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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に  作者: SUGISHITA Shinya
第四部

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492/499

492 星外飛来生物殲滅作戦参加者後日談 (7)

 三馬鹿と神父

 三馬鹿と神父は今日も保父さん業が忙しい。託児所と孤児院を行ったり来たりである。両方ともシン様関係なので神父たちは自由に行き来している。

 今日は託児所の遠足である。もちろん人手が必要なので三馬鹿と神父は託児所に呼ばれた。

 魔物が跋扈する世界なので遠足で行ける場所は、スパエチゼンヤか王都、孤児院の農場、牧場である。今日は王都、それも王宮見学なのであった。行く先が問題である。呼ばれるわけだと思った三馬鹿と神父。


 「では行きましょう」

 園長が馬車から顔を出す。三馬鹿と神父は徒歩である。いつものことだ。

 スパエチゼンヤを出て、王都まで何事もなく着いた。門番もこの頃は諦めて、馬車と神父たちをひとまとめにして一緒に通すことにした。


 城門を入って、中央広場で休憩。馬車から小さいのが降りてくる。

 「ほら、見失うんじゃないよ」

 園長先生だ。

 はいはいと心の中でつぶやいて、しばらく遊ばせて出発。


 今度は王宮まで休まずである。富裕層の住宅街を抜けて貴族街へ。ドラちゃんが潰してしまった貴族の邸宅跡地には新しい邸宅を建築中であった。誰かが手に入れたのだろう。


 貴族街の中心が王宮である。王宮前広場で馬車を降りて、徒歩で王宮の門に。園長さんが書類を見せて通用門から入った。


 王宮の庭園を巡る。園児たちの感激はない。うちの庭園の方がいいねとあちこちから聞こえて来る。一人面白くなさそうな園児がいる。

 案内してくれる役人も無礼なと思うが事実でもあるので苦虫を噛み潰したような顔をして案内していく。それに高位の貴族の幼児が貴族学校に入学するまで平民のような格好をして通っているという噂もある。面白くない顔をしている園児になんとなく見覚えがあるような気がするのである。うっかりなことは言えないのであった。


 国王陛下が迎賓館で会ってくれると言うので迎賓館に向かう。

 迎賓館に入るが、園児たちに感激はない。遠足に行ったスパエチゼンヤのソーリョージカンの方が豪華なのである。感想は、へーだけである。一人、王宮の迎賓館はすごいと言っている園児がいる。

 案内役人は総領事館に行ったことはないが、王宮の迎賓館より立派と言う噂なので、さらに苦虫を噛み潰したような顔をして案内していく。


 迎賓館の一室に案内される。大きな部屋だ。園児が椅子に座らせられる。

 国王のおなりーと声がして国王陛下がお出ましになった。


 園長と保母は跪いているが、三馬鹿はじめ神父たちは素知らぬふりである。

 もちろん園児は、このおじさん、お菓子を出してくれるのだろうかとの考えしかない。シン様にしか傅かない三馬鹿の教育が大変功を奏しているのである。一人きちんと跪いている園児がいる。


 役人はイライラが募る。つい言ってしまった。

 「国王のおなりである。跪け」

 「何か言ったか?国王の御前であろう。私語は慎め」

 ゴットハルトが役人に向かって言った。

 私語にされてしまった役人。ブルブル震え爆発寸前である。


 「皆の者、ご苦労である」

 察しの悪い国王である。

 「おじちゃん、お菓子は?」

 「おじちゃん?」

 国王は宮中で言われたことのない言葉に面食らう。


 国王がなんだいと役人を見ると、顔を真っ赤にしてブルブル震えている。

 「トイレか?行って良い。許す」

 まことに察しの悪い国王であった。


 「園児は不敬罪です。こいつらも同じ。直ちに牢にぶち込むべきです」

 こいつらと言われて国王が見ると、三馬鹿と神父が腕を組んで、壁に寄りかかっている。

 まずい。


 「すぐ椅子をお持ちしろ。座っていただけ」

 国王がブルブルしている役人に命じた。

 園長は跪いているがにんまりしている。

 園児が国王の権威など全く認めないので不敬になるのは目に見えていたから、三馬鹿と神父を同伴したのであった。うまく行ったと園長どの。


 そもそも今回の王宮見学はある親の希望であった。上級貴族と噂され職員達が脅され無理矢理入園して来たのである。職員一人一人の弱点を突き、もし神父に相談したら一斉に職員家族を襲うと脅されていたのである。


