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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に  作者: SUGISHITA Shinya
第四部

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381/499

381 マリアさんとステファニーさんの故郷の大陸へ墓参りに行く・コシの統治・味噌醤油など

 嘆きの丘からドラちゃんがあっという間に海面に出て大陸の上空に着き、マリアさんとステファニーさんの両親たちの墓がある崩れた峠に着陸した。


 墓は巨木の脇に綺麗に残っていた。墓の周りもブランコが踏み固めたから草一本も生えていない。マリアさんとステファニーさんに花を渡した。国王夫妻の墓、王族の墓、国民の墓、鎮魂碑に花を供えた。しばらく手を合わせる。僕らも手を合わせる。


 あたりには何もいない。ドラちゃんに乗ってマリアさんとステファニーさんの故郷があった上を一周する。ただ森があるのみ。内陸から岬まで戻って記念碑の脇に降り立つ。集落があったところを見下ろす。すでにだいぶ家は倒壊していた。集落の脇に墓場があると言っていたね。下に降りて探した。草に覆われていた。草を刈って、墓石の周りに石を敷いて草が生えないようにした。墓石は今のままの形を保つようにした。


 マリアさんとステファニーさんが花を供える。

 ステファニーさんが語りかける。

 「ありがとう。子孫は神国で何不自由なく暮らしているわ」

 しばらく手を合わせる。

 チルドレンも小さな手を合わせている。


 「ありがとうございました」

 ステファニーさんとマリアさんにお礼を言われた。

 「帰ろうか」

 「はい」

 「いつかこの大陸にも来ようね」

 「ええ」


 ドラちゃんにみんな乗って海岸から出発だ。

 ぐるっと集落の上を回って一路コシへ。


 今度は下から見えないようにして静かに嘆きの丘に着陸。そこからエチゼンヤ支店の屋敷前まで転移した。すぐ執事長がニコニコと現れる。何か話があるようだ。


 三人組とチルドレンはスパ棟で遊んでもらうことにして、僕らは応接室。観察ちゃんは多分スパ棟にもいるんだと思う。応接室にもいるけど。


 「シン様が黒鷲組の組員を冒険者組合の前に転移させましたね。その者たちは冒険者組合が黒鷲組と書かれた木札をつけて衛兵隊詰所前に捨てに行きました。双方とも、ドラゴン様に謎をかけられたと誤解、両組織に潜入していた黒鷲組の組員を捕まえ、すぐさま黒鷲組のアジトに向かい、両組織が協力して黒鷲組を襲撃、殲滅しました」


 「へえ。それはまた過激な行動ですね」

 「ドラゴン様の影に怯えて殲滅に走ったというところでしょうか。私どももそろそろ退治にかかろうかとしていた所でしたので手間が省けました」

 「それはよかった」


 「ところでこのコシの統治はどうなっているのでしょうか」

 「ここは大旦那様がああいう方ですので、自治になっています。役所のトップは大旦那様です。代理に任せていますが。コシの人には大旦那様がトップだということはなるべく教えないようにしています。ですから門番も知りません。自治の範囲は西はスパーニアの国境まで、東は王都までの西側三分の一くらいでしょうか。東ははっきり決まっていません。北は滅びの草原に接するまで、南は国境までです」

 「ずいぶん広いですね」

 「はい。コシの周辺、特にスパーニアとの間から滅びの草原にかけての一帯は、地味は豊かで織物の特産物もあります。高級品から普通品まで様々な布を生産しています。オリメさんの実家で扱っている布になります。でも魔物が多いので我々が行商に行かないと流通もできませんし、魔物を防ぐための壁の維持にも費用がかかります。広いですが魔物のため何処からも苦情はありません」


 「なるほど。オリメさんの実家に色々な布があるのはそういうことでしたか」

 「はい。今は東の亡国が通過できるようになり、アレシアス王国に持ち込めるようになりましたので、砂漠の隊商に売り込めば販路はずいぶんと広がります。ただ生産に限りがありますので、砂漠の隊商には高級品を少量ですね。無理して生産すると自然のバランスを壊してしまいます。ほどほどに儲けてほどほどの生活ができればいいかと思います。たがが外れてしまうと滅びの草原になってしまいます」


