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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に  作者: SUGISHITA Shinya
第一部

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53/499

053 エチゼンヤ本店に着いた

 頃合いをみて城門に向かう。エチゼンヤさんがこちらの馬車に移ってきた。馬車は、一般入城口ではなく、特別入城口に進む。さっきの店員さんと本店の人だろうか、貫禄のある人が待っている。


 「おかえりなさいませ。手続きは済んでおります。そのままお進みください」

 門番さんは整列して敬礼している。馬車の中も改めずに素通りだ。


 「これからエチゼンヤ本店に向かいます。支店同様遠慮なくご滞在願います」


 城門を過ぎ馬車は下町を通過し、商店が並ぶ通りに入った。大きな広場に出た。名前は中央広場。ひねりも何もないネーミングだ。その中央広場に面してエチゼンヤ本店があった。ここは隣近所と同じ幅だ。目立たないようにしているのかもしれない。


 店には入らず広場から伸びている道に入っていく。1ブロック過ぎたところで道を曲がる。少し行くと小さな雑貨屋があり、その雑貨屋の住居用と覚しい門があり、内から門を開けてくれる。なんとエチゼンヤさんは1ブロックの長さで土地を持っているらしい。裏はカモフラージュ用の雑貨屋と住居用門。


 一軒分中に入ると敷地が左右に広がっている。表も裏も道に面したところは普通の幅で目立たない。道に面した1軒分を除き中はすべて持っているのではないか。


 エチゼンヤさんの敷地に面している建物に窓はない。通り側には窓はあった。ぐるっと窓なし建物に取り囲まれている。簡単な城壁なのかもしれないな。このブロック全部がエチゼンヤさん関係なのかもしれない。すごいなエチゼンヤ。


 車寄に着く。執事さんや侍女さんが勢揃いしている。執事服を着た男性がドアを開けてくれる。

 「お帰りなさいませ」「いらっしゃいませ」

 両側に並んだ皆さんが一斉にお辞儀をする。

 「ご苦労」「ただいま」

 エチゼンヤさんと奥さんが応える。こう見ると大旦那ご夫妻だ。


 応接室に案内されると何人か紹介された。

 ローコーさんの息子さん夫婦の会長のヨシツナさんと奥さんのイサベルさん、執事長のローレンツさん、侍女長のベネディクトさん、侍女のルシアさんだ。


 ヨシツナさんにはローコーさんを救ったお礼を言われてしまった。ローレンツさんはセドリックさんの、ベネディクトさんはマリアさんの後輩だそうだ。何だか頭が上がりそうにないね本店さん。


 ルシアさんは僕たちの世話係と紹介された。若い侍女さんだ。マリアさんに薫陶を受けるのもいいね。


 スパ棟を出せるスペースがあったので会長さんにスパ棟設置の許可をもらって、用意されていた僕らの部屋は丁重に辞退した。


 「年寄りがいたら若い人はやりにくいでしょう。私はスパ棟に泊めさせてもらうわ。おほほほほ」

 エリザベスさん、最後のおほほほほで台無しだね。魂胆丸出しだよ。結局、エリザベスさんの理屈に飛び付いて、エチゼンヤさん、セドリックさんもスパ棟に泊まる事になった。


 支店に帰る予定の店員さんと侍女さんもスパ棟に泊まりたがったが、本店との交流優先で泣く泣く本店宿舎泊まりになった。今回一緒に支店から来た店員さん4人の内3人、侍女3人の内2人が本店さんの若い店員さん、侍女さんと交代だそうだ。


 夕食は屋敷で頂いた。ヨシツナさん夫婦のお子さんも紹介された。男の子と女の子だ。


 料理は板長の料理と似ていると思ったら料理長はイツカリ板長の弟子だった。ここにも支店に頭の上がらない人がいる。

 美味しかったから料理長さんをスパに招待した。もちろん、会長夫妻・お子さん、執事長、侍女長と世話係のルシアさんも招待した。お茶会だ。


 スパ棟を見て回って設備に感嘆してたね。ヨシツナさんはローコーさんになんていい思いをしてたんだと食ってかかっていたが、それはしょうがないんじゃないかと思う。

 「あなたお客さんの前ですよ」

 イサベルさんに嗜められている。


 「シン様、後学のため入館料はお支払いしますから屋敷で働く人と店員をスパに入れていただけませんか。ご迷惑はお掛けいたしません。私が毎回責任持って付き添います」

 どうもこちらの奥さんも付き添い発言で魂胆丸出しとなった。嫁、姑似たもの同士かも。迂闊に逆らって痛い目を見るのはエチゼンヤさんを見ていて学習した。


 「どうぞどうぞ、イサベルさんが責任を持ってくださるなら安心です。料金は要りません」

 「ありがとうございます。早速明日から入館させていただきます。ベネディクト、人数が多いからローテート表を作ってね」

 「わかりました。さっそく作ります。奥様一人で付き添いは大変ですから、私が補佐につきます」

 ここにも猛者がいた。執事長と侍女のルシアさんはしてやられたという顔をしている。


 エチゼンヤさんが王都についた旨、宰相に手紙を出し、やっと王都の一日が終わった。

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