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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に  作者: SUGISHITA Shinya
第四部

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423/499

423 滅びの草原一周確認ツアー 熱帯雨林(下)

 「みなさんお疲れ様でした。うっかり休憩を飛ばしてしまいましたが昼食にしましょう。この川縁は水棲魔物がのそのそ上がってきて、森の魔物が水を飲みに来るところみたいですが、これだけいれば来ないでしょう」


 エスポーサの言葉で休憩を忘れていたと一同。それだけ次々と色々あったのだろう。確かに色々とあったがともあれ昼食だと各自線指輪から昼食を出して食べ始める。


 ふとみると、パラソルの下でシン様一行が二百人衆に給仕されてフルコースらしいものを食べている。チルドレンも一緒だ。羨ましいが、自分たちの食べているのもいつもの家で食べている食事だ。こんな熱帯雨林で食べられるものではないと思うとシン様と線指輪に感謝である。

 昼食後はチルドレンはいつものように横になったブランコにもたれかかって昼寝だ。地面はブランコが乾かしたらしい。


 休憩が終わって午後の部だ。

 密林からこちらをのぞいている魔物がいる。結構大きい。チルドレンが全員乗っても乗れそうだ。あ、チルドレンが気がついた。やばいと思ったらしく逃げて行く。チルドレンが追いかけて行く。捕まったようだ。

 チルドレンがお話しして乗り物と化した。意気揚々と乗り物に乗ってチルドレンが引き返して来る。上から下へ牙がだいぶ伸びた四つ足の毛が短い魔物だ。胴体はバトルホース並の大きさだが足は短い。


 「おとたん、乗り物を見つけた」

 「そうかい。乗り心地はいいかい?」

 「まあまあ。この間の寒いところの大きい魔物の方が乗り心地はよかったけど、これはこれで体がしなやかで木を避けたりするのが上手だよ」

 そうですか。こちらを見てブルブル震えているけど。

 「行くよ」

 ジェナが号令をかけるとくるっと向きを変えて急いで走り出した。逃げたように見える。ブランコがついて行く。


 「では、私たちも行きます。出発」

 午後の熱帯雨林行進が始まった。もうみんな慣れたろう。

 少し行くとジェナたちが立ち止まっている。先をみるとウジャウジャと蟻がいる。でかい。子猫ぐらいか。

 「おとたん、どうする。もやしてしまう?凍らせる?」

 「そうだなあ。どうするか」


 エスポーサがニコニコしている。

 「またクジを引いて一つの班が貧乏籤というのはどうでしょうか」

 ゴードンさん、セドリックさん、三馬鹿が目の前の子猫サイズの赤黒い蟻をみて絶対貧乏くじは引くまいと思う。


 だれがクジを作るのだろう。目線で押し付けあっている。

 「早くクジを作らないと全員突入よ。ゴットハルトさんはさっき貧乏籤を引いたから除いていいわ。そのかわりクジを作ってね」


 ありがたいエスポーサのお言葉でクジをゴットハルトが作り出した。気分は上々である。他の四人はすでに貧乏籤の予感がするのか、悲壮感が漂っている。


 クジを引き始めた。ゴードン ハズレ、ラインハルト ハズレ。残る一本でセドリックとベルンハルトの運命が決まる。セドリックが気合を込め引いた。アタリ。よっしゃとベルンハルト。

 冷たい班員の視線がセドリックに突き刺さる。


 「ではセドリックさんの班が突入ね。大したことはないわ。マッサージを受けていると思えばいいのよ。狐面はしたほうがいいわ。蟻酸が強力なのよね。お肌に良くないわ」

 慌てて狐面を取り出してかぶる奥さん連中。婆さん連中はとみるとエリザベスさんが私も肌に悪いわ、おほほほと言いながら狐面をかぶる。面の皮が厚いのでつけても同じと思うがと一同の感想であるが口には出せない。


 「では、ブランコ、ではなくセドリックさん、どうぞ」

 セドリックと班員がやけになって突っ込んでいく。蟻がたかって蟻人間のようだ。その隙に頑張れと声をかけながら他の班が脇をすり抜けて行く。やったと思ったらしいがそうは問屋がおろさない。先にも蟻がいた。どの班も蟻人間になってしまった。


 「あら、あら大変ね」

 エリザベスさんだ。どうも心の中の悪口が聞こえたらしい。油断も隙もあったものではない。


 ドラニちゃんが御者をしてドラちゃんが先導して、蟻人間を避けて橇がすすむ。

 「がんばってー」

 子供達の声援だ。


 僕たちも眷属もバトルホースもベーベーも続く。蟻人間のおかげで蟻はいない。しばらく待ってやろう。


 ゴードンさんの班が抜けてきた。蟻があちこちにたかっている。うっかり引き離すと蟻酸の攻撃にあう。ご苦労さんだから取ってやろう。ドラちゃんが弱い雷を当てた。蟻は痺れて昇天して落ちた。


 続いて三馬鹿の班が戻ってきた。こちらもあちこちに蟻をぶら下げている。ドラちゃんの雷で蟻は昇天。


 最後にセドリックさんの班が戻ってきた。ほとんど蟻人間で戻ってきた。最初に突っ込んだので蟻の数が多くて取るのに手間取ったらしい。雷で蟻は昇天。


 セドリックさんが恨めしそうだ。最初から雷を放ってくれたらいいのにと顔に書いてあるが、特大雷を喰らったらたまらないので黙っている。ストレスが増える参加者であった。


 ジェナの乗り物にも蟻がついている。ジェナが凍らせた。ポロポロ蟻が落ちる。バトルホースが凍った蟻を踏むとパリンと割れた。かなりの低温で凍らせたらしい。乗り物がびっくりしている。ぜーったい逆らうまいと乗り物の声が聞こえた気がする。


 「みなさんご苦労様でした。熱帯雨林は気候も魔物もさっぱりしませんね。何日もやるのも面倒ね。交代要員は今交代。今日で熱帯雨林は終わりにしましょう」

 みんな喜んだ。観察ちゃんと一緒に転移して行く交代の人は満面の笑みだ。すぐ交代の人が到着する。二百人衆も何人か交代になった。


 「では改めて午後の部を開始しましょう。頑張ってください。なんだか雨が降りそうよ。では出発」

 あっという間に、エスポーサ様、ブランコ様、ジェナ様、眷属様、二百人衆、エチゼンヤ夫妻、バトルホース、ベーベーが走って消えた。


 「おい、なんだかやばいのじゃないか」

 「ああ、こう言う時は経験上確実にやばい」

 「俺たちも続くぞ。走れ」

 まあ、僕は殿をアカとつとめよう。


 気づくと後ろはすでに大粒の雨だ。ほとんど水中といってくらいの量の雨が降って、それがどんどん近づいている。


 魔物も全て逃げる。襲って来る暇はない。ゴードンが隣を見ると大蛇もゴードンを見た。休戦の申し入れだ。頷くと理解したようである。

 一時間ほど走った。魔物は次々と脱落して雨に飲み込まれて行く。さらに30分ほど走った。雨足が弱まった。局地的なものかもしれない。逃げ切ったようだ。魔物は全部脱落した。無事でいるだろうか。


 ジェナ達の乗り物は息絶え絶えだ。でもチルドレンを乗せて走り切ったので大した根性だ。ご苦労さんとジェナが解放した。少し回復させてやったようだ。振り返りながら森の中に消えて行った。大丈夫だろう。


 それから夕方まで熱帯雨林を進んだ。川のほとりで上空の船に転移。

 みんなシャワー棟に飛び込んだ。

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