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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に  作者: SUGISHITA Shinya
第四部

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388/499

388 セドリック執事長、バントーさん、板長さんを船に招待する (下)

 船は昨日の地点より沖に出た。

 陸を振り返る。切り立った崖が続く。狭い砂浜がある。あそこが塩を作っているところだね。右手の遠くに陸地が突き出している。アレシアス王国の半島だ。エレーネ女王の許可をもらってあそこに港を作ってもいいな。当面いらないけどね。


 セドリックさん、バントーさん、板長さんが陸地を見ている。海から見たことはないだろうからな。珍しい眺めだろう。


 「あそこの狭い浜が元神聖王国の塩田がある浜です」

 「あんなところで作っていたのか。他には確かに浜がないから特産品になるわけですね。強気になったわけだ」

 セドリックさんの感想です。

 「まあ、塩田の方にもたまに魔物が上がってきて生命を落とす人もいるとのことなので高値になるのかもしれません」


 後ろの方で、魚、魚と騒いでいます。じゃとりにいこう。

 「海で魚をとりますか。釣りがいいですか」


 「リュディア王国は内陸ですから川の魚を釣るだけで、海釣りはしたことはありません。川も魔物がいますから浅瀬で小魚程度を釣るだけです」

 板長さんは川で釣りをしたことがあるらしい。


 「甲板に降りてみましょう」

 チルドレンと三人組はすぐ飛び降りて甲板を走って海へ飛びこむ。マリアさんたちもついて行った。

 「みなさんは海に飛び込みましたが」

 バントーさんが聞いて来た。

 「昨日も海に飛び込んで魚と魔物をとっていました。アンナさんも一緒に飛び込みました」


 セドリックさんとバントーさん、板長さんは顔を見合わせた。セドリックさんはショートソード、バントーさんは刀を取り出した。板長さんは長い包丁を取り出した。柳葉だな。でもさらに長い。何に使う包丁なんだろう。三人三様だ。


 「では我々も行って来ます」

 アンナさんに負けてはと思ったらしい。

 「船に上がる時は誰かに声をかけてください」

 「アンナはどうしました」

 バントーさんだ。

 「自分で海面を叩いて飛び上がって来ました。魔物並みの器用さです」

 三人は走って海に飛び込んだ。大丈夫かね。


 僕は日除を張って、移動用簡易スパ棟を出しておく。

 アカは釣りに行った。昨日と漁場がちがうからまた入れ食いだ。面白そうだから僕もやってみる。


 人差し指で、来い来いと呼んでみる。次々と来る。なるほどこれは釣りだ。面白い。しばらくやっていると魔物がかかりだした。昨日の触手の主もかかった。触手が10本あるぞ。へえ。頭もある。頭も食えるのか。いらないな。相棒で頭を切り落として海へ。釣りの餌だ。

 餌が降って来たので魚が集まって次々に釣れる。

 だいぶ釣ったのでもういいだろう。


 アカも戻って来ました。観察ちゃんは僕らをみて尻尾でちょいちょいとやっています。あ、かかった。次々と魚が飛び上がって来ます。すかさず収納しています。食べないのにどうするんだろうね。

 コマチさんのところに持って行ったりしてお使い物にするのだそうだ。なるほど、そうですか。傷もないし、立派な魚だから確かにもらった方は嬉しいだろう。それにしてもお使い物なんてどこで観察して来たのだろうか。


 チルドレンが三人組と帰って来ました。すぐスパ棟です。

 マリアさんたちはまだだな。支店の皆さんはどうしたかな。

 オリメさんとアヤメさんが戻って来ました。

 バントーさん、セドリックさん、板長さんが飛び上がって来た。続いてマリアさんとステファニーさん、エスポーサだ。何やら三人でお礼を言っている。どうも水面を叩いたけど上がれなくて、エスポーサとマリアさんが放り上げたらしい。知らんふりをしておいてやろう。


 おお、見事に剣などが使い物にならなくなったね。進呈しよう。材質は二百人衆の刀と同じ。


 「セドリックさん、バントーさん。魔物とだいぶ戦ったようで剣がダメになりましたね。これを使ってください」

 セドリックさんにショートソードを渡した。バントーさんには刀だ。

 「ありがとうございます。名剣だったんですが魔物に刃が負けてしまいました」

 「確かになかなかない業物でしたね。人相手でしたら負けることはないでしょう。魔物、それも多数の強い魔物が相手ではしょうがないです」

 セドリックさんとバントーさんにお礼を言われた。


 板長さんには包丁。刃を舐めるようにみている。職人だね。

 巨木マークと銘入り。

 「ありがとうございます。包丁に銘が入っているようですが、読めません」

 「それは僕の名が切ってあります。樹乃神です。古代の象形文字ですから読める人は僕とアカと世界樹だけです」


 いいなという顔をしているね。セドリックさんとバントーさん。

 「お二人のにも銘が入っています。剣は剣身に、刀は茎に切ってあります」

 二人はほっとしたようだ。

 「スパ棟でお風呂に入ってさっぱりして来てください」

 三人でスパ棟に行った。


 さてお昼だな。刺身にすまし汁、ご飯だな。

 テーブルと椅子を出した。

 マリアさんとエスポーサが手伝ってくれます。すまし汁とご飯は作ってもらってあります。

 刺身は今日釣った魚を相棒で捌きました。綺麗綺麗したので寄生虫はいなくなりました。一度収納すれば寄生虫は死滅するみたいだけど。

 「ご飯だよー」

 チルドレンと三人組が飛んできます。セドリックさんたちもスパ棟から出て来ました。

 みんなで食卓についていただきます。


 「シン様。これは、味が、何を使っているのかわかりません。先ほどの醤油が入っているのはわかりました」

 すまし汁だね。


 「それは海の中の草を使って出汁を取りました。海の魚を煮て乾燥させて特殊なカビをつけさらによく乾燥させたものを二百人衆が試作していますがそれも出汁に使っています」

 「なるほど。全く知らない味ですが、どこか懐かしく優しい味ですね。出汁は醤油とよくあっていますね」

 「ありがとうございます。繊細な味でもありますので味覚が優れている方でないと本当のおいしさはわからないと思います」

 「いやじゅうぶん美味しいです」

 セドリックさんとバントーさんだ。


 三人組とチルドレンはなんでも美味しいから当てにはならない。

 エスポーサは味覚は優れているからあとはマリアさんとステファニーさんだな。マリアさんも味覚はすぐれているから、ステファニーさんだ。

 「なんでみるのよ。美味しいわよ。私だってわかるわよ」

 まあそういうことにしておこう。自覚はあるらしいが。


 「それにしてもこの歳になって新しい味と出会うというのはなんたる幸運。二百人衆に負けないように精進します」

 そんなに真面目に取らなくても。

 「このご飯というのも美味しいですね」

 セドリックさんだ。

 「噛むと甘いです」

 バントーさん。

 刺身も好評だ。醤油につけて食べている。


 お茶をマリアさんが入れてくれて昼食終わり。

 では帰ろう。


 片付けして、ドラちゃんに乗る。ゆっくり上昇。船を引き上げて海面から離れたら収納。帰途についた。あっという間に嘆きの丘に。そして転移してエチゼンヤ支店へ。明日はエチゼンヤさんの一行が到着する。


 午後はチルドレンはブランコに寄りかかって昼寝。そーっと外へ。しめしめ今日は海でだいぶ運動したから起きないぞ。

 ちょっと船の性能を試したいんだよね。観察ちゃんにチルドレンを見ていてもらう。

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