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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に  作者: SUGISHITA Shinya
第四部

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397/499

397 オリメさん認定織物工房がある街で (下)

 エリザベスさんとアンナさん、店員さんが出かける支度をしました。エリザベスさんとアンナさんは騎乗、他の人は刀を腰に差して徒歩だ。殿様の視察モードだな。観察ちゃんが昨日転移した地点まで転移で送って行きました。観察ちゃんはもちろん戻って来ません。いいけど。


 僕は、何をしようか。アカが街の掃除をすればと仰っています。ではそうしましょう。

 まずは檻を作った。エリザベスさんが代官屋敷に入るまで暫く待ちます。

 観察ちゃんが、代官屋敷に入ったよと言っています。それじゃ、ブランコ、エスポーサ、ドラちゃん、ドラニちゃん、街のダニどもを連れて来て檻の中に放り込んでね。

 一斉に消えました。すぐ戻って来ます。ぽんぽんと檻の中に放り込んでいます。


 「何をするんだ」

 「うるさいね」

 アカが生体接着泥団子と申しております。

 僕だって作れるんだ。団子をいくつも作った。

 ポンと指で弾くとうるさくしたやつの口にへばりつく。圧をかける。すぐくっついた。あれ、勢い余って鼻の穴も塞いでしまった。もがいている。指でいくら剥がそうとしても剥がれない。口と鼻の周りは引っ掻き傷で血だらけだ。今死なれても困るから、鼻のあたりは泥団子を取ってやった。親切だね。


 ジェナが面白そうとみています。余計なことを考えなければいいが。あれ、作り出した。生体接着泥団子。

 新しく檻に投げ込まれた方がうるさい。


 ジェナが泥団子をポイした。ベッタリと顔一面にくっついた。ちょっと量が多かったみたいだな。またまた盛大にもがいている。手で剥がせない。刃物を取り出したぞ。苦し紛れに泥団子が切れたあたりに刃を差し込んだ。飛び上がって倒れて大人しくなった。ご苦労さん。鼻の穴あたりに空気穴を開けてやりました。空気を必死に吸い込んでいます。


 50人くらい投げ込まれました。打ち止めらしい。超満員だ。下の方は押しつぶされている。苦しそうだ。可哀想なので上下ひっくり返す。押しつぶされていた人は楽になったろう。あれ今度は下になった人が苦しがっている。困ったね。

 アカが檻を丸くして転がせばと仰っています。


 それはいい案だ。早速四角な檻を丸くしました。ここは丘の上だから、ブランコがちょいと押すと転がりました。檻の中の人は騒いでいます。楽しいんだろう。満遍なく上下交代できる。結構なことだ。

 あれ、下に行ったら止まってしまった。

 すかさずドラちゃんが下に飛んで行って少し大きくなって玉乗りして坂を上がって来ます。上がりきったらブランコが押します。再びころがり降りて行きます。今度はドラニちゃんが玉乗りして上がって来ます。楽しそうだ。何回か繰り返したら檻の中の人はすっかり大人しくなってしまいました。一応聞いておきましょう。


