393 船で神国、リディア王国のみんなと遊ぶ (下)
半日十分遊んだ。
海からも飛び込んだ人が飛び上がってくる。大勢だ。
みんなを綺麗綺麗してやる。
ラシードさんも呼んでやろうかな。エスポーサとドラちゃんで行ってもらおう。
すぐ連れて戻って来た。
「こんにちは、ラシードさん。しばらくぶりです」
「ここは、どこでしょうか」
「船の上です」
「船ですか」
「船です。周りは海です」
「エチゼンヤさんが来ましたよ」
「お久しぶりです。この間四角い箱で話しをしましたが」
「おお、そうだったな。それで味噌と醤油だ。あれは旨い。仕入れるぞ」
「ありがとうございます。これから仕込む分はシン様の岩塩を使えますからさらに味が良くなると思います」
「そうか、期待しているぞ。値段はエリザベスと決めてくれ。ほれ、甲板を見てくれ、今日は魚が釣り放題だ。砂漠の魚屋になれるぞ。存分に釣って行ったらどうだ」
木の棒に布が付いた釣竿を渡しました。砂漠の民でも問題なく大量でしょう。
孤児院と託児所の幼児は帰るようだ。
並んで
「シン様、ありがとうございました。お狐さん、また遊ぼうね」
と言われてしまった。
園長さんや職員は大きな魚を抱えてホクホクだ。保父さんが収納してやって観察ちゃんとマリアさんが送って行った。
続いて孤児院の子供達だ。
「シン様、ありがとうございました。お狐さん、また遊ぼうね。いつか遊んだ子とまた遊びたいな」
「そうか、ありがとうね」
院長さん、ゴットハルトさんの奥さんだけど、院長さんと保父の神父さんと子供達をエスポーサが送っていく。ジェナは遠くで見送っている。
お狐さんも一度イヅル国に帰って行った。
さて、お昼は二百人衆が大きな魚を解体して刺身にして振る舞います。
醤油をつけて喜んで食べています。刺身なんて食べたことはないだろう。二百人衆も海でとれたのは小魚で刺身は食べたことはないそうだ。
この間の触手は今回も取れたので刺身にして出した。コリコリして美味しいと評判だ。
ご飯もパンもあら汁も二百人衆が用意してくれた。
味噌と醤油に接したことのない大部分の人はその美味しさを初めて知ったようだ。
食事が終わって、子供は昼寝の時間だ。日除を張ってその下にシートを敷いて昼寝してもらう。
大人は釣りや海に潜っている。こういう機会はもうないかもしれないと思って熱心に海の魚や魔物をとっている。
日が傾いて来た。そろそろ帰ろう。
ステファニーさんが声をかける。
「終わりだよ。置いていくよ」
慌てて海の中から甲板に戻って来た。トルネードはハビエルさんを乗せて戻って来た。大量だったんだろう。ハビエルさんはニコニコしている。バトルホースが何人か背中に乗せて駆け上がってくる。自分で戻れない人だろう。ベーベーも人を乗せて飛び上がってくる。
全員戻ったかな。戻ったようだ。
「じゃ戻りますよ。少し航行して行きます」
陸地に向かって進みます。みなさん海岸線を見ています。
「海岸線は絶壁です。一箇所砂浜があるところが、滅びた神聖教国の塩田があるところです。禁輸措置の時に大半は廃業して、残った塩田は今は近所の人に売っているだけだと言っていました」
「あんな狭いところで、他国の塩を握っていたのか。なんだかなあ」
そういうみなさんの感想です。
そうそう、ラシードさんに人間用のラシード落としを進呈しました。砂漠で人集めにいいでしょうと話して押し付けました。
二百人衆はドラちゃん落としを持って行きました。作るそうです。
停船して、神国とリュディア王国の人たちをアカが送って行きます。プリメーロ、プリメーラ、フロランスちゃんも戻りました。リオンちゃんもロシータさんとリリアナちゃんと帰りました。バトルホースは2頭残ってもらいます。僕らの馬車を引いてもらうからね。ラシードさんはドラニちゃんにエスポーサが一緒に乗って送って行きました。
6人は観察ちゃんが転移して送って行きました。
残るはエチゼンヤ支店に戻る人です。ドラちゃんに乗って僕たちと帰りましょう。
甲板を片付けていつものようにドラちゃんに乗って、船を引き上げ回収、嘆きの丘に行き、丘から転移して帰りました。今日はお腹がいっぱいなので僕らはすぐスパ棟です。
エチゼンヤさん夫妻は明日からの行商の準備の確認のため屋敷に戻りました。
一日が終わりました。親睦会だったね。
今度はエレーネ女王と兵隊さんたちを呼ぼうかな。
それで明日だ。ステファニーさん、マリアさん、オリメさん、アヤメさんは神国に戻る希望だ。残るのは僕とアカ、ジェナ、ブランコ、エスポーサ、ドラちゃん、ドラニちゃん、バトルホース2頭だ。ちょっと長くなったからまあそんなところだな。
今日はみんなで一緒に寝られる。お狐さんも来た。お狐さんが、海に感激している。水がいっぱいなの、周り中どこまでも水なの、水がしょっぱいなの、お魚がいっぱいなの。お船がおっきいの。醤油と味噌がみんなに喜ばれて嬉しいの。胸の上でお話をしてくれる。いい子だ、いい子だ。
朝になって、アカがステファニーさん、マリアさん、オリメさん、アヤメさんを送って行った。
オリメさんとアヤメさんには海に入る服を考えてもらおう。海に入る服の生地はないだろうな。作った。伸び縮みするやつで丈夫なやつ。僕らは基本なくてもいいくらいだから、どうでもいいんだけど。海の中で魔物と戦うとするとぴったりの方がいいのかな。糸も作った。縫うのは難しいけど布と同じ材質だ。進呈した。海に入る服は考えたのだけど布がなく困っていたそうだ。やっぱり。




