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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に  作者: SUGISHITA Shinya
第四部

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436 先の王妃の侍女さん達の訓練 (下)

436 先の王妃の侍女さん達の訓練 (下)

 滅びの草原から転移して、訓練場に帰って来た。

 「みんなごくろうであった。剣は潰れたろう。シン様が御神刀を用意してくれた。将校さんは揃いの剣だ。エレーネ女王様から受け取ってくれ。その他の人はマリア様から受け取ってくれ。これで明日は万全で臨めるな。早く寝て日の出とともに訓練だ」


 声も出ない参加者であった。剣をもらってテントにトボトボと歩いて行く。それでもお腹は空いていたので持参の食事で夕食にした。


 朝になった。目を瞑って開いたら朝であった。眠った記憶もない。

 「みんなよく眠れたようだな。今日は渡河訓練を行う。全体的に今回は軽い訓練プランである。渡河もそうだ。みなさんの愛馬、愛ベーベーに騎乗してくれ」


 「その前に寝起きの一杯」

 エスポーサ様からコップを差し出される。飲まないわけには行かない。御丁寧に一人づつコップを差し出してくれる。逃げられない。これは昨日のワンワン印(改)かと疑うが、ニコニコしているエスポーサ様に逆らえない。なにしろ滅びの草原の魔物を脅すのだから。覚悟してみんな飲んだ。あれ、神父様連中は飲まない。やっぱり。


 馬とベーベーが神父さんによって連れてこられた。一回りも二回りも体格が良くなっていた。訓練をしてくれたのだろうと参加者。素直に喜ぶべきなのだろうが、落とし穴があるような気がするのである。

 「では乗ったな。それではいざ戦場へ」


 ザブン。大河の中程に転移した。一斉に川の中が騒がしくなる。魔物が襲来する。

 「馬とベーベーから降りて戦わないと馬やベーベーが食べられてしまうぞ」

 ありがたいゴードンさんのお言葉である。


 あれ、俺たち、私たちは泳いだことがない。沈んでしまうと思ったら手足が止まらない。やっぱりワンワン印(改)だったと思うが、そのおかげで犬掻きとなっていて、沈まずになんとか息継ぎもできる。魔物は不気味な犬掻き集団に近寄らないようだ。

 ゴードンさんや神父さん達はと見ると馬が川の上を歩いている。うまそうな魔物だなとか言っている。つれるかなとコマチさんが言っている。乾物、乾物とヒバさんが言っている。なんのことだか。


 昼食は川の中洲でいただいた。お茶が出て来た。これはどうなのか。しかし飲まないとまずいだろう。諦めて飲む。


 手足が動く。勝手に午後の部が始まってしまった。だんだん泳げるようになった。不気味さが消えたので魔物が襲ってくるようになった。剣を水中で振るって追い払う。なかなか仕留めるところまではいかない。夕方まで水の中である。気がつけば上手に泳げるようになっていた。


 転移で訓練場まで戻った。

 「明日の朝はゆっくりでいいぞ。午前中、軽く体をほぐして昼食はパーティーだ。楽しみにしてくれ。それから将校さんにはエレーネ女王様から話がある」


 「みんなご苦労様。時間が少ない中よく頑張ってくれました。誇りに思います。明日はパーティー後、みんなは解散ですが、私たちは残って徒歩行進練習を2日、駆け足行進練習を2日行います。特別にゴードン様、三馬鹿ハルト様、神父様の皆さんが残って指導してくれます。頑張りましょう」

 どっと疲れが出る将校達であった。


 将校さんを除いて最後の日、訓練生は、朝はゆっくりのつもりであったが、外がガンガンと騒がしい。思わず起きてしまう。ゴードンさん、三馬鹿、神父さんが朝早くから木刀で打ち合っている。わはははと楽しそうだ。やっと日が登った時間だ。