 「ほどほどの生活というのはイヅル国のようですね」

 「イヅル国が何処にあるか存じませんが、この世界は滅びの草原の前例がありますのでどの国もほどほどにするというのが共通のコンセプトかと思います」

 「イヅル国というのは砂漠の東の国です。滅びの草原の影響は大きいですね」

 「はい。滅びの草原が目の前にありますので、欲を出しすぎると滅びの草原のようになってしまうのではないかと自然に考えます。また今回の帝国の無慚な侵略の結果も欲をかいたためだと言う人が多くいます。新たな教訓になりそうです」

 「そうですか」


 あれ、お狐さんが来た。周りを見渡してすぐ飛びついてきてしがみつく。

 「大丈夫だよ。知り合いの家だ」

 「そちらは」

 「先ほどの話のイヅル国のお狐様です。夜や昼間も時々僕のところにやってきます」

 「初めまして。エチゼンヤ支店の執事長のセドリックと申します。どうぞごゆるりとお過ごしください」

 僕の胸に顔を埋めながらうんと頷いている。かわいいね。お狐さん。


 「ではスパ棟に行こうね」

 「もうしばらくしたら夕食になります。お狐様もご一緒にどうぞ。準備ができましたらアンナがお迎えに参ります」

 「はい、よろしくお願いします」

 スパ棟に戻るとお狐さんはホッとしたようだ。すぐジェナたちチェルドレンと三人組と遊びだした。


 しばらくしてアンナさんが夕食の準備が出来たと呼びに来た。

 お狐さんを見て、まあ可愛いとのご発言であった。

 では行こう。

 みんな揃ってエチゼンヤさんの屋敷へ。


 食堂に案内される。

 食堂に入ると、執事長、バントーさん、板長さんが並んで待っていた。

 「今日は名誉会長夫妻がおりませんので、私どもが同席させていただきます」

 なるほど、エチゼンヤ夫妻がいないからね。責任者は執事長だろう。

 僕らは上座、執事長、バントーさん、侍女長、板長さんで食卓を囲む。

 お狐さんは僕の膝の上だ。少し慣れたらしくて時々顔を食卓にむけている。

 お狐さん用に山菜を皿に盛って出して置いた。


 「あの、可愛いお狐さんはどちらの方なのでしょうか」

 「アングレアの東の方の広い砂漠を越えたところにあるイヅル国の方ですよ」

 「え、そうなんですか。シン様のお子さんか親戚の子のような」

 やっぱりアンナさんは頭のネジが一本足りないのではないか。いや、足りないように見えて本質に迫っているのかもしれない。

 「イヅル国ではみんなに親しまれ、慕われています」


 焼き魚が出てきた。大根おろしが添えてあり醤油がかかっている。

「シン様、醤油というものをかけてみましたが、塩味かと思いましたが、微かに甘くもあり、複雑な味で大変なものですね」

 板長さんだ。

 「万能調味料です。使ってみてください。肉を焼く時にかけると香りが大変よく、少し遠くにいる人も寄ってくるでしょう。お狐さんのイヅル国原産です。エチゼンヤさんに頼んで、アレシアス王国の市場に来る砂漠のラシード隊商に言えば入手できます」

 「焼き魚とこの野菜のおろしたものに醤油をかけたものの組み合わせは大変美味しいですね」

 執事長が美味しく食べている。

 アンナさんは無言でパクパクだ。美味しいのだろう。


 「このスープは初めての味だ」

 執事長が気が付く。

 「これはシン様にいただいた味噌というものを使ったスープです」

 「これはよくわからないが多分癖になる味だな。今までにない味と香りだ」

 「味噌もイヅル国特産です。これもアレシアス王国の市場に立ち寄るラシード隊に言ってくれればすぐ入手可能です」

 山菜を食べていたお狐さんが嬉しそうだ。


 ラシードさんの収納には味噌も醤油も大きな樽が3づつ収納してあるんだよね。僕は収納の中身がわかるのだ。へへへ。

 夕食が終わって、スパ棟に引き上げる。

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