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冒険者になる 10

を持ったゴブリンが三体、ガーガーと喚きながら争っている姿が見える。


「奇襲しよう。まずは私がやるね」


 夏那は小声で言い、トンファーを構えた。


 次の瞬間、彼女は風を切るように飛び出した。


「はあっ!」


 回転するトンファーが唸りを上げ、一体目のゴブリンの頭を横から打ち砕いた。乾いた骨の音と共に、そいつは地面に崩れ落ちる。


 振り向きざま、回転の勢いを乗せて二体目の腹に叩き込み、続けざまに背後へと振り返りながら三体目を顎から跳ね上げた。


「グッ!」


 ゴブリンが呻く暇もなく、三体とも土に転がる。


 夏那は深呼吸し、額の汗を拭った。


「すごい!トンファーが本当に身体の一部みたいに動く!」


 流れるような戦闘に、未紀たちは思わず拍手をした。




 魔石を回収し、再び森を進む。


 次に現れたのは二体のゴブリン。


「今度は一体だけ残してね~」と伊緒が笑う。


 夏那が再び飛び出し、回転蹴りを合わせるようにトンファーを振り下ろす。棍棒を振り上げた一体を叩き伏せ、残った一体が慌てて後退した。


「今だよ、伊緒!」


 伊緒がワンドを構え、正面へ突き出した。輪が鳴り響き、澄んだ衝撃音が一直線に走る。


「えいっ!」


 集中した音撃がゴブリンの胸を叩き、内側から衝撃を与えたかのように吹き飛ばす。ゴブリンは悲鳴を上げ、動かなくなった。


「やった~! ちゃんと攻撃できた~!」


 伊緒が目を輝かせる。声を使わずに魔力を飛ばせることに、本人も驚いている様子だった。


 さらに奥で、また二体のゴブリンに遭遇する。


「次は私の番ですね」未紀が一歩前に出る。


 夏那は片方を素早く仕留め、もう一体を未紀の前に残した。


「未紀、無理せずにね!」


 ゴブリンが甲高い声を上げて飛びかかってくる。


「来ます!」


 未紀は咄嗟に聖魔法でバリアを展開した。透明な光の壁が瞬時に現れ、ゴブリンの棍棒を弾き返す。


 衝撃で体勢を崩したゴブリンの胸が無防備に開いた。


「はっ!」


 未紀は勇気を振り絞り、ロッドを横に払う。勢いよくゴブリンの肩口を打ちつけた。


 怯んだ隙を逃さず、突きと払いを重ねる。聖なる光が残像のように揺れ、数度の打撃ののち、ゴブリンは地面に崩れ落ちて動かなくなった。


「や、やりました……!」


 未紀の手は小さく震えていたが、その表情は安堵に満ちていた。


「すごいよ、未紀! 初めてなのにちゃんと倒せた!」


「バリアで防いでから攻撃するの、すごく安定してたよ~」


 仲間の声に、未紀は照れくさそうに微笑んだ。


 その日の討伐で得た魔石は十分な数になった。


「ゴブリンくらいなら問題ないね」


 夏那が頷き、伊緒も「これなら他の依頼もこなせそう~」と笑った。


 三人とも、武器とスキルを実戦で確かめられたことで、大きな自信を得た。


 夕暮れの森を抜け、私たちはギルドへの帰路についた。

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