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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に  作者: SUGISHITA Shinya
第四部

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399 エチゼンヤの行商は若い人の移動を助け仲人のようなこともする

 エリザベスさんは転移した僕らに気づいてすぐ荷馬車を降りて来ました。馬車、馬車と言っています。わかりました。馬車を出して、エスポーサがバトルホースを繋ぎます。

 「どうぞ」

 さっさと馬車に乗り込んだ。御者をする話はすっかりどこかに飛んでいってしまったようだ。僕とアカが馬車で三人組は外だ。ジェナはブランコに乗っている。眠くなれば中に来るだろう。


 「助かったわ。ああいう街に泊まるのはなかなか辛いものがあるわね」

 「街はどうなったのですか」

 「代官は置かないことにした。税は私たちが来たとき布を買うから、そこで徴収する。街の運営は代表5人選ばせて合議制にしたわ。縫子のまとめ役さんにも入ってもらった」

 「それはよかったです」

 「小役人に権力を持たせると勘違いしてろくなことは考えないわ」


 「次の村はどのくらいですか」

 「昼頃には着くわ」

 相変わらず道は悪い。すぐ荷馬車の車輪が道の柔らかいところにはまりこんでしまう。二時間くらい頑張ったら休憩になった。シャワー棟を出しました。

 エリザベスさんとアンナさんがすぐ入って行きました。シャワーも浴びて服も洗濯して、ああさっぱりしたと出て来ました。女性に続いて店員さんが入って行きます。彼らもシャワーと洗濯をしてホッとした表情で出て来ました。みなさん辛かったのね。大丈夫かエチゼンヤ。

 「大丈夫よ、旦那は、シャワー棟なしで頑張っているから」

 「こちらは天国です」

 アンナさん、それを言っちゃあおしまいよ。


 三人組とジェナはおやつ。おやつを食べたらブランコはジェナを寝かせています。ドラちゃんとドラニちゃんが周辺の見回りに行きました。

 すぐ戻って来ました。この先に魔物がいたけど逃げたよと言っています。どうも魔物に襲われそうにないね。


 少し休んだので出発。ジェナは寝ているからブランコから抱き取って馬車の中だ。

 また道普請をしながら先に進む。昼頃村が見えた。今度は小さい。最初の村くらいだ。家は数十軒だ。この村は機織りの音はほとんどしない。エリザベスさんの解説では、この村は、綿花の栽培をしていて加工せずに売っているそうだ。


 広場でアンナさんと店員さんが店を開く。店員さん何人かが村の倉庫らしいところに行った。

 「あれが倉庫で、綿がしまってあるのよ」

 「嵩張るでしょう」

 「嵩張るけど、次の村で加工をしているのよ。そこまで運ぶだけ」

 二時間ほどいて出発。


 あれれ、村の若い男がついてくる。

 「あの人たちはなんなのでしょう」

 「あれはね。隣村まで行って相手を見つけるのよ。その先にいくこともあるわ。自分たちだけでは危ないから私たちが来たときついて来るのよ。道普請を手伝ってくれるから助かるわ」

 「へえ。そうですか。行ったらどうするので?帰りは?」

 「行ったらその村で働くのよ。お互い様だから受け入れてもらえるわ。相手が見つかったら私たちが戻って来たとき相手を連れて一緒に出身の村に帰るのよ」

 「なるほど」

 「そうでもしないと人口が少ないから相手を見つけることは難しい。私たちの帰途でもついてくる若者がいるのよ。そうした人たちは私たちの次回の行商で村に帰るの。だから行商は定期的に続けないといけない」

 エチゼンヤさんは大変だ。


 「私たちもだいたい村の人たちのことはわかっているから、見込みがなさそうだったら相手が見つかりそうな村を勧めることもあるわね」

 「商売だけじゃないんだ」

 「これでも一応この地方を治めているからね。みんなに幸せに住んでもらいたい」

 「今ついて来ている人たちは隣村まで?」

 「一人はね。あとの若者はその次の村まで連れて行くわ。少し大きい村でちょうど良さそうな娘さんがいるのよ」

 「仲人をするんだ」

 「まあね」


 荷馬車の車輪が泥にはまり込んだ。なるほど、村の若い男が手伝っている。

 休憩を挟んで夕方村に着いた。エリザベスさん達はもちろん村に入って行った。僕らは村の外だ。村から見えないところに移動用簡易スパ棟と厩舎を出した。村の中には出せないからね。村の若者がいたから休憩の時もシャワー棟を出さなかった。エリザベスさんがぶつぶつ言っていた。たまにはローコーさんの境遇を味わってもらわないとね。


 エスポーサがバトルホースの世話をしている。ジェナはふわふわとバトルホースのそばに飛んでいってブラッシングをしている。バトルホースが気持ち良さそうだ。撫でてやろう。よしよし。

 夕食は外にしよう。テーブルを出して、配膳する。僕もやるんだよ。みんながいなければ。


 夕食にしていたら観察ちゃんがエリザベスさんを連れて来た。いいですけど。

 「アンナには残ってもらったわ。贅沢は敵よ」

 そうですか。一緒に夕食にしました。


 「盗賊は出ないんですね」

 「盗むものはなし。道は悪いし、魔物だらけだから盗賊はいないわ。そのへんは魔物のお陰よ」


 「隣村からついて来た男の人はどうしたんですか」

 「うまく行きそうよ。残りは二人、明日隣村まで連れて行けばなんとかなると思う」

 夕食が終わったらエリザベスさんはエスポーサとジェナで風呂だ。僕らもお風呂。三人組と遊ぶ。お狐さんも来たから賑やかに遊ぶ。楽しそうな声が聞こえたのだろうな。ジェナも転移して来た。


 翌日、スパ棟を収納し、馬車を出して待っていると観察ちゃんが荷馬車が村を出たよと言って来ました。少し待って村から離れたので荷馬車の後方荷馬車から見えないところに転移して、荷馬車に追いつきました。

 あれ、村の人は一人置いて来たので二人なはずですが三人です。店員さんがやって来て村から一人追加とエリザベスさんに報告しています。


 だんだん人里離れて魔物が多くなります。荷馬車の先の方で魔物と戦っている音がします。アンナさんが喜んで薙刀を振るっていると観察ちゃんが申しております。店員さんも頑張っているようだ。村の若者3人は馬車の影に隠れている。なるほど、村の衆は魔物と戦えないから村を出られないのだね。

 魔物は退治されたり、逃げ出したりしたようだ。荷馬車が進み出した。


 「村の衆は魔物と積極的に戦う気はなさそうですね」

 「そうなのよね。村の防衛は壁の内側からはするけれども、武器を持って外に打って出る気がなくて、外で戦うとまた違った世界が開けると思うのだけど」

 「エチゼンヤさんが行商に来ないと隠れ里になってしまってジリ貧でしまいには消滅の運命ですね」

 「困ったものね。でもそのおかげで、技術が伝承され磨かれて優れた織物が出来るのだから何がいいかわからないわ」


 こうしてエチゼンヤさんは人の交流も手伝いながら行商をして歩いている。大変な仕事だね。あとは小さな村が続くだけだというので僕らはこの辺で引き上げよう。エリザベスさんはぶつぶつ言いながら荷馬車に乗った。

 僕らは転移してエチゼンヤ支店に戻った。セドリックさんに挨拶して、スパ棟などを収納し、神国の泉の広場に転移した。

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