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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に  作者: SUGISHITA Shinya
第一部

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55/499

055 宰相の使いの役人がエチゼンヤ本店に来た

 朝食の迎えにルシアさんが来た。今日は良い天気だ。揃って屋敷に向かう。


 屋敷の方から声が聞こえる。

 「おほほ、おーーっほほほ」

 エリザベスさんかな。

 「あれはイサベル様です。年々エリザベス様に似てきて。笑い声もそっくりになってしまいました。悪いというんじゃありませんが、旦那様の未来が大旦那様と重なってしまいます」


 屋敷に入ると、ツヤツヤイサベルさんに、げっそりヨシツナさんだ。

 エチゼンヤさんがブランコと目で会話している。青毒蛇ドリンクと喝破したぞ。二人は気が合うね。

 ヨシツナさんを入れて同病相憐れむの3人組が出来そうだ。


 朝食が終わってしばらくすると、王宮の役人が店にやって来たと店員さんが呼びに来た。エチゼンヤの敷地や屋敷の存在は宰相クラスでないと知らないそうだ。エチゼンヤさんと店に行く。


 偉そうな役人が店の外で立っている。中に入れて貰えなかったようだ。真っ赤になっている。怒鳴った。

 「エチゼンヤ一統、午後3時に王宮に出頭せよ」

 「はて、聞こえませんでしたが」


 何事が始まったのかと野次馬が集まり出した。


 ドラちゃんが目に見えない程の細く弱いレーザーで役人の腰の辺りの服だけ焼いた。


 役人殿は野次馬が取り囲んでいるので、権力を見せつけるのはここぞと下腹に力を入れた。落ちたね服が。下半身丸出しだ。静かに落ちたので気づいていない。


 「エチゼンヤーーー」

 何かおかしいと思ったらしい。途中でやめた。


 「おじさん丸出し」

 子供の声が響くと見物人がどっと沸く。


 役人殿、自分の下半身を見て慌ててズボンを引き上げにかかるが、つっかえてもたもたしている。


 「お父のよりちっちゃい」

 再び笑い声が広場に響く。


 居ても立っても居られなくなったのだろう。膝の辺りまで引き上げたズボンのまま駆け出したが躓いて前のめりに倒れた。ズボンを引き上げようとぷっくりしたお尻を上げたり下げたりしている。

 どっと笑い声が広場に満ちる。

 どうやらズボンを引き上げるのは諦めたらしく、ズボンを脱ぎ前を抑えて逃げ出した。


 「皆々様方、あのお役人様は、当店の前で、エチゼンヤと叫び、突然下半身を丸出しにして、逃げ去った変態役人という事でよろしいですな」


 「おお、変態 役人、変態 役人、それもう一つ、変態 役人、わーーー」

 日頃小役人に威張られている人達は大喜び。変態 役人、変態 役人と唱えながら散って行った。


 王宮の宰相の執務室。

 「そろそろエチゼンヤ殿への使いが帰ってくる頃だな」

 「聞いて参ります」と秘書官が出ていく。


 しばらくして役人を連れて秘書官が戻って来た。

 「どうなった」

 「それが何の手違いか、使いに出した部下がエチゼンヤの前で手紙も出さずに、エチゼンヤと叫び、突如として下半身を丸出しにして逃げ去ったと街で専らの噂のようでしてーーー手紙と本人は見つかっておりません」


 宰相は苦い顔をした。

 「何故お前が行かぬ」

 「エチゼンヤごとき卑賤な商人の所への使いなど下の者で十分でしょう」


 宰相のこめかみがピクピクしてきた。

 「衛兵を呼べ」

 秘書官が慌てて駆け出して衛兵を連れて来た。


 「此奴を不敬罪で牢にぶち込め。エチゼンヤ殿に使いに行って下半身を丸出しにした役人を捕え、不敬罪と公用時に猥褻物を公衆に陳列し役人の品位を著しく損なった罪、公用書類を私した罪で牢にぶち込め。二人ともすぐ病死するだろうな。わかったら連れて行け」

 ハアハア息をする宰相。


 手紙をもう一度書いて、秘書官に渡す。

 「これをエチゼンヤ殿に届けてくれ。悪いがお前が行ってくれ。エチゼンヤ殿がどういうお方か知っているな」

 「先の国王の弟君で、宰相と冒険者組合本部長の悪友だとか」

 「後半はいらん。つまらん事は忘れろ。早く行け」

 

 再びエチゼンヤ本店。

 「ごめん。宰相秘書官ですが、エチゼンヤ様に宰相からの手紙を持参しました」


 今度は応接室に通され、しばらくしてエチゼンヤがやって来た。

 秘書官は立ち上がりエチゼンヤを迎え丁重に挨拶し、用向きに移る。


 「エチゼンヤ様におかれましては、本日午後3時に、シン様ご一家と王宮にご来駕いただきたく、詳細は宰相の手紙に認めてありますが、ご都合はいかがでしょうか」

 「ワシはいいよ。シン様のご都合がよければ伺おう」


 「なお、今朝方お店の前を騒がせた変態役人は、捕らえました所、病気だったようで病死しました。その上司も監督不行届きで収監しましたが、変態役人の病気がうつったと見えてまもなく病死しました」


 「そうかい。ご苦労様。他に病人がいないかよく気をつけた方がいいね。お互い長生きはしたいものだ」

 「全くその通りでございます。この辺で失礼致します」


 退出しようとした秘書官をエチゼンヤが呼び止める。

 「顔色が悪いようだが、これを飲むといい。夜体調が凄ぶる良くなる」


 蛇が頭を持ち上げた絵が貼ってある得体の知れないドリンクだが、エチゼンヤの圧力に負け飲んだ。意外にも口当たりは良く、何やら腰の辺りが疼いて来た。


 馬車に戻ると益々猛って来た。いかん、ダメだ。秘書官殿は行き先を自宅とし、急ぎエチゼンヤの首尾を宰相宛の手紙に認め、従者に渡した。


 自宅に着くと前屈みになりお手付きの侍女を捕まえて侍女の部屋に走り込み、一戦、二戦、三戦、四戦と繰り返し、さらに衰えを知らない分身に慄きながら、古女房を寝室に連れ込み、嫌がるのを抑え込み一戦、古女房殿、満更でも無かったようで更に二戦、三戦といつ終わるとも知れない戦を重ねた。

 干からびた。


 エチゼンヤは影の者から首尾を聞き、人によっては即効性があるか。これは面白い。トラヴィスとゴードンのやつに飲ませてやろうと悪巧みするのであった。

 シン様に頼んで是非とも今日は行かなくてはなとニンマリする。悪童に戻ったようだ。

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