 「みなさんは誰に頼まれたのでしょうか」

 「代官だ」

 一番上になった人が答えます。

 「いままで何をしてたのですか」

 「色々と理由をつけて街の人からお金を絞って代官に上納していた」

 「ありがとうございます」


 さてエリザベスさん一行はどうしたかな。

 観察ちゃんの映像をみんなで見よう。

 小太りおっさんが帳簿を何冊も出す。

 エリザベスさんがみている。

 「綺麗な数字ね」

 「はい、それはもう間違いなくつけておりますから」


 「そう。織物工房に関して数字が違うようね」

 「なんの数字でしょうか」

 「織子さんたちから吸い上げたお金が記載されてないわ。それと何かと因縁をつけて住民から巻き上げたお金が記載されていないわ」

 「吸い上げるとか巻き上げるとかそんなことはありません」


 「まとめ役さんに聞いたわよ」

 「まとめ役はいないはずだ」

 「いないはずとはどういうこと?」

 「いや、その体の具合が悪く下がっています」

 「そう。物置に下がったのね」


 ドラちゃんが悪い方々を丸い檻ごと代官屋敷の庭に転移させます。

 「あの人たちはあなたの部下か知り合いかしら」

 「知らない。見たこともない」

 「そうかしら。街の人からお金を搾り上げて代官に上納していたと言っていますよ」


 観察ちゃんがアンナさんを呼んでいます。アンナさんと店員さんが観察ちゃんについて行きます。奥からガチャンとか、バリバリとか聞こえて来ます。隠し部屋だね。壁に見える扉を破ったのだろう。

 マリアさんが帳簿を手に戻って来ました。

 店員さんは刀を突きつけて代官屋敷の者に皮袋を持たせて戻ってきました。


 「さて、茶番は終わりね。この帳簿に見覚えは?」

 「ーーーー」

 「裏帳簿というやつね。この皮袋の中の金貨は何かしら?」

 「ーーーー」

 「下がっていいわ。物置ではなく滅びの草原へ」

 観察ちゃんが転移させました。


 「屋敷の者を全員捕らえなさい」

 アンナさんは薙刀を、店員さんは刀を抜いて走って行きます。薙刀は長いけど大丈夫か。案の定ドアにつっかえたりしています。諦めてショートソードにしたぞ。最初からしないところがアンナさんだ。

 程なく全員が玄関ホールに集められました。


 「みなさん、だいぶいい思いをしたようですが、それも今日で終わりです。みなさんの行き先にちょうど良いところをシン様の眷属様が見つけてくれました。魔物はいませんよ。言っておきますが、いく先はお金は使えませんよ。女性の方はじゃらじゃら飾りをつけているようですが何にもなりません。もう一つ言っておきます。女性に悪さをした方は筒腐らしの刑です。滅びの草原でもいいですが、滅びの草原の希望者はいますか?」

 誰も手をあげない。


 僕、忙しい。コイツもコイツも、筒腐らし。全員だな。

 「いませんね。もう少し教えてあげましょう。外の世界とは隔絶しています。絶対脱出不能。だれも助けに来てくれません。自死はできません。もう一度お聞きします。滅びの草原の希望者はいますか?誰もいないようですね。では観察ちゃんよろしくお願いします。滅びの草原の方が楽かもよ」

 ホールに集まった全員を観察ちゃんが監獄島に転移させた。


 「さて、檻の中の人にも希望を聞かなくちゃね」

 庭に出る。

 「だいぶお疲れのようですが、もう少しで解放して差し上げます。女性に悪さをした方は筒腐らしの刑です。一応お聞きしますが、滅びの草原の希望者はいませんか」

 誰も手をあげない。下敷きになっている人はそもそも手が挙げられない。

 僕、また忙しい。男全員筒腐らしの刑だ。


 「どなたもいらっしゃらないようですね。それでは観察ちゃんお願いします。あれ、女性もいらっしゃいますね。先ほど転移させた中に金満夫人とその取り巻きの金満侍女がいらっしゃいましたね。まあ大変でしょうが頑張ってください。男全員筒腐らしよ。安全よね。オホホホ」

 観察ちゃんが檻の中の人を監獄島に転移させました。


 向こうは終わったね。では僕らも街に行こう。馬車には、僕とアカ、まとめ役さんが乗った。ジェナはブランコの背中。ドラちゃんとドラニちゃんは馬車の周りをフラフラ飛んでいる。エスポーサが御者です。では行こう。その前に移動用スパ棟は収納しました。出発。バトルホースが軽やかに馬車を引く。そのまま昨日の地点まで転移。すぐ街に入りました。織物工房へ行きましょう。


 織物工房につくとまとめ役さんが急いで中に入っていきます。みんなと抱き合って泣いています。あとはエリザベスさんにやってもらおう。僕らはもういいね。後始末は数日かかるだろう。その間何をしていようかな。砂漠の続きかな。

 とりあえずエリザベスさんにこの街での仕事が終わったら呼んでもらうように連絡しておいた。

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