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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に  作者: SUGISHITA Shinya
第四部

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444/499

444 スパーニア王都にて (中)

 さて僕たちは昼食だ。スパエチゼンヤに転移。午前中のダンス講習は終わったみたいだ。ブランコが情けない顔をして出て来た。

 ドラちゃんが串焼きを差し出す。少し元気になった。

 昼食後、昼寝。


 さて出かけますか。

 昼前と同じメンバーで、ドラちゃんに乗って行きます。

 ドラニちゃんと飛んでいきます。観察ちゃんはドラちゃんとドラニちゃんに乗っています。よく地図が作れるのだろう。高速で飛んで、荷車がみえたので着陸。


 「もう少しですね。王都まで」

 「おかげさまで楽しています」

 「それは良かった。じゃ先に行きます」

 王都の裏道に転移。さっきの広場まで行こう。


 朝市は終わったから朝の賑わいはないけど、人は多い。衛兵の小隊長さんが待ち構えていたようだね。ご苦労さん。こっちに来るよ。みんな期待している。やだねえ。


 「おい、ちょっと来てもらおうか」

 「なんででしょうか?」

 「朝の件だ」

 「あれ、あれは自損事故じゃなかったの?」

 「本人たちはそう言ってはいるが」

 「じゃ、いいんじゃないですか。一件落着で」

 「どうも腑に落ちない」


 「あなたの息子さんが今朝何をしていたか知っていますか?」

 「知らん」

 「大勢で女性に絡んでいたんですよ」

 「・・・・・」


 「衛兵さんの活動の目的はなんでしょうか?」

 「街の治安を守る」

 「ご子息は治安を乱しているようですが」

 そうだ、そうだと言う声があちこちから聞こえてくる

 観客が増えたぞ。どうする小隊長さん。


 遠くで他の衛兵さんが呼んでいる。

 「盗賊が大勢捕らえられて着いたぞ。集合がかかった。衛兵は早く来い」

 僕らのお相手の小隊長さんは逃げ道が見つかったとばかり走って行く。

 邪魔が入ったね。これからいいところだったのに。みんながっかりしている。


 がっかりすることはないようだ。遠くの建物の影からこちらをのぞいている方がいらっしゃるぞ。朝の一味だね。

 観察ちゃんが人数を集めて来たと言っています。そうですか、それじゃどこがいいでしょうか。観察ちゃんが、衛兵本部の裏手にちょうどいい広場があると申しております。

 ちょうどいい。ティランママとプリシラさんに頼み事をして、観察ちゃんに衛兵本部まで送ってもらいます。


 さて用意が整うまで、少し遠回りして広場に向かいましょうか。時間稼ぎです。フラフラと表通りを散策します。さすがに表通りでは一味の方は襲って来ません。後をつけて来ます。観察ちゃんから準備できたと連絡がありました。


 それでは舞台に行きましょう。裏道に入って、追い付かれないように、一味の方が僕たちを見失わないように気をつけながら早足で舞台に向かいます。

 大通りから入った人気のない広場だ。申し訳程度に低い背の植え込みがある。


 すぐやって来ましたね。街のダニだ。

 「おい、今朝はよくもやってくれたな」

 小隊長さんのご子息です。なるほど、こちらは親と違って大将だな。


 「はて、何をしたんでしょうか」

 「俺たちが女を手に入れようとしたのを邪魔したではないか」

 「へえ、手に入れてどうするんです」

 「決まってる、楽しんでそのあとは、脅かして口をつぐませるんだ」

 「怖いですね」


 「俺たちには俺の親父というバックがいるからな」

 「へえ、親父さんもつるんでいるのでしょうか」

 「つるんではいないが、口をつぐみそうでない女は、適当な犯罪をでっち上げて親父に突き出す」


 「それでどうなるんです」

 「おれの親父は馬鹿だから、でっち上げの証拠を信じて牢に入れる」

 「それはひどい。それからどうなるのでしょうか」

 「小さい罪は即決で有罪だ」


 「反論の機会はないのですか」

 「そんなものいちいちやっていたらキリがない。証拠がある微罪はそんな手続きはない。でも有罪だからな。冤罪だと騒いでも証拠があって有罪になったのだから誰も信じない。だから俺たちはそんなに大きな罪にならないようにしている。調べられたら厄介だからな」


 「親父さんは気づかないのでしょうか。おかしいと思うのが普通でしょう」

 「馬鹿だからな。それに薄々気づいていたとしても手柄が欲しい。目を瞑る。大した手柄ではないが、ちょくちょく手柄を立てるので小隊長に昇進した。また使い勝手が良くなった」


 「それでここに何しに来たのでしょうか?」

 「お前たちを罪に陥れるのよ」

 「なんの罪で?」

 「そうだな。窃盗なんてのはどうだ」

 「それは重罪ではないでしょうか。正式裁判ですよ」

 「まずいか」

 「そうですねえ。裁判は公開でしょうから、辻褄が合わなくなると大変です」

 「それじゃ面倒くさいが殺ってしまうか」


 「どうするんです」

 「こうするのさ。おい殺っちまえ」

 みんなナイフを抜いた。


 こっちの皆さんも楽しそうだ。ドラちゃん、ティランサン、ジェナでじゃんけんをしている。ジェナが勝ったようだ。チルドレンが前にでる。細い棒を手に持った。

 「なんだ、ガキが細い枝をもって出て来たぞ。ガキから殺ってしまえ」


 一斉にナイフで襲いかかってくる。襲いかかられてからチルドレンが走り出した。ぼたぼたとナイフを持った手が落ちる。広場に悲鳴が満ちた。


 「それで正当防衛でしょう」

 植え込みを振り返る。植え込みの後ろで三人立ち上がった。一人は小隊長殿だ。顔色が真っ青だ。一人は隊長だ、もう一人は隊長の部下だと観察ちゃんが言っている。


 どうやって連れ出したのでしょうか。ティランママがニコニコしていてプリシラさんが肩をすくめていますから、聞かないことにしましょう。


 「そうだ。すまなかった」

 顔色の悪い隊長の言葉だ。部下に衛兵を呼んでこいと声をかけた。部下さんは駆けて行った。

 すぐ衛兵が広場になだれ込んで来る。


 隊長が叫ぶ。

 「手の落ちたものを捕えろ。殺人未遂だ。それと犯罪をでっち上げた罪だ。まだあるが後だ。小隊長は知らなかったといえ同罪だ。捕えろ。衛兵本部へ連行しろ。おれも無事ではなかろう。」


 血が流れている腕はキツく縛られ一応の血止めはされた。

 証拠品?のナイフを持った手は袋に入れられて行く。集めている衛兵の顔色も悪い。吐きそうだ。


 隊長に一応来てもらえないかと頼まれた。

 しょうがないね。同行しましょう。

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