404 准国民へ本格的訓練への誘い
ドラちゃんとドラニちゃんが帰って来た。参加申込書は、ゴットハルトさんに頼んだ分を除いて全部揃った。ゴットハルトさんの分は人数が多いからね。夕方までには届くだろう。イヅル国コマチさんは全日程参加と観察ちゃんが申しております。
それでは准国民だけ集めて訓練しておこうかな。
エレーネ女王、執事長、侍女長、ラシードさん、娘のヒバさん、コマチさんだな。
食事を用意する時間があるな。どうしようか。観察ちゃんに収納してもらってあとで本人に渡せばいいな。そしたらすぐ訓練開始できる。手紙を書こう。訓練終了となったらツアーの開始だ。
参加希望者様
今回は神国ツアーの参加希望をいただきありがとうございました。
みなさんはまだ本格的な訓練を受けていただいておりません。今回のツアーでは本格的訓練を受けていないと危険な箇所があります。そこでツアーの前に本格的訓練をしていただくことをお勧めします。もし訓練の希望がありましたら、明日日の出ごろお迎えに参ります。訓練の間の食事は心配無用です。ツアーの間の一月分の食事は、作った都度、「観察ちゃん」と呼んでいただければ観察ちゃんが収納に参りますのでその旨料理人にお伝えください。
では、明日お待ちしています。なお、本日ドラちゃんに乗って来ていただいても構いません。
訓練指導者は、ゴードンさん、ブランコ、エスポーサ、ドラちゃん、ドラニちゃんです。お楽しみに。
◯年◯月◯日
樹乃神
狐 神
ゴードンさんに連絡した。すでに行商から帰って来ていた。返事は承知しましただ。三人組は楽しそう。エスポーサはわかりましただ。
それでは昼食が終わってからドラちゃんとドラニちゃんに手紙を届けてもらおう。お狐さんは途中合流してもらおう。
エレーネ女王の宮殿
キュ、キュと声が聞こえる。今日は二度目だ。
窓を開けるとドラゴン様が手紙をぽとり。
手紙を読む三人。エレーネ女王はすぐ行きたいだ。しょうがない。あとの手配は自分がしようと執事長。女王の面倒は侍女長だと見ると頷いている。
「ドラゴン様、それではエレーネ女王と侍女長を今日お願いします。私は手配がありますので明日の朝お願いします。馬も明日連れて参ります」
わかったーとドラゴン様。
窓の外に出たと思ったら巨大化した。翼が窓に触れている。これを渡れと言うのだな。
女王がウキウキと渡った。侍女長がやれやれと続く。
「お願いします」
執事長が挨拶すると、スッと巨大ドラゴンが窓から離れてすぐ上昇していく。上空で巨大ドラゴンが待っていた。合流して飛んでいく。
執事長がふと足元を見ると、可愛らしい小動物がいる。観察ちゃんだ。
「ではよろしくお願いします」
観察ちゃんが頷いて窓からぴょんと飛んで木に飛び移った。10メートル以上離れているぞ。直線で飛び移った。すごい跳躍力だ。感心する侍従長である。さて忙しい。手配をしよう。料理長に、副執事長、副侍女長、将校だな。
ラシードの屋敷
空が翳った。
うわ。巨大ドラゴン様だ。
巨大ドラゴン様が2体、空をゆっくり舞っている。
一体が降りて来た。少しづつ小さくなって降りて来ているらしい。ベーベーはすっかり座り込んで静かになってしまった。今度は怖いらしい。
手紙がぽとっとラシードの手の上に。
「大変だ。訓練だ」
すぐ娘が走って来た。手紙を読んで、行く気満々である。お父さんは諦める。
「ドラゴン様、娘はお連れください。私は手配がありますので明朝お願いいたします」
ドラゴンが巨大化した。ベーベーは腰を抜かしたろうが、幸い座り込んでいるので姿勢は同じだ。
娘は嬉々としてドラゴン様に乗った。娘のベーベーは腰が引けているが主人が乗ったのでドラゴン様に乗った。
「じゃお父さん先に行っているね」
フワリと浮き上がって上空のドラゴンと並んだ。娘がもう一方のドラゴンに飛び乗った。肝が冷える。あんな芸当いつできるようになった。ベーベーは恐る恐る翼の上を歩いて隣のドラゴン様に移った。ドラゴンが飛んで行った。
足元を見ると観察ちゃんが木の実を齧っている。あれは俺のオアシスの特産品の木の実だ。人の頭より大きく重い。軽々と持ってどこかに行ってしまった。呼べば出てくるのだろう。明日からの手配に忙しいぞ。
「隊長、ついに取られちゃったっすね」
この野郎、覚えておけ。市場で香具師をやらせてやる。巨大ラシード落としと大抽選会の永久担当だ。ざまあみろ。
大君屋敷
巨大ドラゴン2体が屋敷の上空を舞う。
知らせを受けた大君一家が慌てて外に出る。
ドラゴン一体が降りてくる。お狐様と観察ちゃんが飛び降りて来た。大君の目の前に手紙が現れた。読むとコマチが隣ですぐ行きますと言っている。颯を厩舎から引いて来た。
お狐さん、観察ちゃんがコマチと颯を連れてドラゴン様の背中に転移した。コマチを乗せてドラゴンが上昇していく。上空で待っていたドラゴン様と並んだ。ため息をついて足元を見ると観察ちゃんがいた。いまドラゴン様に乗って飛び去ったように思えたが。
「よろしくお願いします」
わかったとばかり頷いて庭の大木に登っていった。
「あなた、覚悟しないと」
何を覚悟しろと言うのか。コジローまでがわかったような顔をしてうんうんと頷いている。
「とりあえず板さんに話しておいてくれ」
俺は手紙を奥に押し付けた。