 「おう、起きたか。早起きだな。朝飯にしよう」

 起きたのではない、起こされてしまったのだと思う。


 結局午前中は駆け足の次に、木刀で実戦の大乱戦。休みなく半日続いた。参加者は将校も含めてたん瘤、青あざだらけである。


 「あらあら、せっかくパーティーだというのにたん瘤だらけを見るのも嫌ねえ」

 エスポーサがそう言って手をかざすと、たん瘤、青あざが消えた。

 「汗臭いのも嫌ね。シャワー棟で綺麗にしてください」

 シャワー棟から出ると、すでに二百人衆によってパーティー会場が用意されていた。


 「おう、こっちだ」

 ゴードンさんが呼んでいる。

 テーブルの周りに集まった。


 「みんなご苦労であった。今回は、女性達もなくてはならない重要な人物と聞いたので、手加減せず訓練させてもらった。お許し願いたい。しかし、全体的に軽めの訓練であったので、これからもさらに上を目指して精進してもらいたい。将校さんはこれから数日間頑張ろう。では御神刀をいただいたシン様に感謝しよう」

 「ありがとうございました」

 「では引き続きシン様に挨拶をお願いしよう」


 「みなさん、お疲れ様でした。指導していただいた方もありがとうございました。この訓練はみなさんが危機的状況になった時に役立っていただけると確信しています。そういう事態にならないように努力することが一番いいわけですが、しかしままならぬ時もあろうかと思います。それに対応できる力を持っていることも大切と思います。また力というのは肉体的な力だけではなく頭脳の力も大切です。今回はそちらは訓練できませんでしたが、頭脳も鍛えていただいて、頭脳、体、両輪で生き抜いて行っていただきたい。ますます精進されることを期待しています」


 僕、高等教育機関を作ろうかな。元国王、王妃、宰相がいるし、ステファニーさん、マリアさん、二百人衆に教えて貰えばいい。6聖人もそろそろ暇になったろう。スパエチゼンヤ内に作ろうかな。


 「そ、それでは乾杯の音頭を、エスポーサ様にお願いします」

 「みなさんが、これから頭脳方面も鍛えていただくことを祈念し、乾杯」

 苦い味であった。


 しかし、頭を鍛えることなどすぐ忘れるゴードン、三馬鹿と神父たちであった。

 「今日はシン様の二百人衆の料理だ。十分味わおう」


 僕はアカを抱っこして、マリアさんとブランコ、エスポーサと一緒だ。

 ドラちゃん、ドラニちゃん、ジェナとチルドレンは料理をとりに行った。ゴードンさん、三馬鹿、神父さんに囲まれている。

 ティランママとティランサンは軍人さんたちに大人気だ。こちらも取り囲まれている。

 コマチさんとヒバさんはエレーネ女王と会談だ。


 大君夫妻、コジローちゃん、アミーナさん、サラ侍女さん、女将さんがやって来た。

 コトヒメさんが口を切る。

 「シン様、人の世ではあり得ない訓練をしていただきありがとうございました」

 口々にお礼を言われた。

 「今回は基礎ですから精進してください」

 「難しい話は無しにして、飲もう」

 タロー大君だ。

 「はいはい、あなたはゴードンさんや三馬鹿さんや神父さんと飲んでいてね」

 追い払われた。コジローちゃんが引っ張って行った。


 それからコトヒメさん、アミーナさん、ナニー侍女長、サラ侍女さん、女将さんとで話し込んでいる。共通の苦労があるのだろう。


 二時間ほどしてパーティーは終了。再会を約して観察ちゃんが送っていく。さて僕らも帰ろうかね。


 ゴードンさんに将校の訓練が終わったら観察ちゃんが迎えにくると言っておいて、ドラちゃんに乗って上空へ、みんな手を振ってくれる。一路神国へ。


 帰って来た。今日は休憩してもらって、明日からティランママとティランサンの街中研修だな。明日は朝、ティランママとティランサンに自宅に来てもらうことにした。

 ジェナと三人組、チルドレンはすぐ環状の森の見回りに行った。楽しいらしい。

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