 子供は託児所で浮いていた。親はそれを知って貴族が出入りする王宮を園児にみせて自分の子供の立場を良くしたかったのだろうと思われた。

 とんだとばっちりである。が園長は機会を狙っていたのであった。これ幸いと三馬鹿と神父をつれて王宮見学に来たのであった。園長は大変曲者なのであった。


 「国王様、父がいつもお世話になっています」

 跪いていた園児が発言した。

 「はて、スパエチゼンヤの託児所に余の知り合いの子供が通っているとは聞いてないが。あそこはスパエチゼンヤで働く者たちの託児所だろう」

 「いえ。父は貴族です」

 三馬鹿と神父が睨む。


 園長が発言した。

 「国王陛下、託児所は陛下のおっしゃる通り、スパエチゼンヤで働くものたちの託児所です。それを無理やり職員を脅して押し込んだ貴族がいます」

 直訴である。招いた客からの直訴である。国王は狼狽える。侍従がすぐ宰相を呼びに行った。


 「とりあえず、園児の皆さんはお菓子を食べていてね」

 侍従の一人がそう言って、国王と園長を別の部屋に案内する。もちろん三馬鹿と神父はついていく。

 直訴と聞いて宰相が走って来て、顔ぶれを見て、悪い予感がするのである。


 「どういうことかね」

 国王が聞いた。

 「実は、我が園はこれまでにない教育、環境と評判が立っています。それを聞きつけた自称上級貴族が、職員一人一人の家族を脅し、もし神父に相談したら一斉に職員家族を襲うと職員が脅されました。私はどうしたことか脅されませんでしたが、職員が脅され職員家族に危険が予想されやむを得ず、子供を入園させました。子供は貴族を鼻にかけ、園、園児と馴染みませんでした。それを聞いたのでしょう。自称上級貴族が王宮見学を申し入れて来ました。自分の力を見せて子供達を萎縮させようと思ったみたいです。うちの子供達はシン様が主とおもっていますから、なんの効果もありません。国王陛下をおじさんと呼ぶくらいです」

 国王は、おじさんの意味がやっとわかった。


 「それはなんと言う貴族か」

 ゴットハルトが聞く。

 「ルーペンと言います」

 「ルーペン?知らないな」

 国王がつぶやく。

 「貴族を鼻にかけていろいろと良くない行状を聞く中級貴族です」

 宰相が答える。


 「そういう貴族を放置しているのか?」

 ゴットハルトが問いかける。

 「証拠がないので」

 宰相が答える。

 「証拠があればいいのだな」

 だんだんいつものパターンになって来た。


 「屋敷はどこにあるのか?」

 国王は蚊帳の外である。蚊帳の外であることに安心している残念国王であった。

 「中級貴族街にあります。他にどういうわけかドラちゃんがつぶした邸跡を手に入れ、現在邸を建設中です」

 どうせわかることだと宰相は知っていることは話してしまう。

 「そうかい。後で行ってみることだ」

 ゴットハルトが意味深な発言をする。


 「ではこれで失礼します。園児には昼食を出していただけるそうですね。それをいただいたら、帰ります」

 園長先生のご発言を聞いてないよと侍従。

 「三馬鹿と神父のみなさんもたまには王宮の食事を食べてくれ」

 お気楽国王がご発言だ。

 侍従が料理長のもとに走る。

 園長も三馬鹿も神父もニンマリしている。


 宰相は悪い予感は必ず当たる。しかも園長は大変な曲者だった。直訴に昼飯強要である。また一人天敵が増えたと嘆くのであった。


 それから宰相が付き合い、園児は、園の給食の方が美味しいと言って帰って行った。料理長かたなしである。

 園長も保母さんも三馬鹿も神父もしっかり昼食を食べて行った。


 しばらくして貴族街の方から大きな音が響いて来て、煙が上がってすぐ消えた。二箇所である。

 宰相は執務室からその音を聞いた。秘書が聞く。

 「ハビエル神父様とトルネード様でしょうか?」

 「ああ。そうしてくれ。近衛兵をルーペン屋敷とドラちゃんが潰した後に建築中の屋敷に派遣しておいてくれ」

 「かしこまりました」


 貴族お取り潰しコースに宰相も秘書もすっかり慣れてしまったのである。これから起こることが手に取るようにわかるのである。

 実際そうなった。

 ルーペンは数々の悪事がハビエル神父の金庫開扉術によって開けられた金庫の中の書類と金貨とであばかれてお取り潰しになった。

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