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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に  作者: SUGISHITA Shinya
第四部

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466/499

466 鉄を運んできた筋肉集団と勝負する

 エチゼンヤさんの隊商の荷馬車の少し後ろに転移した。すぐ追いつく。

 エリザベスさんが馬車、馬車と言いながらやってきた。馬車に乗り込んだら話し相手がいないことに気がついたみたいだ。呼ばれてしまった。しょうがない。アカと馬車の中へ。

 道中は特に何もなくアンナさんも意外によくやっているみたいだ。少し抜けているところがあるけど優秀だ。


 夕方になって野宿。エリザベスさんがスパ棟、スパ棟と騒ぐけど無視。しかし、根負けしてシャワー棟を出した。すかさずやってきましたアンナさん。いいですけど。ゾロゾロやってきます。いいですけど。

 夕食はエチゼンヤさん御一行と一緒だ。もちろんエチゼンヤさんが提供した。入湯料だろう。

 夜はテントだ。エリザベスさんは諦めてエチゼンヤさん御一行のテントに行った。


 僕らもテントを張って寝ます。テントは二張りだ。ティランママとティランサンで一張りだ。チルドレンもティランママのテントに行った。ティランサンが構ってくれるらしい。

 ジェナはエスポーサが抱っこして眠った。


 朝は食事は別々と思ったらまたまたシャワー棟のご利用があり、一緒に朝食。いいんですけど。線指輪をバントーさんもアンナさんも持っているし、二百人衆もいるから、板長さんの朝食でおいしい。

 今日は昼前には約束の現場に着くので、この場で二百人衆は別れて待機だ。


 馬車は大袈裟だからチルドレンの昼寝用に簡単な荷馬車を作ってバトルホース一頭で引いて行くことにした。

 二百人衆を除いた人たちと僕らで出発。

 昼前には現場に着いてしまった。まだ来ていないので昼食にした。

 馬車は収納してある。昼寝用荷馬車はそのままだ。


 昼寝が終わる頃、山の切れ目を通って筋肉集団が馬に荷馬車を引かせてやってきた。馬もなかなかの馬だ。

 エチゼンヤさんの荷馬車の馬には余裕で勝てそう。エチゼンヤさんの馬が位負けしている。バトルホースに気がついた。今度は向こうが位負けしている。面白い。


 「久しぶりだな。後ろの馬は大層な馬だな。しかし女、子供か。俺たちの腕力には話にならないだろう」

 始まったとエチゼンヤさんの連中。


 「うるさいわね。さっさと取引よ」

 「こ、これは姐御、お元気でしたか」

 エリザベスさんには弱いみたい。前に来た時、侮って腕相撲をしたらエリザベスさんに全員討ち果たされたのでその時以来、姐御と呼ぶようになったと店員さんが解説してくれました。


 荷馬車の列を並行にして、まずは荷馬車5台から荷物を下ろし、鉄の延べ棒を運んできた人たちが空になった荷台に延べ棒を積み替えた。延べ棒を下ろした荷馬車にエチゼンヤさんが持参の荷物を積む。もう一度繰り返して、双方、荷を確認して、取引は終了した。


 筋肉集団がテーブルを出し、お楽しみのお時間のようだ。

 「今日はエリザベス様を除いてエチゼンヤにツワモノはいないようだな。エチゼンヤの後ろの連中でだれかかかって来るものはいないか?」


 僕が前に出る。

 「あのう。僕たちはみなさんのお国に行ってみたいのです。それで鉄の延棒が買えれば少し買いたいのですが」

 「無理、無理、おまえさんたちでは来られないだろう」

 「どうしたらいいのでしょうか」

 「まあ俺たちに腕相撲で勝ったら来てもいいぞ。筋肉に誓おう」

 自信満々だ。誓いまで立ててしまったよ。


 「そうですか。それではお願いします」

 「おい、やるのか?骨が折れても知らないぞ」

 「ええ、ご希望の相手はいますか。誰でもいいですよ。一番小さいチルドレンでもいいですが。一人一番にして、勝ち数が多い方が勝ちとしませんか?」

 「それは構わんが」


 はいはいはい、とチルドレンが手を挙げています。

 「こちらは、先鋒はリオンと言います」

 「届かねえじゃねえか。椅子を出してやれ。こちらは一番弱いやつだ」

 椅子がガッチリとセットされ、一回戦。リオンちゃんがニコニコ椅子に登ります。ちゃんと靴を脱ぎました。

 筋肉集団から一人出てきました。まだ若いみたい。筋肉の量が少し少ない。


 「じゃ、いいんだな。どうなっても知らないぞ」

 「はい、どうぞ」

 僕が答える。

 テーブルの周りはエチゼンヤさんの店員さんたちと筋肉集団が取り囲む。


 「じゃ、俺が掛け声をかける。よーい、はじめで開始だ。手の甲がテーブルについた方が負けだ。公平を期して判定は、双方一名づつ出て行なおう。二人が合致すれば勝負ついただ。じゃ、手を組んで」

