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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に  作者: SUGISHITA Shinya
第四部

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497/499

497 殲滅戦後の谷を見に行きその先にも行ってみる

 暇だ。朝食を食べてさて今日は何しよう。

 谷がどうなったか見に行こう。


 ブランコとドラちゃん、ドラニちゃん、ジェナに見つめられる。置いていかないから。


 「ちょっと谷がどうなったか見に行きたいんだけど」

 「そうね。どうなったからしらね。行ってみましょう。ちょっとまってね。手配してくる」

 ステファニーさんが行く気だ。

 管理職のみなさんが出ていった。30分ほどで帰ってきた。手際が良い。

 チルドレンも揃った。こちらも手際が良い。


 泉の広場から転移。転移先は山の稜線だ。本部があったところ。

 谷は入り江となって静まり返っている。稜線に立つとまだいくらか温かだ。熱は完全には冷めていない。海水も一度温度を下げたが冷め切っていない谷底の地熱で温度が上がっている。


 「静かな入江になった。あの戦いが嘘みたいね」

 マリアさんが入江を眺めながらつぶやいた。

 「殺風景ね」

 マリアさんとならんだステファニーさんがつぶやく。

 「そうだね。いまは何も生えていない谷と海水のみだ。回復するのには何年もかかるだろうから手伝おう。まずはこのあたりを本来の温度にしよう」

 アカが前足を伸ばす。たちまち谷と海水の温度が下がる。土中深いところまでこのあたりの温度並みに下がった。


 ブランコとドラちゃん、ドラニちゃん、チルドレンにこの辺に生えている草の種を大量に渡す。熱帯号と雪原号にも渡す。

 「行っておいで」

 喜んでみんな駆け出した。ドラちゃんとドラニちゃんは飛んでいったけど。種をまきながら谷を一周してくる。


 霧雨を降らせた。

 「芽出ろ、芽出ろ」

 たちまち谷の斜面が緑になってきた。ずいぶん印象が変わった。


 次は木だ。下の方と真ん中と稜線に近い部分にわけて、アカが木の種をドラちゃん、ドラニちゃん、ブランコに渡す。

 熱帯号、雪原号、チルドレンは穴をほって木の実を埋める仕事だ。所々でいいからね。

 みんな駆けていった。広いから大変だ。途中おやつ休憩に戻ってきた。昼ごろまでかかってまき終わった。


 それじゃお昼にしよう。

 シートを出してお昼だ。今日も二百人衆の食事だ。美味しい。皆満足。ジェナとチルドレンはお昼寝だ。


 谷に雨を降らせて、木の実の芽出ろ、芽出ろと唱える。

 木の実から芽が出てきて、あっという間に本来の大きさまで育つ。栄養入雨だから急速に木が大きくなっても土地は痩せないだろう。

 後は自然に任せよう。


 入江に船を浮かべる。

 ジェナとチルドレンも起きた。みんなで船の上に転移。

 船から見ると緑の深い谷の静かな入江だ。

 静かで美しい。


 「ほら、みんながまいてくれた草と木が育って、綺麗な谷になったよ」

 「ほんとだ。お昼寝している間に綺麗になった」

 ジェナが言うとチルドレンが頷いています。


 ゆっくり船を海の方に動かす。

 奥の方に船を出したから、かなり海までは遠い。


 まだ海の中には何もいないと観察ちゃんが言っています。魚探か。

 決めた。ここは、魔物避けを海への出口に設置しておこう。普通の魚の楽園にしてやろう。それには海の底も豊かでなくてはならないか。


 僕は魔物を奥からチェックして行った。まだいなかった。海への出口に魔物よけを設置した。魔物以外は中に入れる。

 アカが海の底を豊かにする。小魚が空から降ってくる。あとは陸と同じ。自然に任せよう。


 船が海に出た。陸地にそって北上。速度を上げる。遠くは火山帯だ。火山からこっちは溶岩台地だな。草はところどころ生えている。

 それを過ぎたら海に氷が浮いているようになった。やがて氷原になった。船を止める。


 「おとたん、遊んできていい?」

 「いいよ」

