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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に  作者: SUGISHITA Shinya
第四部

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477 海岸の崖沿いの集落は行商人を心待ちにしている

 振り返ると集落の家々から顔がのぞいている。驚愕の表情だ。

 「ゴブリンは根絶しました。この世の中にゴブリンはもういません。安心してください」

 「貴方様たちは?」

 「僕たちは通りすがりです。たまたまゴブリンを見かけたものですから、寄ってみました」

 「ありがとうございます」


 こわごわと家から人が出てきた。

 「知っていたら教えてほしいのですが」

 「なんでしょう」

 「ここしばらく行商人さんが来なくなってしまったのですが、なにかご存知でしょうか。前は帝国の境の山を越えてきて麓の海岸の崖上まで定期的に来てくれていたのですか、今は行っても誰もやってきてくれません。今回も行って見ますがもう今回も来なければダメかもしれません」

 「帝国が東隣の国を滅ぼし、さらにその先に行こうと戦乱をおこしました。今は戦乱は集結し、戦乱を起こした人たちは滅びました。その影響かもしれません」

 どこから来ていたのかな、その商人たち。海岸道を通ってやってきたのかな。


 ここは旧神聖教国側海岸道入り口

 「お父さん、もうやめようよ。無駄だよ」

 「バカなことをいうな。俺たちがいかなければあの森の集落の人たちの生活が成り立たない」

 「そんなこと言ったって戦争の間は来られなかったし、そのあとも落ち着くまで来られなかった。やっと来てみれば大岩が海岸道を塞いでいて先に行けず、もう何回も来て見ているけど、海岸道を塞いでいる大岩はそのままだったよ」

 「何が起こるかわからん。が、お前のいうことももっともだ。今回行ってダメなら、間隔を空けよう」

 「また、そんな。もうダメだってば」

 「おい、岩がなくなっているぞ。見ろ」

 「まさか。本当だ。大岩がない」

 「通れるぞ。急ごう。定期の日に間に合う」


 『シン様。シン様。海岸道を通って行商人がこちらに向かっているみたいだよ。馬に荷を積んだ親子と護衛だよ。大岩で海岸道が塞がれていて来られなかったみたいだよ」

 『わかった。ありがとう』


 「行商人は海岸道が大岩で塞がれていて、それで来られなかったみたいです。大岩は取り除きましたので、今商人がこちらに向かっています」

 「本当ですか」

 「親子と護衛みたいですね」

 「おお、そうだ。彼らだ。俺たちも取引場所に急ごう」

 にわかに集落が活気づいた。何人かが走っていく。多分他の集落に声をかけに行ったのだろう。


 「ジェナ、ドラちゃんとドラニちゃんと海岸道に行って、崩れやすそうなところを手当てして来て」

 「わかったー」

 ジェナとチルドレンがドラちゃんに乗って出掛けていく。


 観察ちゃんが教えてくれる。

 ジェナはチルドレンと一緒にムジンボーケンで崩れそうな崖を脆くなったところまで粉々に崩して、崩したものに瞬間生体接着泥団子の応用の圧力硬化接着泥団子を作ってそれを粉状にして混ぜてもう一度崖に押し付けて圧力を加えて崖を固め、その上から、さらに瞬間被覆硬化泥団子をぶつけて覆ったからもう崩れそうにないと教えてくれました。瞬間生体接着泥団子は応用範囲が広いな。それを応用できるジェナもすごい。

 親バカだと言われました。


 ジェナ達が帰ってくる。

 「おとたん、やったよ」

 よしよしえらいえらい。抱っこしてやります。


 「ではこれで我々は行きます」

 「待ってくれ。命の恩人だ。せめて昼食を食べていってくれ。俺たちは魔肉は豊富だ。食べてくれ」

 アカが食べていきましょうと言っている。

 「それじゃごちそうになります」

 集落の人が出て来た。火にかけた大きな鍋に山菜と魔肉を入れた。

 魔肉の串焼きも始めた。ブランコ、ドラちゃん、ドラニちゃん、チルドレンは串焼きの周りで待っている。涎が垂れそうだよ。

 集落の人がニコニコしている。

 「はい、焼けたよ」

 みんなかぶりつく。美味しいらしいよ。満足の顔だ。

 僕らもチルドレンが一巡したら串焼きをいただく。魔物汁もいただく。美味しいね。


 「行商人さんと何を取引するのでしょう」

 アヤメさんが集落の人に聞いた。

 「魔物の皮と魔石だ。品質がいいらしいよ。俺たちはそれと引き換えに塩と日用品をもらう。塩は貴重だ。もうほとんどないが行商人さんが来てくれるなら、間に合った」

 「それは良かったですね。行商人さんはどこから来るのでしょう」

 「なんでもこの山の向こうの国をいくつか越えて、その先から来てくれているみたいだ。先祖代々通って来てくれている。ありがたいことだ」

 へえ、リュディア王国から来ているのかな。あとでマリアさんに聞いてみよう。


 ステファーさんが質問する。

 「皆さんは何人ぐらいらっしゃるのですか」

 「いくつかの集落があって、一つの集落が300人かもう少し、全体で3000人くらいだ」


 「この先に集落はないのですか」

 「俺たち以外の集落はない。平らな森だ。ずいぶん先は海と言われている。また言い伝えだが、まっすぐ北に行くと鉱山都市があるらしい。大昔に行って見た人がいるという言い伝えだが本当かどうかわからない」

 「その当時は魔物が少なかったみたいだ。今は魔物が多くてとても行けない。もっともそのおかげで俺たちは生活していける。海岸の崖近くには魔物はあまり来ないので俺たちは暮らしていける。山の恵みもあるしいいところだよ」


 「そうですか。それを聞いて安心しました。ゴブリンのような魔物が繰り返し襲って来ては大変と思いました」

 「ああ、大丈夫だ。ゴブリンは今回が初めてだ。見たのも初めてだ」

 「最後のゴブリンだったらしいですよ。もうゴブリンはいないみたいです」

 「そうかい。お前さん達も不思議な人だね。森の精霊かな」


 みんな食事が終わったようだ。では追及される前に出発しよう。

 「ごちそうさまでした。先に行って見ます」

 「そうかい。いつでも来てくれ。歓迎する」

 とりあえず集落がなくなるまで崖沿いに西に行こう。

 集落が切れた。もう先に集落はないらしい。

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