 双方から一名づつテーブル脇についた。

 リオンちゃんの手は小さいので勝手が違うようだけど、なんとか組んだ。


 「よーい、はじめ」

 あっという間に勝負がついた。筋肉集団は呆然としている。

 号令筋肉おじさんが我に返った。

 「は、判定」

 審判二名も言われて我に返ってリオンちゃんを指す。

 号令おじさんがリオンちゃんの手を上にあげて勝者と告げる。


 こちらの二番手はもちろんフロランスちゃんだ。ニコニコして椅子に登る。躾がいいのでね。靴は脱いだ。

 「おい、に、二番手」

 号令おじさんが焦っている。今度は女の幼児だ。これに負けては男の沽券がと思ったらしい。相談があった。


 「申し訳ないが男にしてくれないか。こちらも女の幼児に負けたのでは帰れない」

 「いいですよ」

 号令おじさんはフロランスちゃんの手を上げた。不戦勝らしい。

 次はプリメーラと言いたいところだが、相手を尊重してプリメーロだ。


 「組んで、よーい、はじめ」

 すぐ勝負がついた。判定も文句なくプリメーロ。

 「つ、次」

 さて、こちらはアヤメさん。女性だけど、いいか。聞いてみた。

 「少し背が小さいが大人のようだから構わない」

 あ、余計な一言を。


 あっという間に勝負がつく。意気消沈の筋肉集団。

 その後、オリメさん。ステファニーさん、マリアさんと連戦連勝。

 ドラちゃんとドラニちゃんは相手がパス。不戦勝。

 次はティランサン。圧勝。ティランママ、圧勝。

 あれ、だんだん減ってきた。

 エスポーサ、圧勝。

 今度僕?

 最後なので号令おじさんがやるらしい。号令はエリザベスさんが務める。

 「組んで、よーい、はじめ」

 どうやってゆっくり勝とうかと考えている間に始まってしまった。自然と腕が動いて、圧勝。

 全員圧勝である。

 「負けた」


 筋肉集団は茫然自失、腰を下ろして、負けた、負けたと呟いている。

 エチゼンヤさんの連中は勝って当然とお茶の用意だ。相手にもお茶を配る。

 やや我に返った筋肉集団。出されたお茶を飲む。


 「すまねえ。負けた。勝負でなく、後学のためにパスした女の子とやってみたい。受けてくれるか」

 「いいですよ」

 今度は審判はなし。号令はエリザベスさん。

 フロランスちゃん、プリメーラ、ドラニちゃん、ドラちゃん。みんな圧勝。

 「負けた」

 もしやと思ったらしいががっくりである。


 「それではみなさんのお国に行っていいでしょうか」

 「ああ、約束だからな。筋肉に誓ってした約束は破ってはならないというのが俺たちの掟だ。来てくれ。歓迎する」

 「そうですか。それではよろしくお願いします。僕たちは自前で移動、食事、野宿ができますので御迷惑にはならないと思います」

 「ああ、そのようだな。その後ろの馬に俺たちの馬が負けている。馬でないのもいるようだが、面構えがいい。それと腕相撲の結果だ。何があっても大丈夫だろうよ。一泊して明日出発だ」

 「はい。わかりました」


 「そうだ。もう一つ勝負だ。酒だ。そっちは誰だ」

 「一人ですか?」

 「そうするか」

 「わかりました。こちらは誰がいいかな。誰でもいいですがご指名はありますか?」

 オリメさんを指す。

 「あの方でお願いする」

 ははあ、安全を狙ったな。大人の中で一番下だ。

 「いいですよ。そちらは?」

 「俺だ。ベアグマンだ」

 「僕はシンです。夕食前にしますか?

 「夕食の余興でどうだ」

 「そういうことだそうだ。オリメさんいいかい?」

 「はい、勿論」


 「ところで僕たちはお酒は乾杯用のしか持っていないのですが」

 「いいぞ、俺たちが酒を提供しよう」

 「それはありがたい」

 少し筋肉集団は休んで、気分が回復したところで夕食。


 「それでは、腕相撲では、エリザベス姐御以来の完敗だが、今度の酒の勝負には負けぬ。みんな俺が勝つので一勝だ。楽しんでくれ」

 盛り上がりますね。樽が持ち込まれる。強い酒のようだ。蒸留酒だろう。

 「乾杯用のお酒は僕が提供しましょう」

 手分けしてみんなで筋肉集団についてやっている。

 「よし、乾杯だ」

 「乾杯」

 「弱い酒だが美味いな」

 「ありがとうございます」


 「それでは勝負開始だ。みんなは夕食を食べてくれ」

 お互いの陣営から酒の注ぎ手が一人出て、相手陣営の飲み手に次ぐ。公平を期したわけだな。


 最初の一杯。随分大きな器である。アヤメさんは水のように飲む。実際水のようなものなのだけど。

 「随分強いお酒みたいですね」

 「そ、そうだ。一番強い酒だ」

 号令おじさんも飲む。


 2杯目、3杯目、4杯目。アヤメさんは淡々と飲む。

 号令おじさんの顔がだんだん赤くなる。アヤメさんは変わらず。

 10杯目になった。号令おじさんは負けたーと叫んでぶっ倒れた。


 「酒も負けた」

 筋肉集団のみなさんだ。

 その後は和気藹々と夕食になった。

 僕らはテントを張って就寝。

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