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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に  作者: SUGISHITA Shinya
第四部

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452/499

452 宮中夜会 懇談会

 三人が踊らないのでほっとして、みんな安心して踊り出す。

 国王夫妻が近づいてきた。

 「公爵にトラヴィス、だいぶあの三人と仲が良い様だが、どちら様かね」


 「エレーネ女王様のご友人で、マルティナ様、サントス様の親子、それにお付のプリシラ様です」

 公爵が答える。一応押し込んだのは公爵だから諦めて返事をする。


 「どなたの紹介なのか。どんな方なのか」

 「私がたまたま知り合いましたので、今日の夜会にと思った次第です。マルティナ様は領地持ちの貴族らしいです。なんでも領地はこの国より広いとか」

 「まさか」

 「いえ、御ローコー様がご存知の方のようで領地の広さも知っているみたいでした」

 休戦中である。助け舟を出す宰相。


 「三人ともお前たちよりはるかにダンスが上手だ。この国の誰もかなうまい。かなりの方々と見た。それにしても関係者がなあ。エレーネ女王に叔父上夫妻だ。かなり危ない匂いがすると思わないか」


 「そんなことより貴方、あのエメラルドとダイヤモンドを見ました?私は持ってないわ」

 風向きがやばい。

 公爵と宰相がニヤニヤしている。こいつらいつから仲が良くなったのだ。

 「イヤリングについているダイヤさえもあの品質のものは持ってないわ。宝物庫にもない。欲しい」

 ねだられる国王。苦し紛れに言った。


 「それはお前、あんなものはシン様しか持っていないだろう」

 その瞬間、口に出した国王、聞いた公爵と宰相は真実の一端を垣間見た。思わず三人はお互いに見交わした。そして冷や汗である。

 そろそろと危険物の集合から逃れようとする三人。国王と宰相は王妃にガッチリ手を取られた。


 「あんなものですって?」

 危険物はごく近くにもあった。公爵は逃げようとする。宰相が逃がすものか張本人めと手首を掴んだ。休戦は破棄なのである。


 国王は王妃からお説教されている。宰相と公爵はとばっちりである。

 「何処で入手したか聞いてみましょう」

 「「「よした方がーーー」」」

 「何よ、あんたたち、三人グルなの。おかしいわね。微妙なバランスの上に成り立っている三人組のはずなのに。知り合いだからご挨拶だけはしましょう。逃げるんじゃないわよ」

 三人睨まれた。


 知り合い?なぜ王妃がマルティナ様と知り合い?国王とその後ろを歩く公爵と宰相は混乱である。


 「こんばんは。皆様」

 「これは王妃様。こんばんは」

 エリザベスが挨拶を返す。王妃が3人に向きなおった。

 「しばらくです。近々スパエチゼンヤに遊びに行くわ」

 「はい。お待ちしております」

 「楽しんでいただいていますか?」

 「もちろん。宰相様も公爵様もダンスがお上手で感心しました」

 心にもないことをと公爵と宰相。


 「二人は国でも上手な方なのですが、皆さんには敵いません。ステファニーさんとマリアさんがダンスの名手なのですが、国から出てしまって、今は宰相と公爵がダンスの筆頭なのですが、ステファニーさんとマリアさんの域には達していません。宰相と公爵には練習させますので、またおいでください」

 とばっちりが来たと公爵と宰相。

 「はい。機会があれば」


 「スパエチゼンヤに伺う前に、近々お茶会はいかが?そうね。せっかくだからスパエチゼンヤ旅館にしましょう。連絡はスパエチゼンヤ旅館でいいわね」

 「はい」

 お茶会は俺たちには関係ない。ダンスではないからほっとする国王、公爵と宰相。


 「公爵と宰相もいかが。あなたも」

 「ちょうどその日は陛下と宰相と仕事が入っておりまして残念です」

 国王と宰相が力強く頷く。国王も加わって休戦なのであった。

 「まだ日程は申し上げておりませんが」

 しまったと弱者連合。

 「まあいいです。仕事が忙しいのでしょう。女性だけにしましょう」

 ほっとする三人。


 「ではまたお会いしましょう」

 王妃が三人を引き連れて離れていく。

 遠慮して寄って来ないだろう自治組織の代表が集まっている方に向かっていった。


 「なかなかですね」

 ティランママの感想だ。

 「一番 先の王妃、二番 今の王妃、三番 その他かな」

 エリザベスさんの評価だ。


 一年に一度の国王主催のいわば無礼講懇談会だ。あちこちで話の花が咲く。エチゼンヤ夫妻のところにも色々な人が話に来る。その度ごとにティランママに挨拶していく。


 外が明るくなって馬車が走れるようになって会は終了だ。だいたい上位のものから退出となる。来た時と同じように、エチゼンヤ夫妻の馬車に続いてティランママの乗る馬車が王宮を退出した。スパエチゼンヤに戻る。


 「おかえり」

 シン一家総出で出迎える。

 「ただいま戻りました」

 「お疲れ様でした」

 「面白かったです」

 エリザベスさんだ。


 クローニンさんは女王が心配だから戻るというので、馬車を進呈した。

 とんでもありませんと言われたけど、女王の紋章入りだからと受け取ってもらった。アレシアス王国で一番いい馬車だぞ。乗り心地がいいからいつもエレーネさんに乗って貰えばいい。

 エスポーサに送ってもらった。


 エチゼンヤさんに王宮からお茶会の日程の連絡があったら知らせてくれるようにたのんで、ティランママとティランサンは魔の森へ、僕らは神国に戻った。

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