き起こる。
城の水が、じわじわと蒸発し始める。
領民たちがざわつく。
「水が……減ってる!?」
「魔王の仕業だ!!」
アーテリアが手を構える。
「ご主人様、私が防ぎます!」
ミレーヌも。
「私も! 水の壁を張ります!」
エリシアがリシアに囁く。
「今です。あなたの力で、彼の体内の水を……」
リシアは軽く手を振った。
「うん、わかった。
ちょっと、沸騰させてみる」
彼女の視線がドライアスに集中。
次の瞬間——
ドライアスの体が、ぶくぶくと泡立つ。
「な、何だこの……熱い……熱いぃぃ!!」
彼の体内の水分が、一気に沸騰。
魔王は転げ回り、
「ぐわぁぁぁ!! 水が……我が水が……煮える!!」
吸引渦が止まり、
ドライアスは地面に崩れ落ちた。
そのまま、干からびたミイラのように動かなくなる。
塔の声が満足げに。
『敵排除確認。
水分蒸発率100%。
ご主人様、完璧です♡』
リシアは再びハンモックに座り、
「……終わった? よかった。
ティー、おかわり」
エリシアが目を輝かせて。
「さすがです……!
魔王を一撃で……
これで北部も救われましたね」
下界では、魔王の敗北で雨が降り始め、
砂漠が緑に戻り始める。
アクアリシア連邦の名声は、さらに高まった。
もちろん、リシアは
「またのんびりできる……」と満足げ。
第11話 終わり。
【次回予告】
魔王撃破の余波で、大陸の王族たちが「同盟を!」と押し寄せる!
リシア「みんな来すぎ……ちょっと津波で流す?」
エリシア「ご主人様、世界征服のチャンスです♡」
第12話『王族パーティー、湖で溺れかける』