 雪原号が船から飛び降り元の大きさになった。ジェナとチルドレンは雪原号の上に飛び降りた。熱帯号は小さいまま雪原号の上だ。


 雪原号がどしどしと走る。まだそんなに氷は厚くないだろう。割れたぞ。ジェナにメッされて、慌てている。

 這い上がろうと足を伸ばすがバリバリと氷が割れる。いつもの魔物が串刺しにしようと海の底から急速に浮上してくる。

 ジェナが気がついた。海に飛び込んだ。魔物の角を切断。勢いはそのまま雪原号のお腹にぶつかった。グエッと声が聞こえ、雪原号が上に飛ばされた。


 チルドレンは大喜び。雪原号が落ちてきた。チルドレンは思いっきり遠くに飛んだ。熱帯号も一緒だ。雪原号は豪快に氷を割って海の中へ。水中で暴れている。ダメそうだ。暴れるたびに氷が割れて、到底氷の上には上がれそうにない。

 ジェナが諦めて、厚そうな氷の上に転移させた。ジェナにお説教されて雪原号はしょげている。


 雪上車を作ろう。長さ10メートル、幅5メートル、高さ5メートルでどうだ。作った。丈夫だぞ。動力は船と同じ。操縦者のエネルギーだ。四角い箱を無限軌道の上に乗せたような形だ。ただし、スピードを出したときのために前は少し斜めだ。空中に浮かせれば氷の割れ目も気にせずにどんどん進める。


 甲板の上に出した。ブランコ、ドラちゃんとドラニちゃんがすぐ乗り込む。

 「雪上車だよ。みんな乗って」

 みんな乗り込んだ。


 周りは透明、不透明に出来る。一部透明にも出来る。とりあえず全部透明にしてと思ったがそれでは大きさがわからないから、枠のように不透明なところを残した。

 操縦席は簡単。バーを行きたい方向に倒せばいい。それだけ。空中に浮かせて、船を収納。雪上車をそっと氷原に下ろす。


 まずはステファニーさんが運転席に陣取った。

 「出発進行」

 動き出した。スピード調整はエネルギーの注ぎ具合だ。


 すぐジェナたちが気がついた。あわててこちらに来る。

 しょうがない。乗せてやろう。

 ドアを開けると飛び込んできた。

 「おとたん、ずるい」

 別にずるくはないと思うが。

 雪原号も小さくなって乗ってきた。


 それじゃ改めて。

 「出発進行」

 みんな喜んでいる。


 氷原も自由自在だ。割れ目もなんのその、浮いて前進。便利だね。

 ドラちゃんが交代交代と言っている。

 交代した。


 前進を始める。すぐ加速だ。雪上車の中の加速度は調整してあるからいいけど、そうでなければ普通の人間では息が苦しい、ぺちゃんこになりそうだ。氷山など土手っ腹に穴をあけてスピードを落とすことなく前進。ドラちゃんはスピード狂だったのね。高速で曲がったりして楽しそう。重力も調整してあるからね。ひっくり返らない。


 チルドレンはキャーキャー言っている。

 僕らは、お茶の時間だ。マリアさんが淹れてくれたお茶を飲んで窓の外を眺めている。外を見ると目まぐるしいから、見るのはやめた。


 みんな交代で運転している。ジェナは意外と大人しく運転している。エスポーサは運転しなくていいらしい。ニコニコとジェナの運転を見ている。

 ひととおり運転してみた。楽しいという感想だ。船は大きすぎるからね。あれを運転するには慣れか、強引なパワーが必要だ。こちらは自由自在に一人で運転できる。手軽だ。


 陸上用は作らないことにしよう。バトルホースとかベーベーがつまらなくなってしまう。制限がないといけないからね。

 それに小さいものなら作れるかもしれないと人を刺激してもね。戦争用に作って使おうと思ったりするだろう。進歩が人の幸福となるとは限らない。

 なんなら船を出して浮かせて移動してもいいし。それならだれも作れるとは思わないだろう。

 隔絶したものはいいのだ。


 右手遥かに世界樹の台地を見て進む。ここは氷原地帯の湖から流れ出る川がそそぐ海だ。前方遠くに陸地が見える。世界樹の台地と緩衝地帯が海に突出した部分が終わったようだ。陸地はそのうち行ってみよう。

 それじゃ帰って夕食にしよう。雪上車から降りて貰って、雪上車を収納し、神国に転移。雪原号と熱帯号は観察ちゃんが送って行った。

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